犬や猫を飼う時には、
「命には限りがある」
という現実に、
同意する覚悟が必要だと思う。
彼らの寿命は僕たちよりも短い。
そうわかっていながら、
リタの”老い”を目の当たりにして、
僕の感情は揺れる。
足腰は弱り、もう階段を降りることはできない。
ソファで寝落ちしていた家人(小)を温めてくれた時のように、
もうその場所に飛び乗ることはできない。
雷が鳴ると怯えていたのに、もう怯えることはない。
聴こえないからだ。
白濁した瞳は、僕を写しているのだろうか。
朝、リビングに上がると、
僕の足音で目覚めたリタは、
いささか不安な足取りで近寄ってくる。
手を差し向けると、僕の匂いを嗅ぐ。
嗅覚だけはまだたしかなのだろうか。
残されている時間はそう多くはない。
でもそれを短いと思うのは僕のエゴであり、
彼女にとっては、与えられた時間を使い切ることになるはずだ。
と、わかっていても、わからない。
わかっているのに、わからないのだ。
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