【Jリーグ】深刻!強豪・鹿島を悩ますゴール欠乏症の負の連鎖
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
photo by GettyImages
3月10日に新シーズンが開幕して以来、J1のリーグ戦は、こと東京近郊に限れば、週末ごとに降る雨にたたられっぱなし。そんな悪天候に影響されたわけでもないのだろうが、今年のJ1はかなりの荒れ模様となっている。
開幕前には優勝候補に挙げられていた鹿島、G大阪が、先週末(3月24、25日)に行なわれた第3節終了時点で3戦全敗。また、横浜F・マリノスも、1分け2敗と勝利がないまま。過去、J1で優勝経験を持つ強豪クラブが、大苦戦を強いられているのだ。
3月31日、激しい風雨に見舞われるなか、日産スタジアムで行なわれたのは、低迷続く横浜FMと鹿島との直接対決。互いに初勝利を目指しての一戦は、しかし、天候以上にお寒い内容でスコアレスドローに終わった。試合後の両指揮官が図らずも口にした同じ主旨の言葉が、それぞれの現状を物語っている。
「何も改善していないわけではない。目指しているところに、たどり着き始めているのではないだろうか」(ジョルジーニョ・鹿島監督)
「まだまだの部分が多いが、少し改善の兆しはある。少しシステムを変えて、いい方向への変化が見えた」(樋口靖洋・横浜FM監督)
ジョルジーニョ、樋口両監督は、揃って改善の方向に向かっていることを強調した。だが、それを素直に受け止められるほど、充実した試合内容だったとは思えない。
とりわけ気になるのは、鹿島の不振だ。
失礼ながら、開幕前の段階から決して前評判が高いわけではなかった横浜FMとは、同じ苦戦でもその意味合いはまったく異なる。シーズン序盤とはいえ、鹿島はここまで勝ち星がないばかりか、4試合で無得点。「優勝候補のちょっとしたつまずき」で片付けるには、あまりにも症状が重篤だ。そこに、3年ぶりの覇権奪回を目指す元王者の風格は感じられない。
それでも、ジョルジーニョ監督は選手への信頼を口にする。
「アントラーズの選手の質を考えると、リーグ戦4試合無得点は信じられない」
そう話す指揮官は、「(得点が)1回入れば、FWは自信が深まって波に乗れる」とも言い、あくまで楽観的な視点に立つ。
が、相手ディフェンスを崩し切れず、DFにシュートをぶつけるだけの単発の攻撃を見せ続けられた後では、どうにも説得力に欠けると言わざるをえない。
実際、この日、ジュニーニョに代わって初先発した興梠慎三は、「誰かひとり、FWが点を取れたら(ノーゴールの)プレッシャーはなくなると思う」と話しつつも、こう続けた。
「クサビの縦パスを入れてサイドに展開しても、サイドからのクロスに対してFW1枚しか(ゴール前に)入っていないし、サイドで崩そうにもサイドの枚数も少ない。やっていて、『あれっ?』という感じはある」
それでも、かつて選手として鹿島の黄金期を支えた指揮官は、チーム作りは着実に進んでおり、あくまで改善に向かっていることを強調する。
確かに、横浜FM戦に関して言えば、押し気味に試合を進めたのは鹿島のほうであり、ゴールに迫るシーンは何度かあった。ジョルジーニョ監督が言うように、「何も改善していないわけではない」のだろう。
しかし、「内容は悪くないから、いずれ結果が出るはず」と思っていても、「なかなか勝てずにいると、次第に内容も悪くなっていく」という悪循環に陥りがちなのは、得てして前評判が高かったクラブである。そのことは、過去の歴史も物語っている。
しかも、経験のある選手を中心にシーズンをスタートしながら負けが続いたことで、指揮官は「過渡期にあり、選手を入れ替える時期にある」と、若手を積極的に起用。もちろん、これがカンフル剤となって勝利につながればいいのだが、結果として事態は好転していない。連敗が続くなかで、若い選手がその重圧に押しつぶされることにでもなれば、さらなる負の連鎖を引き起こしかねない。
「(3連敗という)置かれている状況を考えると、勝ち点1が取れたことは喜ばしい」
そう話すジョルジーニョ監督は、「4試合のうち3試合がアウェーゲームであることを考えれば、上々の内容」だとも言った。
だが、最下位に沈む現在、とにもかくにも早く勝ち点3がほしいというのが、正直なところではないだろうか。あまりに悠長に構えていると、取り返しのつかないことにもなりかねない。
リーグ戦、無得点・未勝利に警鐘を鳴らす浅田氏のコラムである。
確かに結果だけを見れば危機的状況と言って良かろう。
しかしながら、試合内容、そしてチーム戦術は浸透しており、期待させるものがあることも事実であろう。
若手の経験も積むことが出来ており、総合的に良くなっておる手応えを感じる。
これを楽観的と切って捨てれば、それまでではあるが、不安ばかりを募らせたところで、我等に出来ることは少ない。
現場である指揮官は、表には出さずに苦悩しておるであろうし、首脳陣は助っ人としてドゥトラを手に入れた。
月が変わった今月から気候も変わるところで、心機一転し、結果を出してくれると信じたい。
期待しておる。
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
photo by GettyImages
3月10日に新シーズンが開幕して以来、J1のリーグ戦は、こと東京近郊に限れば、週末ごとに降る雨にたたられっぱなし。そんな悪天候に影響されたわけでもないのだろうが、今年のJ1はかなりの荒れ模様となっている。
