【J1:第17節 神戸 vs 鹿島】レポート:ロングボールで狂った歯車。神戸が“試合巧者”鹿島に惜敗(11.06.23)
6月22日(水) 2011 J1リーグ戦 第17節
神戸 0 - 1 鹿島 (19:04/ホームズ/9,705人)
得点者:37' 田代有三(鹿島)
鹿島が田代有三にロングボールを入れてくるのは、神戸にとっては想定内だった。試合の前々日に和田昌裕監督は「鹿島は田代選手にロングボールを放り込み、セカンドボールを拾う意識が強くなった」と警戒もしている。だが、結果的に神戸は前半のロングボールに対応しきれず、微妙に狂った歯車を最後まで修正しきれないまま試合が終了した。
0-1。前半から神戸はDFラインを高い位置で保ち、2トップの吉田孝行と大久保嘉人にボールを入れながら、攻撃のリズムを作った。前節に比べれば、吉田がDFのマークを外し、頻繁に相手と相手の間に顔を出すことで、効果的な縦パスが入るようにもなった。大久保が前線でタメを作ることで、左サイドの小川慶治朗の鋭い突破も蘇りつつあった。前半6分には小川の左サイドでドリブル突破し、クロスを中央の吉田が詰める決定的な場面も生まれた。立ち上がり約20分は、どちらかと言えば神戸のペース。この時間帯に神戸が先制していれば、違った結果になっていたかもしれない。
逆に鹿島は田代にロングボールを入れ、神戸DFのリズムを徐々に崩していった。前半24分過ぎから、セカンドボールを拾えるようにもなった。26分にはバイタルエリアで鹿島がワンタッチパスをつなぎ、最後は興梠慎三がミドルシュートを放つなど、ゴールへと一歩ずつ近づいていく。28分には野沢拓也のCKを岩政大樹が頭で合わせ、あわや得点というシーンも作った。“じわじわ”といった表現が的確かどうかはわからないが、時間の経過とともに鹿島が主導権を握っていった。
そして、37分に鹿島が先制点を挙げる。オーバーラップした神戸・近藤岳登のボールを鹿島・遠藤康が奪い、そのまま左サイドを駆け上がる。そして興梠と田代が待つ中央へクロスを入れた。これを田代がきっちり決め、鹿島が先制。ゲームの主導権は完全に鹿島が握る格好となった。
後半。早く同点に追いつきたい神戸は、67分に小川からFWポポに変え、1発を狙いにいく。72分には吉田から、高さのある都倉賢を入れ、82分にはボランチの松岡亮輔を下げて朴康造を投入。鹿島の攻撃を警戒しながらも、早いカウンターとパワープレーに行ける布陣へとシフトさせた。だが、最後まで鹿島の厚い壁を崩すことができず。終盤には鹿島の選手たちに神戸陣内でパスを回され、危なげなく逃げ切られた。
前半のロングボールで相手のリズムを崩し、そこからポゼッションを高め、相手の足が止まった時にゴールを奪う。リードしたら、その優位性を生かし、うまく時間をコントロールしながら逃げ切る。結局、鹿島のプラン通りに進んだ試合だったのかもしれない。
だが、神戸も得点こそ奪えなかったが、ブロックを組んで守り、早い展開で崩すという“神戸らしさ”は垣間みられた。前節のシュート3本から考えれば、この短い間によく修正したなという印象である。とはいえ、ここ5試合で勝利はない。試合の前々日に吉田が「勝てば変わる」と語っていたように、今の神戸に必要なのは勝点3。美しい展開でなくてもいい、ドロ臭いゴール上等、とにかく勝って本来の輝きが戻ることを期待したい。
以上
2011.06.23 Reported by 白井邦彦
田代へのロングボールに対応しきれなかったと評する神戸サイドのレポートである。
確かに、田代への長いボールは効果的であり、すらして興梠が走り込んだり、落として野沢が拾ったりと攻撃の手として有効であった。
しかしながら、単純に蹴り込んでおったわけではなく、サイドから崩したり、誓志や満男が起点となったパスがあるからこそ、田代へのボールが驚異となっておるのである。
多彩な攻撃オプションを駆使し、勝利を積み重ねるのだ。
次節より大迫もチームに合流する。
本山も負傷が癒えた。
彼等がもたらす攻撃は、田代へのロングボール以上に魅惑となろう。
