鹿島アントラーズ原理主義

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広島戦レビュー

2012年03月25日 | Weblog
【J1:第3節 広島 vs 鹿島】レポート:20歳のヒーロー、爆発。鹿島のリーグ戦初勝利への想いを、紫の若者が打ち砕く。(12.03.25)
3月24日(土) 2012 J1リーグ戦 第3節
広島 2 - 0 鹿島 (13:04/広島ビ/14,349人)
得点者:25' 佐藤寿人(広島)、71' 大崎淳矢(広島)


2年前のACL・浦項戦で見事な得点をあげた若きストライカー。だが昨年は、天皇杯で21分間出場したのみ。練習試合で8試合連続21得点をゲットしても公式戦で起用されない状況に、大崎淳矢は移籍も決意した。だがその想いは、森保一新監督からの「一緒に頑張ろう」という1本の電話によって変わった。
「自分のような若い選手に、わざわざ電話をかけてくれるなんて」。
感激が翻意を促し「人生を賭けるんだ」という強烈な想いを胸の内に生んだ。自分を励まし、評価してくれる森保監督に報いたい。そんな一心でキャンプから必死の形相で走り、闘った。

その気持ちが最初にスパークしたのは、24分。柴崎岳のスルーパスがジュニーニョにつながり、鹿島が初めての決定機を創った直後の場面だ。
広島のCK。高萩洋次郎のキックはDFがクリア。そのボールの落下点に入ったのが大崎と増田誓志だ。身長差は9センチ。だが小さなストライカーは、浮きあがったボールに噛み付かんばかりの気迫を見せて高く飛び上がり、9センチの差を埋めて競り勝った。
「自分が触ることで、誰かにチャンスが生まれることを信じていた」
その想いの源泉は、彼の師・森山佳郎広島ユース監督の「気持ちが強い方にボールは転がる」という名言。広島ユースの先輩・森崎和幸も「気持ちが強ければ反応が速くなり、こぼれ球をマイボールにできる」と語る。広島に脈々と流れる伝統を、大崎は実践した。そのボールを拾ったのが森脇良太という広島ユースOBだったことも、偶然ではない。
「前節の清水戦、高木選手のシュートが自分の足に当たって入った。シュートを打てば何かが起きるんだ」。
その想いを爆発させた熱血漢のシュートは、佐藤寿人の足下に転がる。慌てて守備陣がラインを押しあげたが、間に合わない。J1通算97点目をゲットした広島のエースに、大崎は誰よりも早く抱きついた。

後半、ジョルジーニョ監督は柴崎をアンカー、遠藤康をトップ下に置くダイヤモンド型の中盤にして勝負に出る。だが、鹿島の反撃への想いは思いがけない事態で寸断される。55分、青山敏弘が絶妙のタイミングでスルーパス。鋭く動き出して裏をとったのは大崎。カバーリングのポジションにいた新井場徹、足を伸ばして見事なタックル。だがそれが「得点機会阻止」と判断され、井上知大主審は赤いカードを差し上げた。追いかける鹿島、数的不利。

ジョルジーニョ監督、再び動く。小笠原満男とジュニーニョをベンチに下げ、青木剛と興梠慎三を投入。だが、その苦心は結果につながらなかった。

71分、青山がキープ。疲れが顕著なのか、鹿島らしいプレスが見えない。「持ち出そうか」と考えた青山の視界に、スッと紫の影が見えた。アレックスと山村和也の間に、まるで忍者のように入ってきた大崎を「広島のエンジン」は見逃さない。
スルーパス。半身の姿勢からのファースト・タッチ。完璧な持ち出し。「ヒーローになれる」と西川周作が書いてくれた右足のスパイクに想いを乗せたシュートは、曽ヶ端準の右手をはね、ネットの中に収まった。2010年11月27日の対仙台戦以来、483日ぶりのゴールを決めた大崎淳矢が鹿島に止めを刺したのである。

クラブ史上初の開幕3連敗を喫した鹿島。3試合連続無得点、3試合連続セットプレーからの失点。この結果だけを捉え、「鹿島らしさがない」と評価するのは簡単だろう。だが、不運な判定もあり1人少なくなっても決して試合を投げ出さず、最後まで得点を追い求めた姿は、鹿島の矜持。脅威的な切れ味で圧力を与えた大迫勇也のスルーパスに興梠が飛び出した終了間際の決定機は、鹿島の執念だ。

