【J1:第15節 柏 vs 鹿島】レポート:両者が持ち味を存分に発揮した壮絶なる一戦は、1-1のドローで勝点1ずつを分け合う結果に。(12.06.24)
6月23日(土) 2012 J1リーグ戦 第15節
柏 1 - 1 鹿島 (18:35/柏/13,987人)
得点者:50' 小笠原満男(鹿島)、90'+4 近藤直也(柏)
前節の大宮戦に引き続き、柏のゲームの入りは完璧だった。大谷秀和と栗澤僚一がゾーンの間でビルドアップのパスを受け、そこからレアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネルへ捌いていく。全体的にボールの回りが非常にスムーズで、ピッチ上をワイドに使いながらバイタルエリアでは田中順也、工藤壮人が攻撃に絡み一気にテンポを上げた。鹿島も陣形をリトリートし、予想通りボールを奪ったら素早く前線の興梠慎三、大迫勇也に預け、カウンターを狙う策に出る。互いに狙い通りの形には持ち込めていたが、柏は「前半のレイソルに足りなかったのはフィニッシュ」(ネルシーニョ監督)というように、敵陣深くまで攻め込むも、手数をかけ過ぎてシュートを撃てず、鹿島も鋭いカウンターを繰り出すものの、最後は近藤直也、クォン ハンジン、那須大亮らが興梠と大迫の突破を最後のところで封じていた。
後半立ち上がり。右サイドの遠藤康に田中と大谷が挟み込みに行くが奪い切れず、栗澤もそのフォローに回ってしまったため、この瞬間、柏のバイタルエリアにはぽっかりとしたスペースが生じた。興梠のポストプレーから、そのスペースでパスを受けたのは小笠原満男。試合を通じて、柏が小笠原を放したのはこの一度だけであった。これだけフリーにし、シュートコースを狙い定める時間を与えてしまえば、小笠原クラスの選手ならばゴールを挙げるのは難しいことではない。50分、自らゴール正面へ持ち出した小笠原の左足が一閃となって、鮮やかに柏のゴールネットに突き刺さった。
ここから最終ラインと2列目とで形成する鹿島の二層の壁がバイタルエリアのスペースをきっちり埋め、その守備の攻略に柏は苦しんだ。マーカーをほんの一瞬でも外せればシュートチャンスを見出す柏の2人の外国籍選手のシュートが鹿島のゴールに襲いかかるが、曽ヶ端のファインセーブが何度も飛び出し、サイドを駆け上がった酒井宏樹も高速クロスを入れるのだが、中央ではセンターバックの岩政大樹が相変わらず空中戦の強さを発揮し、弾き返し続ける。
鹿島も守備一辺倒ではなく、バランスを崩して前傾になる柏の手薄な守備をカウンターで的確に突いた。特にアディショナルタイムに入った91分には、曽ヶ端のパントキックを遠藤、ジュニーニョとつなぎ、DFラインの裏へ抜け出した大迫が、菅野孝憲をワンタッチでかわす決定的な場面を作った。だが大迫のシュートはカバーに入った茨田陽生が間一髪でブロック。ここで追加点を挙げられなかったことが、後に大きく結果に響くのだった。
パワープレー気味にゴール前へ入れる柏。密集地帯の混戦で、ジョルジと競り合った西大伍にハンドがあり、PKの判定が下される。レアンドロのキックに対し、読みの的中した曽ヶ端がボールに触り、ポストに直撃して柏は絶好のチャンスを逸したかに思えたが、このこぼれ球を近藤が詰めて1-1となった。アディショナルタイムは4分と表示されていたため、この94分のゴールは柏にとってはまさに起死回生であり、鹿島にとっては痛恨の一撃だった。
最後の最後で勝利が手元からスルリと抜け落ちた鹿島が「勝点2を失った」と捉えるのは当然である。ただ、試合全体を通し、小笠原を放したたった一度のシーンで失点を喫した柏にとっては、それ以外の場面ではほぼ鹿島の攻撃に対応できていただけに「もったいない」という悔やまれる試合となった。そう考えれば、やはり1-1のドローで勝点1ずつを分け合ったのは妥当な結果なのかもしれない。
とはいえ、両者が持ち味を存分に発揮し、見応えのある試合を演じたのは揺るぎない事実。このハイクオリティのパフォーマンスを発揮できるチームには、11位と13位という現在の位置は到底相応しくはない。水曜日に柏は未消化分のF東京戦を戦い、鹿島はヤマザキナビスコカップを挟んで次節は新潟と対戦する。柏も鹿島も、間違いなく復調の兆しは掴んでいる。あとはそれを、結果に結び付けることが重要だ。
以上
2012.06.24 Reported by 鈴木潤
お互いが持ち味を発揮したと語る柏視点のレポートである。
当然のことのようにジャッジには一言も触れておらぬ。
柏としては、偏ったジャッジが繰り返され恩恵を受けた以上、語る必要は無かろう。
しかしながら、メディアという立場としては、この試合のジャッジと、これまで幾度となく繰り返されてきた今季の鹿島に対するレフェリングに対してコメントする必要があるのではなかろうか。
確かに、J'sGOALは審判批判に対してあまりにもネガティブであり、徹底的に検閲して載せぬ方針を貫いておる。
とはいえ、ここは末端から戦っていかねば、Jリーグが、そして日本サッカーが衰退の憂き目を見ることとなるであろう。
