読書:『転換期を生きるきみたちへ/内田樹編』

2016年08月06日 09時15分56秒 | エンタメのかけら
『転換期を生きるきみたちへ/内田樹編』(晶文社)を読みました。

11人の書き手が参加しており、
各章、考えさられることばかりでした。

たとえば、政治学・社会思想の専門家・白井聡さんは、
最近の選挙の投票率の低下は、
「投票したい人がいない」「どうせ行っても何も変わらない」
という行動様式は「消費社会的合理性」の上では正しい。
しかしながら、「投票」と「お買い物」を同じようなものだとらえる感覚が
根源的な誤りであると書いています。

もう少し詳しく説明すると。

お買い物は僕たちは選び放題です。
この店で気にいるものがなければ次の店へ。
最終的に「買わない」という選択もできます。
お買い物には”選択可能性”があるのです。

以下、本文をそのまま引用します。




『政治権力を委ねる相手を選ぶという行為は、買い物に出かけることとは、全く異なるものです。
 積極的に選びたい候補者がいようがいまいが、選ばれた権力は現実に私たちの生活に影響を及ぼします。
 その意味で、投票という政治行為に、選択可能性はないのです』



本来異なる「投票」と「お買い物」を混同するようになってしまったのか。
それは高度消費社会の影響だと筆者は分析しています。
この影響は政治のみならず、教育などあらゆる分野に及んでいるのです。

かなり端折りましたが、
こんな一文を読むと、
選挙の度に出回る「白紙投票もひとつの意志表示」という言説が、
いかに愚かなことかわかります。

あるいは映画作家の想田和弘さんの『「中年の危機」にある国で生き延びるために』を読むと、
現政権の経済政策がどんなに愚かなことかわかります。

中高生向けに書かれた本ですが、
今まで社会に対して諦めていたり無関心であったりしてきた、
20代・30代・40代・・・が実は読むべき本なのではないかと思います。
この先、自分は何ができるのかを考えるために。