高橋洋二さんは、
僕が初めて会った”放送作家”だった。
正確にいえば、
『夜マゲドンの奇蹟』というラジオ番組で、
高橋さんと会う数ヶ月前に、
すでに今の事務所に入っており、
そこで先輩放送作家とは会っていた。
だが、高橋さんはそれとは別の存在だった。
放送業界に入る前、
放送作家といえば、2、3人しか名前を知らなかった。
その中の1人が高橋洋二さんだったのだ。
初めてついたラジオの現場での仕事といえば、
ハガキの下選びとクイズ作り。
遊べる余地は、
クイズコーナーの参加者募集告知ぐらいであり、
そこに入れた小ネタをキッチュさんが読んだ時、
隣で高橋さんが笑うのを見ると、
「やった!」と心の中で喜んだものだ。
(ちなみに高橋さんの笑い声はとてもラジオ的で、
今でも爆笑問題の番組などでよく聴こえてきます)
そんな高橋さんの本が出た。
まず表紙にやられた。
装丁が和田誠だ。
和田誠に自分の似顔絵を描いてもらっている。
今の放送作家で、
自分が本を出すときに、
和田誠に装丁してもらおうと考える者がいるだろうか。
たぶん、いない。
そのあたりにも高橋さんらしさを感じる。
しかも、出版社は「国書刊行会」だ。
国書刊行会は、幻想小説などばかり出す出版社だと思っていたが。
実際、本にはさまっていた新刊案内を見ると、
高橋さんの本の前後には、
『ブルターニュ幻想民話集』『定本久生十蘭全集』『妖術幻想』。
明らかに『オールバックの放送作家』だけ、トーンが違う。
そこもまた高橋さんらしさだ。
中には「小説新潮」に連載されたものを中心に、
大量のエッセイが詰まっている。
デスクの上に常備しておき、
仕事の合間にゆっくり読もうと思う。