出会い系サイトの偽客(さくら)の女性は、
実は男がやっている場合が多い。
Mさんもかつて、偽客のバイトをやっていた。
バイトはみんな、
何人かの女性キャラを担当するのだが、
Mさんの担当の中に、資産家の未亡人がいた。
私とつきあってくれたら、
数百万円差し上げますと言うのが、
彼女の手口だ。
こんな見え見えの手で、
引っかかる奴がいるのかと思うが、
リアリティのある女性キャラより、
ずっと人気あったそうだ。
サイトの責任者曰く、
「我々は夢を売っているんだ」
なるほど。
そんな未亡人キャラの馴染みとなった男性がいた。
アクセス数だけ課金されるので、
会う会うと言いながら引き延ばすのが、
偽客の腕の見せどころだ。
すると、ある時、その男性が言い出した。
「数百万円とはいいません。
10万円でいいから貸してください」
そして10万円が必要な理由を切々と語り出したそうだ。
それを読んだ未亡人キャラ(正体はMさん)は、
彼の生活状況などを詳しく聞いた後、
「あなたなら大丈夫。
~~すれば、10万円ぐらいすぐ稼げるよ!」
と励ましの言葉を送った。
すると、相手の男性は、
こんなに親身になって考えてくれるなんてと感激。
その日から真面目に働き始めたそうだ。
同時にMさんも、
あほらしくなったのか、
それとも罪悪感が湧いたのかはわからないが、
その日かぎりで偽客のバイトを辞めたそうだ。