この、大ケヤキが山門脇に立つ景色にはどうしても出会いたかった。
家を少し早い目に出て、国道307号線でひたすら彦根を目指して約1時間半、そこから国道8号線で余呉町役場前まで、ここで信号を右折、やがて見えるウッディパル余呉のスキー場をつきぬけ林道を登って突き当たりの駐車場に車を留めた。
通常余呉町坂口から登ること約1時間の参道コースで上るらしいが、とても山道の登りには自信がなかったのでちょっと中抜き、
それでも、車を留めて約20分ばかしの山くだり、その日は日曜日、それでも2~3グループのハイカーに出会っただけの山道でした。
帰りの登りを考えるときついなあなどと思ってるうちに深い樹間に山寺らしき屋根が見え出し菅山寺だとわかる。
道はやがて直進と右手くだり坂に分かれるが、そのまま直進するとこの大ケヤキの背後に出ることになる。
菅山寺は、もとは、龍頭山大箕寺(りゅうずざんたいきじ)と称し、764年(天平宝字8年)孝謙(こうけん)天皇の命により、高僧照檀上人(こうそうしょうだんじょうにん)によってこの地に建立され、幼少期をこの寺で育てられた菅原道真が京に上って出世後の889年に中興した古刹で、現在は寂れた山深い無住の寺となっている。
見てみたいと思い続けた2本のケヤキはそのロケーションとあいまって、なんともいえぬ生命力で見るものに迫ってきますが、威圧感というような感じはありません。
小さな山門前の鄙びた石段をはさんで両側に重量感のあるケヤキの巨木がどっしり腰を据えていて、誰でもが目を見張る光景です。
小さな山門を背にしてたつケヤキの巨木は、菅原道真公が45歳のときに手植えしたと伝承される樹で樹齢1100年、樹高15m、20m、幹周6.2m、5.8mと記されている。
右側の木は裏に回るとすっかり洞になっていて根元を残して主幹はほとんど枯損しているが、左側のケヤキはまだまだ瑞瑞しい主幹に活力がみなぎっているように見える。
左側のケヤキ
右側のケヤキ
とにかく、小さな鄙びた山門と古びた石段をはさむ巨大なケヤキ幹が作り出すこの景色はここまで来たものにしか見ることの出来ないプレゼントのような気がします。
多分また来る事に成る事を確信しながらきつい登りの山道を帰路につく。
撮影2007.4.7