それはある田舎の通夜での出来事だ。
若くして亡くなった故人を悼んで、
悪友たちが集まった。
布団に寝かされた故人を囲み、
酒を飲みながら思い出話をするうちに、
「そういえばこいつ酒好きだったよな」
という話になった。
そこで仏様の口元にコップを寄せ、
酒を飲ませてやった。
ここまでは、まあ、悪い話ではない。
問題はここからだ。
また別の悪友が言い出した。
「そういえばこいつカレーも大好きだったなあ」
全員が悲しみと酔いで判断能力を失っていた。
コンビニに走りカレーを買ってくると、
仏様にカレーを食べさせようとしたのだ。
驚いたのはその様子を目撃した故人の家族だ。
「なにしてるの!」
すぐさま悪友たちは追い出されてしまった。
翌日。
出棺の直前に仏様の口元を見ると、
黄色く染まっていたという。
どうやら亡くなると、
カレーの色素が染み込みとれなくなるらしい。
教訓。
死体に色についたものを食べさせてはいけない。