鹿島アントラーズ原理主義

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FC調布戦レビュー

2010年12月30日 | Weblog
【第90回天皇杯準決勝 鹿島 vs F東京】鹿島側レポート:本山投入で流れを引き寄せた鹿島がラストワンプレーで劇的な逆転勝利!3大会ぶりの決勝進出を果たす。(10.12.30)
12月29日(水) 第90回天皇杯準決勝
鹿島 2 - 1 F東京 (15:00/国立/25,120人)
得点者:39' 平山相太(F東京)、67' 大迫勇也(鹿島)、120'+1 興梠慎三(鹿島)


その瞬間、10番には少し先の未来が見えていたのかもしれない。パスを受けてゴールを向いたとき、目の前には相手のディフェンスを背負った新井場徹がいた。しかし、その背後を、大迫勇也が猛然とゴール前に走り込んでいるのが視界に飛び込んでくる。
「シュートを打とうかと思ってボールを持ちだしたら、サコが良い動きをしていた。通るかなあ、と思ったんだけど」
途中出場してから流れを一変させていた本山雅志は、最後のワンプレーを大迫に託す。すると、大迫もゴール前にパスを折り返すことを選択する。待っていたのはフリーの興梠慎三。右足のボレーで合わせると、120分が過ぎたなかで行われたパス交換は、劇的な逆転ゴールとなって結実した。

試合前日、軽めの全体練習が終わった後、先発する11人の選手たちは思い思いにシュート練習を行っていた。オリヴェイラ監督はそこにもう一人の選手を加える。それが本山だった。
「先発以外の選手と練習してたら、すぐに監督が『あっちでやれ』って言ってきて。もし、明日出たらガツガツ行きますよ」
監督の中では、ジョーカーとして本山を使うプランがすでに頭の中にあったのかもしれない。試合展開はまさにその通りのものとなった。

前半から鹿島は苦戦を強いられた。名古屋戦のように興梠・大迫の2トップがスピードを生かしてパスを受けに走ってもフリーになることができず、今野泰幸、森重真人がピタリと背後に付いてくる。序盤に野沢拓也や興梠が迎えたチャンスがあったものの、それを権田修一に弾かれてしまうと苦しい時間帯が続くようになってしまった。そして39分に、平山相太の豪快な一発で先制を許してしまう。

そこでオリヴェイラ監督は、思い切った一手を打つ。後半頭から大岩剛に代えて青木剛を投入し、中田浩二を最終ラインに下げたのだ。これにより、鹿島の守備は安定し、攻撃についてもじっくりとパスを回しながら組み立てていくことが可能になる。ただ、それでも相手のゴール前に侵入する回数が少ない。すると、61分にピッチ脇でアップのペースを上げさせていた本山を入れるカードを切る。この采配がずばり当たった。
ポジション的には本山はトップ下の位置に入り、大迫が左に開く4-2-3-1のような形となり、センターバックとボランチの間でパスを受けるのが上手い本山の特長を最大限に生かす布陣に変更したのである。
これで一気にF東京のゴールを脅かす回数が増える。そして、67分に左サイドを崩すと宮崎智彦のクロスに大迫が頭で飛び込み同点に追い付く。
「FWにタイトについてたけど、そのせいでタクとかモトがフリーだった。モトとかタクをうまく使いながら攻めようと思っていた」
本山が入ったことで、小笠原満男も積極的にゴール前に顔を出すようになる。パートナーが青木剛に変わり、さらに背後にはバランスを取ってくれる中田浩二が控えている。攻撃はぶ厚かった。

ただ、そこからF東京も粘りを見せる。72分に、相手の切り札である石川直宏をピッチに送り、形勢逆転を狙ってきた。しかし、この日の鹿島は全員が同じ思いを共有しながら戦っていた。
小笠原は言う。
「慌ててつっかけてカウンターを受けるのが一番嫌だったので、落ち着いて回せたと思う」
F東京が勢いに乗るのは、石川を起点にしたカウンターの形となった時が多い。そこを防ぐため、じっくりとパスを回して攻めることで、相手の得意な形をつくらせなかった。
そのせいで、逆転ゴールを生むまでに時間がかかってしまったのは誤算だったが、一体感が生まれたのは何よりだ。今季の鹿島は、ACLにせよ、ナビスコ杯にせよ、リーグ戦にせよ、ベンチやゴール裏を含めた一体感が生まれた試合は少なく、あっけない幕切れで戦いを終えていた。それだけに、一丸となって戦い抜き、勝利という結果を手にしたことは、何ものにも代えがたい。勝利と同時に、ベンチから全員がピッチに飛び出し、ゴール裏が歓喜で飛び跳ねる光景は本当に久々のものだった。

試合後、「疲れたね」と疲労の色を隠さない選手も多かった。ただし、次も勝たなければACLに出場することはできなくなり、今季は無冠で終わってしまう。引退する大岩剛のためにという思いはもちろんだが、今は自分のために戦っている選手が多いと感じられる。「天皇杯を取りたい」「ACLには絶対に出たい」という熱が再びチームに生まれ、一体感を生んでいる。そんな後輩たちに、大岩は「僕が支えなければいけないのに、逆にみんなに支えられた」と、目を細めていた。

輝く星の数を増やすまであと1つ。鹿島が激闘を制し、3大会ぶりの決勝に進出した。


以上
2010.12.30 Reported by 田中滋


本山の活躍はプラン通りであったとのこと。
まさに総力戦と言えよう。
今季の公式戦は残り一つ。
勝利で終え、アジアに挑みたい。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-12-30 22:33:13
来年のACLに出る事も大切だけどそれ以上にタイトルが欲しい!無冠で終わりたくない!無冠で終わる訳にはいかない!タイトルを取る事でアントラーズの強さを証明できる!あとは最後の死闘に全力で挑むのみ!アントラーズファミリーの全総力を結集し元日を有終の美で飾りたい!最後に笑うのは鹿島アントラーズだ!!
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