鹿島アントラーズ原理主義

愛する鹿島アントラーズについて、屈折した意見を述べていく場です。

大野俊三、植田に注目

2013年02月04日 | Weblog
大野俊三「今年こそ強い鹿島を見たい」
 2013年のサッカーシーンは柏レイソルの37年ぶりの天皇杯優勝で幕を開けました。柏の勝因はコンセプトを貫いて試合を進めたことでしょう。守備面では全員が連動して相手にプレッシャーをかけ、オフェンスではサイドチェンジを織り交ぜながらリズムをつくれていました。

一貫性のなかったG大阪

 ネルシーニョ監督の采配も当たりました。30分にトップ下の水野晃樹を下げ、田中順也を投入してワントップに据えました。決して水野の調子が悪かったわけではないと思います。交代の狙いは、ボールを収められる田中を入れることで、前線に起点をつくりたかったのでしょう。

 それまでの時間帯、ワントップには澤昌克が入っていました。ただ、彼の本職はMFです。パスを入れてもDFにつぶされたり、空中で競り負けたりしていました。田中がワントップになることで前線にポイントができ、2列目の選手やサイドバックの選手が攻撃に参加できるようになりましたね。こういった決断はタイミングが難しく、チームの歯車を狂わせるリスクもあります。豊富な経験を誇るネルシーニョ監督のひらめきがいい方向に向かったと言えるでしょう。

 加えて、選手たちの戦術理解度の高さも称えたいと思います。急なポジション変更にもリズムが狂わなかったのは選手たちがしっかりと指揮官の意図を汲んでプレーしたからです。ネルシーニョ体制になって5季目。柏がチームとして熟成していることを改めて感じましたね。

 一方、敗れたG大阪は試合を通してボールを支配しながらゴールは奪えませんでした。その大きな原因はゴール前でのスピードの変化がなかったことです。目の前で淡々とパスをつながれても守る側はそれほど怖くありません。どっしりと構えて対応できますからね。ゆっくりとしたリズムから、急に速い縦パスを出す。こういった緩急をつけなくては守りの組織にズレは生じません。

 局面を打開しようと突破力のあるMF家長昭博を途中出場させましたが、これも柏の整備された守りに阻まれました。いくら能力の高い選手でも3人に囲まれれば、こじ開けるのは至難の業です。柏が組織で戦う意識を統一していたのに対し、G大阪は組織で戦うのか個の力に頼るのかがまとまっていませんでした。これも勝敗を分けたポイントではないでしょうか。

 今季、G大阪は初めてJ2の舞台で戦うことになります。Jリーグの開幕当時から参加しているクラブ、ましてやアジア王者にもなった西の雄です。1年でチームを立て直して、再びJ1に戻ってきてくれるのを待ちたいですね。

鵬翔が備えていたPKで勝つ要素

 天皇杯と並ぶお正月の風物詩といえば、高校選手権です。大雪で決勝が延期されましたが、むしろ連戦による選手たちの疲労が軽減されて良かったのではないでしょうか。迎えた19日の試合は、一進一退の白熱した攻防が繰り広げられ、見ていておもしろかったですね。持ち前の粘りで優勝を収めた鵬翔はもちろん、京都橘も攻撃的なサッカーを貫く見事な戦いぶりでした。

 今回、対戦した両校は決勝に進んだのは初めて。新たなチームの台頭は国内でサッカーの層が厚くなっていることを示しています。日本サッカー界が一体となって子供たちの育成に取り組んできたひとつの成果といえるでしょう。

 鵬翔は大会新記録となる4度のPK戦を制しての栄冠でした。PK戦は試合を終えて疲れきった状態で行なうだけに、この勝ち上がり方は大したものです。
 PK戦で大事なのは、正確性、そしてパワーです。疲労困憊のなかでも狙ったところにボールを蹴ることが第一ですが、勢いが弱ければ、いくらいいコースであってもGKに反応されてセーブされてしまいます。逆にボールに力があれば、少々、GKに触られても手を弾いてゴールインする可能性があるからです。

 私の現役時代、PKの練習中に同僚のジーコから「PKは力強いボールを蹴らないとダメだ」とよく言われました。彼は「チョロッとしたキックは、たいがいGKに読まれたり、触られたりするものだ」とも話していました。その点、鵬翔の選手は全員、コースに力強いボールを蹴れていましたね。PK戦を制してきたのも偶然ではなく必然だと思いました。

