「どうしてテレビの人はあんなに視聴率を気にするのか」
友人の役者にそう尋ねられた。
「ドラマだって視聴率は気にするだろうし、
出演者だって視聴率が悪いよりは良い方がいいだろう」
と答えたのだが、
よくよく話を聞くと、
彼の言う視聴率の問題はもっと深刻なものだった。
ドラマの現場でも最近「分計」を気にするようになったという。
「分計」というのは1分ごとの視聴率のことで、
バラエティ番組では、この「分計」分析がしばしば行われる。
「分計」が上がっているところを伸ばし、
「分計」が下がっているところを改善していくためだ。
同じようなことがドラマでも起きているらしい。
たとえば、
「◎◎さんと××さん二人のシーンの分計が上がっているからこの二人のシーンを増やそう」
バラエティ番組でこれをやっても番組が壊れることはないが、
ドラマでやると物語としてのバランスがおかしなものになってくるはずだ。
だが、役者から見るとそんなことはおかまいなしの脚本が上がってくるという。
それがすべてのドラマの現場の話ではないと思うが。
もしこの事態が今後蔓延してきたら、
ドラマの未来は暗いのではないか。