趣味・興味プラス挑戦

郷土史、登山、スキーなどを写真と共に書き綴っております

この景観の背景が知りたい:丸山千枚田

2010-07-20 12:48:45 | 

  丸山千枚田の感動を私達が今も体験できる驚き
 
 =先人の知恵・苦労を後世に伝えようと地元住民が=

6月の半ばにこの千枚田を写真仲間と共に訪れました。小・中学生時代に
半ば強制労働(おふくろさん、ごめんね)を強いられたKennyにとって、当時では
稲作の一番初めの作業だった株取りも手作業なので田の大小、段差は関係ない

これじゃー、刈った(苗ならまだええが)稲運び、ハサ掛け(稲の天日干し)がよけい

農作業を嫌いにするではないか!! 高台から眺める風景としては珍しいがえらい
トラウマ物だ、が第一印象です。

しかしそんな感想だけではその地まで滋賀から片道5時間弱も掛けて出かけた値打
はない。ちょっと背景を知りたくなり当日田んぼにおられた地元のおじさんのお話と
更にインターネットでほんの短時間ですがこの棚田の事を探って忘備録の積もりで書い
てみました。

                   (日記掲載期間:7月23日ー7月29日)


    江戸時代には2240枚もあったとの記録が残っている
                           

   
     展望台から:山道をくねくね曲がって峠にでれば目の前に全景が

       =地元住民と町上げての復旧作業のご苦労=

関が原の戦いの翌年、慶長6年(1601年)の検地で2240枚棚田があった
との記録が残されているそうです。更にその後広さで約1.6倍まで増え続けて
明治から戦後までそのままの規模が維持されてきたが、やはり時の流れには
逆らえず過疎化の関係で平成の初めには500枚に衰退した。そこで貴重な
文化的景観をなくしてしまうのは偲びがたいと地元住民と紀和町が立ち上がり
復旧作業の地道な手作業で現在の1340枚にまで回復したとの事でした。

   
     本当は上の写真のこの二株の田が丸山では一番小さな田かな?

当日その場に居られたおじさんのお話しでは、実はこの段差も重要な
意味があり、田が崩れることから守るため水が徐々に落ちるようにとの
工夫がある。でも上に畦がないので一枚の田んぼとは言えないんでねー、
と。

   
             丸山千枚田で一番小さな3株の水田

この小さな田は観光客用の見世物ではないことは以前このブログで取上げ
ましたが、これも水が上部の田から下へ流れる落差を少なくして田の崩れを
防ぐ先人の知恵だと棚田の後継者と思われる先述の農作業中のおじさん
の弁です。

        日本の棚田百選で最大級の丸山千枚田

   
                 山の斜面の有効利用として石垣や土手で田んぼを

石垣や強固な土手で山の斜面に平たい地面を造成しそこに田んぼを作って
行きます。それが結果として下の田から最上部の田まで高低差100mもある
棚田の形成に繋がる訳です。    
  

   
               注意深く田んぼに目をやると

畦から水が流れ落ちています。それも畦の低い位置から注ぐようにです。
これも先人の知恵で小・中学時代Kennyは春先と刈り取りの秋には一人前
の百姓でしたからよくよく理解できます。

                    ちょっと一服

   
           植え込みから田んぼの向こうに綺麗なお花が

道端にはアジサイの花などが植えられています。その隙間を覗いて見ると
田んぼを挟んで畦にまた別の綺麗な花が咲いていました。
 
    

私達観光客に暫し休息の時間を与えてくれる工夫がなされています。この赤い
花の後には東屋があり弁当を広げることも出来ます

      この景観の維持もだんだんと困難になるのでは?
       =でもちゃんと工夫されたシステムがありました=

   
               綺麗に手入れされて整った棚田

それはオーナー制度です。地元の方だけで先人の知恵と苦労、景観を守って
行くことは困難なことから、毎年2月(正確には当局で)にオーナーを募集して
田んぼを借りて貰います。オーナーは田植えと収穫の時期には農作業をし
日常の管理は地元の公社がされるので遠方の方でも参加出来るとHPには
書かれています。

   
        歴史を刻むとの意味であろうか、手洗いの前には時計が

今回の旅で久しぶりに刺激を戴きました。正に目の覚める思いの風景に
接する事が出来ました。滋賀県から新名神で亀山JCTに、伊勢自動車道
に入り勢和多気JCTへ。更に紀勢自動車道へと進み紀勢大内山ICで国道
42号線におります。42号線を進み風伝峠を過ぎて311号線に入ればあと
少しで棚田着です。ICから約2時間半、滋賀からは5時間弱の旅でした。
遠いと言えばそうだが一見の価値はあります。

補足情報として:
以前にこのブログで既に取り上げた事ですが、この水田が今も受け継がれ
る理由の一つとして、当のおじさんのお話をもう一度紹介させて頂きます。

それは:
  1.この丸山千枚田は土、水、太陽の稲作には絶好の良い環境にある
  2.:このように山の中でしかも傾斜に田がある。腐葉土が流れ込む
    いい条件にある。つまり山の腐葉が土に養分を与えてくれる。
  3.:これも山の中を流れてくる間に稲作に大事な養分を含んでいる
  4.太陽:一日中日が差す南斜面で、また傾斜で満遍なく均等に日が当る


        今日もご覧下さいましてありがとうございました

コメント (6)
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