 もちろんPKを成功させるには「決めて当り前」という重圧に負けない精神的なタフさも必要です。たとえば鵬翔の5人目だった選手は、準決勝で失敗しています。その時はがっかりしていましたが、決勝ではしっかりとボールを蹴り、勝利を決めました。

 彼をはじめ、鵬翔のキッカーは助走の段階で「やるんだ」という力強さが漲っていたように感じます。私の経験上、そういうオーラをまとった選手はだいたい成功します。決勝までに3度のPK戦を経たことで自信も出てきていたのでしょう。京都橘は1人目の失敗が響く結果となりましたが、それ以上に鵬翔のPK戦の経験値が上回った印象を受けました。

ルーキー・植田、鹿島の壁になれるか

 天皇杯、高校サッカーと終われば、待ち遠しいのがJの開幕です。現在、各クラブはキャンプを行い、長いシーズンに向けた準備を進めています。

 古巣・鹿島アントラーズは昨年に続き、チームが大きく変わりました。まず、トニーニョ・セレーゾが指揮官に復帰しました。昨季はジョルジーニョ監督がダブルボランチをワンボランチに変えるなど、短期間でチームの戦い方を変更したため、選手たちの理解が深まらず、スタートのもたつきにつながってしまいました。同じ失敗を繰り返さないよう、今行われているキャンプでセレーゾ監督の掲げるサッカーを十分に浸透させることが逆襲への絶対条件です。

 では、新指揮官はどのようなサッカーを志向しているのでしょうか。それは守備から入る戦い方です。ボランチ出身のセレーゾ監督らしいサッカーとも言えるでしょう。強固なディフェンスから、個の突破やチームとしての崩しを織り交ぜる。チーム内には小笠原満男や本山雅史など、彼が2000年から6季指揮していた時の選手もいます。こういった選手たちがセレーゾ監督のコンセプトを伝える橋渡し役も担ってほしいですね。

 選手構成も大きく入れかわりました。FW興梠慎三(浦和)、MF増田誓志(韓国・蔚山現代)、DF新井場徹(C大阪)ら主力級がチームを去った一方、MF中村充孝(京都)やJ2得点王のFWダヴィ(甲府)らが新たに加入しました。MF野沢拓也(神戸)も復帰しています。攻撃陣は充実しているだけに、一層、守備の安定が必要になってくるでしょう。

 新人では超高校級DFとして加入した植田直通(熊本・大津)に注目しています。彼の優れている点はボールや相手の動きを予測してポジショニングできることです。これはJでも十分通用すると思いますね。

 ボールを奪う時の球際の力強さや相手との駆け引きに不安はありますが、幸いにも鹿島には岩政大樹や青木剛ら経験豊富な先輩がいます。彼らと一緒にプレーし、たくさんのことを学んでほしいものです。繰り返しになりますが、セレーゾ監督は守備を第一に考える指導者です。もし、植田がキャンプでDFとしての総合力を高め、指揮官にアピールできれば、開幕スタメンもあり得るのではないでしょうか。彼には鹿島の新たな壁になることを大いに期待しています。

 キャンプはシーズンの行方を占う重要な準備期間です。全員がケガなく開幕を迎え、今年こそは強い鹿島が戻ってくることを願っています。


植田に注目する大野俊三である。
元日本代表CBは植田のボールや相手の動きを予測してポジショニングとのこと。
開幕スタメンもあり得るとのこと。
これは、素晴らしい。
植田の才能は折り紙付きではあるが、プロの世界でどこまで通用するのかは未知の部分と言えよう。
そこを、大野が十分通用すると語る。
ともなれば否応なしに期待が高まってこよう。
とはいえ、岩政や青木から学ぶものをを吸収し、それをアピールできればと言う注釈付きである。
しかしながら、そこまで大野に言わせてしまう植田の実力に再び惚れ直すところでもある。
植田が加入し、岩政、青木、中田コ、山村、昌子の競争心が煽られた鹿島は、より強固な守備を構築するであろう。
堅固な守備で、強い鹿島が戻ってくる。
期待してシーズンインを待ちたい。
楽しみである。

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1 コメント

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モトさんの字が (ふぁんたじすた)
2013-02-04 15:54:39
間違っているとこが気になりました。
植田選手、大野さんの予想通り活躍してくれることを期待しています!
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