読書:『オールバックの放送作家/高橋洋二』

2009年06月05日 08時41分31秒 | エンタメのかけら

高橋洋二さんは、
僕が初めて会った”放送作家”だった。

正確にいえば、
『夜マゲドンの奇蹟』というラジオ番組で、
高橋さんと会う数ヶ月前に、
すでに今の事務所に入っており、
そこで先輩放送作家とは会っていた。

だが、高橋さんはそれとは別の存在だった。
放送業界に入る前、
放送作家といえば、2、3人しか名前を知らなかった。
その中の1人が高橋洋二さんだったのだ。

初めてついたラジオの現場での仕事といえば、
ハガキの下選びとクイズ作り。
遊べる余地は、
クイズコーナーの参加者募集告知ぐらいであり、
そこに入れた小ネタをキッチュさんが読んだ時、
隣で高橋さんが笑うのを見ると、
「やった!」と心の中で喜んだものだ。
(ちなみに高橋さんの笑い声はとてもラジオ的で、
 今でも爆笑問題の番組などでよく聴こえてきます)

そんな高橋さんの本が出た。

まず表紙にやられた。
装丁が和田誠だ。
和田誠に自分の似顔絵を描いてもらっている。
今の放送作家で、
自分が本を出すときに、
和田誠に装丁してもらおうと考える者がいるだろうか。
たぶん、いない。

そのあたりにも高橋さんらしさを感じる。

しかも、出版社は「国書刊行会」だ。
国書刊行会は、幻想小説などばかり出す出版社だと思っていたが。
実際、本にはさまっていた新刊案内を見ると、
高橋さんの本の前後には、
『ブルターニュ幻想民話集』『定本久生十蘭全集』『妖術幻想』。
明らかに『オールバックの放送作家』だけ、トーンが違う。

そこもまた高橋さんらしさだ。

中には「小説新潮」に連載されたものを中心に、
大量のエッセイが詰まっている。
デスクの上に常備しておき、
仕事の合間にゆっくり読もうと思う。