舞踏家の大野一雄が亡くなった。
もうずいぶん前になるが、
誘われて、
彼の舞台を2回だけ観たことがある。
1回目はもう公演名も忘れてしまったが、
横浜のはずれにあるホールだった。
2回目は2001年の『花』だったと思う。
車椅子に乗り、上半身、というか手だけで踊った。
記憶の強く焼きついているのは、
初めて観た公演のラストシーンだ。
高い天井から、
花びらだか羽根だかを模した、
大きな薄いものが、
はら、
はら、
はら、
ととても静かに、
ゆっくり、
舞い降りてくる。
漆黒の空間を、
はら、
はら、
はら、
と大きな薄いものが落ちてくる様は、
今までに見た、
天井から何かが降ってくるどんな舞台演出よりも美しく、
まさに息を呑んで見つめた。
訃報を知り、
あの時の光景が鮮やかに蘇ってきた。