攻撃力を増し、夏場を乗り切っていきたい。
期待しておる。
6月22日(水) 2011 J1リーグ戦 第17節
神戸 0 - 1 鹿島 (19:04/ホームズ/9,705人)
得点者:37' 田代有三(鹿島)
鹿島が田代有三にロングボールを入れてくるのは、神戸にとっては想定内だった。試合の前々日に和田昌裕監督は「鹿島は田代選手にロングボールを放り込み、セカンドボールを拾う意識が強くなった」と警戒もしている。だが、結果的に神戸は前半のロングボールに対応しきれず、微妙に狂った歯車を最後まで修正しきれないまま試合が終了した。
0-1。前半から神戸はDFラインを高い位置で保ち、2トップの吉田孝行と大久保嘉人にボールを入れながら、攻撃のリズムを作った。前節に比べれば、吉田がDFのマークを外し、頻繁に相手と相手の間に顔を出すことで、効果的な縦パスが入るようにもなった。大久保が前線でタメを作ることで、左サイドの小川慶治朗の鋭い突破も蘇りつつあった。前半6分には小川の左サイドでドリブル突破し、クロスを中央の吉田が詰める決定的な場面も生まれた。立ち上がり約20分は、どちらかと言えば神戸のペース。この時間帯に神戸が先制していれば、違った結果になっていたかもしれない。
逆に鹿島は田代にロングボールを入れ、神戸DFのリズムを徐々に崩していった。前半24分過ぎから、セカンドボールを拾えるようにもなった。26分にはバイタルエリアで鹿島がワンタッチパスをつなぎ、最後は興梠慎三がミドルシュートを放つなど、ゴールへと一歩ずつ近づいていく。28分には野沢拓也のCKを岩政大樹が頭で合わせ、あわや得点というシーンも作った。“じわじわ”といった表現が的確かどうかはわからないが、時間の経過とともに鹿島が主導権を握っていった。
そして、37分に鹿島が先制点を挙げる。オーバーラップした神戸・近藤岳登のボールを鹿島・遠藤康が奪い、そのまま左サイドを駆け上がる。そして興梠と田代が待つ中央へクロスを入れた。これを田代がきっちり決め、鹿島が先制。ゲームの主導権は完全に鹿島が握る格好となった。
後半。早く同点に追いつきたい神戸は、67分に小川からFWポポに変え、1発を狙いにいく。72分には吉田から、高さのある都倉賢を入れ、82分にはボランチの松岡亮輔を下げて朴康造を投入。鹿島の攻撃を警戒しながらも、早いカウンターとパワープレーに行ける布陣へとシフトさせた。だが、最後まで鹿島の厚い壁を崩すことができず。終盤には鹿島の選手たちに神戸陣内でパスを回され、危なげなく逃げ切られた。
前半のロングボールで相手のリズムを崩し、そこからポゼッションを高め、相手の足が止まった時にゴールを奪う。リードしたら、その優位性を生かし、うまく時間をコントロールしながら逃げ切る。結局、鹿島のプラン通りに進んだ試合だったのかもしれない。
だが、神戸も得点こそ奪えなかったが、ブロックを組んで守り、早い展開で崩すという“神戸らしさ”は垣間みられた。前節のシュート3本から考えれば、この短い間によく修正したなという印象である。とはいえ、ここ5試合で勝利はない。試合の前々日に吉田が「勝てば変わる」と語っていたように、今の神戸に必要なのは勝点3。美しい展開でなくてもいい、ドロ臭いゴール上等、とにかく勝って本来の輝きが戻ることを期待したい。
以上
2011.06.23 Reported by 白井邦彦
田代へのロングボールに対応しきれなかったと評する神戸サイドのレポートである。
確かに、田代への長いボールは効果的であり、すらして興梠が走り込んだり、落として野沢が拾ったりと攻撃の手として有効であった。
しかしながら、単純に蹴り込んでおったわけではなく、サイドから崩したり、誓志や満男が起点となったパスがあるからこそ、田代へのボールが驚異となっておるのである。
多彩な攻撃オプションを駆使し、勝利を積み重ねるのだ。
次節より大迫もチームに合流する。
本山も負傷が癒えた。
彼等がもたらす攻撃は、田代へのロングボール以上に魅惑となろう。
攻撃力を増し、夏場を乗り切っていきたい。
期待しておる。