何度でも声を上げようではないか。
ジャッジの偏りを無くすのだ。
心から願う。
6月23日(土) 2012 J1リーグ戦 第15節
柏 1 - 1 鹿島 (18:35/柏/13,987人)
得点者:50' 小笠原満男(鹿島)、90'+4 近藤直也(柏)
前節の大宮戦に引き続き、柏のゲームの入りは完璧だった。大谷秀和と栗澤僚一がゾーンの間でビルドアップのパスを受け、そこからレアンドロ ドミンゲス、ジョルジ ワグネルへ捌いていく。全体的にボールの回りが非常にスムーズで、ピッチ上をワイドに使いながらバイタルエリアでは田中順也、工藤壮人が攻撃に絡み一気にテンポを上げた。鹿島も陣形をリトリートし、予想通りボールを奪ったら素早く前線の興梠慎三、大迫勇也に預け、カウンターを狙う策に出る。互いに狙い通りの形には持ち込めていたが、柏は「前半のレイソルに足りなかったのはフィニッシュ」(ネルシーニョ監督)というように、敵陣深くまで攻め込むも、手数をかけ過ぎてシュートを撃てず、鹿島も鋭いカウンターを繰り出すものの、最後は近藤直也、クォン ハンジン、那須大亮らが興梠と大迫の突破を最後のところで封じていた。
後半立ち上がり。右サイドの遠藤康に田中と大谷が挟み込みに行くが奪い切れず、栗澤もそのフォローに回ってしまったため、この瞬間、柏のバイタルエリアにはぽっかりとしたスペースが生じた。興梠のポストプレーから、そのスペースでパスを受けたのは小笠原満男。試合を通じて、柏が小笠原を放したのはこの一度だけであった。これだけフリーにし、シュートコースを狙い定める時間を与えてしまえば、小笠原クラスの選手ならばゴールを挙げるのは難しいことではない。50分、自らゴール正面へ持ち出した小笠原の左足が一閃となって、鮮やかに柏のゴールネットに突き刺さった。
ここから最終ラインと2列目とで形成する鹿島の二層の壁がバイタルエリアのスペースをきっちり埋め、その守備の攻略に柏は苦しんだ。マーカーをほんの一瞬でも外せればシュートチャンスを見出す柏の2人の外国籍選手のシュートが鹿島のゴールに襲いかかるが、曽ヶ端のファインセーブが何度も飛び出し、サイドを駆け上がった酒井宏樹も高速クロスを入れるのだが、中央ではセンターバックの岩政大樹が相変わらず空中戦の強さを発揮し、弾き返し続ける。
鹿島も守備一辺倒ではなく、バランスを崩して前傾になる柏の手薄な守備をカウンターで的確に突いた。特にアディショナルタイムに入った91分には、曽ヶ端のパントキックを遠藤、ジュニーニョとつなぎ、DFラインの裏へ抜け出した大迫が、菅野孝憲をワンタッチでかわす決定的な場面を作った。だが大迫のシュートはカバーに入った茨田陽生が間一髪でブロック。ここで追加点を挙げられなかったことが、後に大きく結果に響くのだった。
パワープレー気味にゴール前へ入れる柏。密集地帯の混戦で、ジョルジと競り合った西大伍にハンドがあり、PKの判定が下される。レアンドロのキックに対し、読みの的中した曽ヶ端がボールに触り、ポストに直撃して柏は絶好のチャンスを逸したかに思えたが、このこぼれ球を近藤が詰めて1-1となった。アディショナルタイムは4分と表示されていたため、この94分のゴールは柏にとってはまさに起死回生であり、鹿島にとっては痛恨の一撃だった。
最後の最後で勝利が手元からスルリと抜け落ちた鹿島が「勝点2を失った」と捉えるのは当然である。ただ、試合全体を通し、小笠原を放したたった一度のシーンで失点を喫した柏にとっては、それ以外の場面ではほぼ鹿島の攻撃に対応できていただけに「もったいない」という悔やまれる試合となった。そう考えれば、やはり1-1のドローで勝点1ずつを分け合ったのは妥当な結果なのかもしれない。
とはいえ、両者が持ち味を存分に発揮し、見応えのある試合を演じたのは揺るぎない事実。このハイクオリティのパフォーマンスを発揮できるチームには、11位と13位という現在の位置は到底相応しくはない。水曜日に柏は未消化分のF東京戦を戦い、鹿島はヤマザキナビスコカップを挟んで次節は新潟と対戦する。柏も鹿島も、間違いなく復調の兆しは掴んでいる。あとはそれを、結果に結び付けることが重要だ。
以上
2012.06.24 Reported by 鈴木潤
お互いが持ち味を発揮したと語る柏視点のレポートである。
当然のことのようにジャッジには一言も触れておらぬ。
柏としては、偏ったジャッジが繰り返され恩恵を受けた以上、語る必要は無かろう。
しかしながら、メディアという立場としては、この試合のジャッジと、これまで幾度となく繰り返されてきた今季の鹿島に対するレフェリングに対してコメントする必要があるのではなかろうか。
確かに、J'sGOALは審判批判に対してあまりにもネガティブであり、徹底的に検閲して載せぬ方針を貫いておる。
とはいえ、ここは末端から戦っていかねば、Jリーグが、そして日本サッカーが衰退の憂き目を見ることとなるであろう。
何度でも声を上げようではないか。
ジャッジの偏りを無くすのだ。
心から願う。