中田浩二のケガは心配だが、山村がその穴を埋められることも証明された。負けが込んでいるチームにありがちな「バラバラ感」は見えないだけに、「得点」「勝利」というきっかけがあれば持てるポテンシャルを爆発できる。その「きっかけ」を手に入れられるための試行錯誤は必要だが。

それにこの試合は、鹿島の出来うんぬん以上に、広島の守備が素晴らしく機能した。チーム全体の守備意識が高く、集中も切らさず、何よりもよく走れていた。それが攻撃面でも好作用を生み、佐藤・大崎の得点だけでなく、多くのビッグチャンスを生んだと言える。

才能に満ちた若きヒーローは試合後、サポーターの前で「広島の若手は成長していないと言われていたけれど、そんなことはない。僕らが、これからの広島を引っ張っていきます」と高らかに叫んだ。層の薄さを懸念された広島だが、大崎淳矢の叫びが実現すれば、リーグに更なる旋風を巻き起こす可能性もある。そんな雰囲気に満ちた広島ビッグアーチには、春の予感を感じさせる陽光に満ちていた。


以上
2012.03.25 Reported by 中野和也


「この結果だけを捉え、「鹿島らしさがない」と評価するのは簡単だろう」
このコメントに集約されておる。
ちょっとした掛け違いと、ジャッジ、これが明暗を分けておる。
特に攻撃陣が決め切れておらぬところが気になる。
とはいえ、少ないながらも決定機はあったことも事実である。
歯車が噛み合うことを待つ時期。
今はそう言う以外にない。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
新体制 新監督 (大宮の鹿)
2012-03-26 00:36:59
もう少し長い目で粘り図よく応援するぞ!
今年も精一杯応援するぞ~鹿島アントラーズ!
がんばれ鹿島アントラーズ!
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Unknown (Unknown)
2012-03-26 07:30:34
もし、将来鹿島がJ2に落ちても試合は見に行きます。身体が動く限りカシスタに行きます。それが本当のサポというものでしょう。
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Unknown (Unknown)
2012-03-26 08:03:01
東西の雄、鹿島とG大阪が開幕3連敗。
黒崎監督の新潟も。

G大阪は監督批判やら聞こえてきますが、鹿島は一枚岩。

なにが悪くなったといえば、それは昨年までと同じ決定力不足。
野沢、田代がいなくなってそれが顕著になった。
ジョルジの指導でミドルシュートを増やしており、攻撃意識は向上してきている。
31戦残して首位と勝ち点9差、まだまだこれからです。
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Unknown (ポパイ)
2012-03-26 08:06:55
早く中田の怪我が良くなります様に。
中田がいると心強い!

次横浜でその次はレッズか・・
絶対に勝たなきゃあ
正念場です。
とにかく得点。大迫とジュ二に期待!
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Unknown (Unknown)
2012-03-26 18:22:18
結果が出ないのは残念ですが,水戸戦から見ると大分よくなっているように見えます。
具体的には攻守及び守攻の切り替え時のポジショニングが,徐々によくなっています。
オリベイラ鹿島とジョルジ鹿島の大きな違いはフィニッシュ時の人数かけ方の違いかなと思いますが,以前より前方向に人数をかけている分ポジショニングが難しいのかなと。
ポジショニングが安定すれば,ポジショニングの予測が出来る分ミスパスも減っていくのかなと思いますね。
ただ,この辺は試合をやっていく中で,選手が各々つかんでいくことなので,少し時間が係るかも知れませんが,心配はしてないですね。
難産かもしれませんが,楽しみなチームです。
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Unknown (Unknown)
2012-03-26 22:43:28
ガンバはガンバ。うちはうち。
この素敵な日本人の精神でいきましょう!

鹿島は鹿島のペースで最終節まで戦えるように
しっかり基盤をつくっていこう!

マリノス戦も負けたら確かに精神的にもきついけど
こんな早い時期にフロントや監督解任したって
チームが分解するだけ。
仮にガンバがこの解任劇で好調になっても
じゃあうちも解任!とはなりたくない。
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