開幕前には優勝候補に挙げられていた鹿島、G大阪が、先週末(3月24、25日)に行なわれた第3節終了時点で3戦全敗。また、横浜F・マリノスも、1分け2敗と勝利がないまま。過去、J1で優勝経験を持つ強豪クラブが、大苦戦を強いられているのだ。
3月31日、激しい風雨に見舞われるなか、日産スタジアムで行なわれたのは、低迷続く横浜FMと鹿島との直接対決。互いに初勝利を目指しての一戦は、しかし、天候以上にお寒い内容でスコアレスドローに終わった。試合後の両指揮官が図らずも口にした同じ主旨の言葉が、それぞれの現状を物語っている。
「何も改善していないわけではない。目指しているところに、たどり着き始めているのではないだろうか」(ジョルジーニョ・鹿島監督)
「まだまだの部分が多いが、少し改善の兆しはある。少しシステムを変えて、いい方向への変化が見えた」(樋口靖洋・横浜FM監督)
ジョルジーニョ、樋口両監督は、揃って改善の方向に向かっていることを強調した。だが、それを素直に受け止められるほど、充実した試合内容だったとは思えない。
とりわけ気になるのは、鹿島の不振だ。
失礼ながら、開幕前の段階から決して前評判が高いわけではなかった横浜FMとは、同じ苦戦でもその意味合いはまったく異なる。シーズン序盤とはいえ、鹿島はここまで勝ち星がないばかりか、4試合で無得点。「優勝候補のちょっとしたつまずき」で片付けるには、あまりにも症状が重篤だ。そこに、3年ぶりの覇権奪回を目指す元王者の風格は感じられない。
それでも、ジョルジーニョ監督は選手への信頼を口にする。
「アントラーズの選手の質を考えると、リーグ戦4試合無得点は信じられない」
そう話す指揮官は、「(得点が)1回入れば、FWは自信が深まって波に乗れる」とも言い、あくまで楽観的な視点に立つ。
が、相手ディフェンスを崩し切れず、DFにシュートをぶつけるだけの単発の攻撃を見せ続けられた後では、どうにも説得力に欠けると言わざるをえない。
実際、この日、ジュニーニョに代わって初先発した興梠慎三は、「誰かひとり、FWが点を取れたら(ノーゴールの)プレッシャーはなくなると思う」と話しつつも、こう続けた。
「クサビの縦パスを入れてサイドに展開しても、サイドからのクロスに対してFW1枚しか(ゴール前に)入っていないし、サイドで崩そうにもサイドの枚数も少ない。やっていて、『あれっ?』という感じはある」
それでも、かつて選手として鹿島の黄金期を支えた指揮官は、チーム作りは着実に進んでおり、あくまで改善に向かっていることを強調する。
確かに、横浜FM戦に関して言えば、押し気味に試合を進めたのは鹿島のほうであり、ゴールに迫るシーンは何度かあった。ジョルジーニョ監督が言うように、「何も改善していないわけではない」のだろう。
しかし、「内容は悪くないから、いずれ結果が出るはず」と思っていても、「なかなか勝てずにいると、次第に内容も悪くなっていく」という悪循環に陥りがちなのは、得てして前評判が高かったクラブである。そのことは、過去の歴史も物語っている。
しかも、経験のある選手を中心にシーズンをスタートしながら負けが続いたことで、指揮官は「過渡期にあり、選手を入れ替える時期にある」と、若手を積極的に起用。もちろん、これがカンフル剤となって勝利につながればいいのだが、結果として事態は好転していない。連敗が続くなかで、若い選手がその重圧に押しつぶされることにでもなれば、さらなる負の連鎖を引き起こしかねない。
「(3連敗という)置かれている状況を考えると、勝ち点1が取れたことは喜ばしい」
そう話すジョルジーニョ監督は、「4試合のうち3試合がアウェーゲームであることを考えれば、上々の内容」だとも言った。
だが、最下位に沈む現在、とにもかくにも早く勝ち点3がほしいというのが、正直なところではないだろうか。あまりに悠長に構えていると、取り返しのつかないことにもなりかねない。
リーグ戦、無得点・未勝利に警鐘を鳴らす浅田氏のコラムである。
確かに結果だけを見れば危機的状況と言って良かろう。
しかしながら、試合内容、そしてチーム戦術は浸透しており、期待させるものがあることも事実であろう。
若手の経験も積むことが出来ており、総合的に良くなっておる手応えを感じる。
これを楽観的と切って捨てれば、それまでではあるが、不安ばかりを募らせたところで、我等に出来ることは少ない。
現場である指揮官は、表には出さずに苦悩しておるであろうし、首脳陣は助っ人としてドゥトラを手に入れた。
月が変わった今月から気候も変わるところで、心機一転し、結果を出してくれると信じたい。
期待しておる。
コメントと状況だけの凡庸でビジネスライクなものですね。
我々はジョルジのように前向きに、満男のコメントにあったように声で選手の背中を押すだけです。
泣けるぜ!!ジョルジーニョ監督!!!!!
これから数年は、J1ギリ残留でも俺は、支持する
批評なら不調の原因を挙げて欲しい。
チームの強化方針、監督の指導方針、チーム作りの過程がちゃんと見えて、それが信頼できるものだから信じているのです。
こういう時は部外者はとかく知ったかぶりをして揚げ足取りのようにあれこれ言ってくるものですが、それに振り回されないことが大事です。
目先の結果に一喜一憂せず、ジョルジを信じること!
監督コーチが代わったって、すぐによくなるなんて思っていない。
それをわかっているから騒がない焦らない。
オリヴェイラのように試合の流れを変えるような選手交替はないが、競争意識を高める起用・交替しているので先が楽しみ。
ジョルジらしく勝ってくれ。