『クラウド アトラス』前代未聞 <5分41秒>長尺予告編
以前は毎週観にいっていて映画も,学校に通いだしてからめっきり観る機会が減っているんですが,この映画は,観とかなきゃって気がしたんで,ちょいと行ってきました。
また,スゴイ映画を作ったもんですな。
ここまで,来ましたか。
ウーン。
アイディアはとても単純です。
輪廻転生,とどっかに書いてありましたが,ちょっと違う。
登場人物に,死ぬということは別の人生への入り口に過ぎない,とハナシの構成上,言わせてますが,映画のテーマとはとても言えません。いわゆる転生物語,つまり一つの思い,一つの運命を引き受けながら別の生をまた生きるというハナシはほとんど入ってないんですね。
時代世代を経て,最後に結ばれる,という恋愛ストーリー,と観れなくもないですが,
そういう甘い味付けは,ほとんど感じ取れなくなってます。付けたしなんですな。魂が運命を引きずって再び同じ人を愛するというよりは,物語は繰り返される,というニュアンスの方が強いです。
生まれ変わって何度も別の似たような物語を生きる,
と言うよりは,むしろ,物語というもの,そのものがテーマになっていて,
物語が,どんなに多様ではあっても,例えばコメディーであったり,社会派ドラマであったり,SFであったりしても,実は同型なのであって,変奏に過ぎないのだ,
という,見切りというか,諦念というか,
物語とは何かを物語としてみせる,という入れ子構造になっているんですね。
バーチャルリアリティを生きる現実の自分も,実はバーチャルだった,という『マトリックス』と似ていなくもない。物語はどこまでも物語性、物語制約から逃げ出すことはできないという意味でですが。
ただ,人生はバーチャルなものだ,とか,相対化視線は完全に否定されていて,逆にストーリーの確固とした実在,永遠性が本作では強調されています。
未来のストーリーが,それ以前の時代のハナシに出てくる作曲家にインスピレーションを与える,とか,その曲をまた別の時代のストーリーの登場人物が聞いて,何かを思い出す,とか。時間まで超えて,相互確証的に,存在を保障しあう形を取っていて,単なる実在性という以上に,目に見える実在を超える実在性とでも呼ぶべき次元を表現しようとしているんですね。
ストーリーが過去にも,未来にも,共時的につながっていることを,時代の異なる各ストーリーを同時並行的に,しかも同じ俳優女優に、違う人物だけど同じキャラ,つまり強欲や時代を映しだす才能や正義の象徴,として演じさせる,という手法を使うことで,そうした実在以上の実在を表現しているのだと思います。
ちょっと抽象的な書き方をしてしまってますが,この映画,娯楽作としても第一級です。複雑な構造ではありますが,うまく作られていて観てて混乱することは無いし,並行するドラマがどれも面白くて,長い映画ですが全く飽きません。
冒頭,トム・ハンクスの語りで始まり,次々に語り手を変えて、違うように見えるけれども実は同じ物語を紡いでゆき,最後に,またトム・ハンクスの語りのシーンに戻ってくるという構成で,
語りの世界,物語とは一体何なのだろうか,という難しいテーマを,
大娯楽作としてまとめたって感じでしょうか。
うっかりしてると,この映画のスゴさに気付かない,位に洗練されてます。
娯楽作としての仕掛けも一杯で,基本的な作品のアイディアが控えめになっている,ということでもありますね。オムニバスを同時並行でみせられた映画として観ても、とても面白い。
この映画を観て,ほのかに感じる解放感,
というのは,我々が運命として引き受けているそれぞれの物語は,実は時代を超えて,あらゆる魂が同じように演じているもので,物語にとらわれて生きるのが人間の宿命である,
だから,気にしなさんな,
的な意味を,受け取れる仕掛けになっているから,かも知れませんね。
以前は毎週観にいっていて映画も,学校に通いだしてからめっきり観る機会が減っているんですが,この映画は,観とかなきゃって気がしたんで,ちょいと行ってきました。
また,スゴイ映画を作ったもんですな。
ここまで,来ましたか。
ウーン。
アイディアはとても単純です。
輪廻転生,とどっかに書いてありましたが,ちょっと違う。
登場人物に,死ぬということは別の人生への入り口に過ぎない,とハナシの構成上,言わせてますが,映画のテーマとはとても言えません。いわゆる転生物語,つまり一つの思い,一つの運命を引き受けながら別の生をまた生きるというハナシはほとんど入ってないんですね。
時代世代を経て,最後に結ばれる,という恋愛ストーリー,と観れなくもないですが,
そういう甘い味付けは,ほとんど感じ取れなくなってます。付けたしなんですな。魂が運命を引きずって再び同じ人を愛するというよりは,物語は繰り返される,というニュアンスの方が強いです。
生まれ変わって何度も別の似たような物語を生きる,
と言うよりは,むしろ,物語というもの,そのものがテーマになっていて,
物語が,どんなに多様ではあっても,例えばコメディーであったり,社会派ドラマであったり,SFであったりしても,実は同型なのであって,変奏に過ぎないのだ,
という,見切りというか,諦念というか,
物語とは何かを物語としてみせる,という入れ子構造になっているんですね。
バーチャルリアリティを生きる現実の自分も,実はバーチャルだった,という『マトリックス』と似ていなくもない。物語はどこまでも物語性、物語制約から逃げ出すことはできないという意味でですが。
ただ,人生はバーチャルなものだ,とか,相対化視線は完全に否定されていて,逆にストーリーの確固とした実在,永遠性が本作では強調されています。
未来のストーリーが,それ以前の時代のハナシに出てくる作曲家にインスピレーションを与える,とか,その曲をまた別の時代のストーリーの登場人物が聞いて,何かを思い出す,とか。時間まで超えて,相互確証的に,存在を保障しあう形を取っていて,単なる実在性という以上に,目に見える実在を超える実在性とでも呼ぶべき次元を表現しようとしているんですね。
ストーリーが過去にも,未来にも,共時的につながっていることを,時代の異なる各ストーリーを同時並行的に,しかも同じ俳優女優に、違う人物だけど同じキャラ,つまり強欲や時代を映しだす才能や正義の象徴,として演じさせる,という手法を使うことで,そうした実在以上の実在を表現しているのだと思います。
ちょっと抽象的な書き方をしてしまってますが,この映画,娯楽作としても第一級です。複雑な構造ではありますが,うまく作られていて観てて混乱することは無いし,並行するドラマがどれも面白くて,長い映画ですが全く飽きません。
冒頭,トム・ハンクスの語りで始まり,次々に語り手を変えて、違うように見えるけれども実は同じ物語を紡いでゆき,最後に,またトム・ハンクスの語りのシーンに戻ってくるという構成で,
語りの世界,物語とは一体何なのだろうか,という難しいテーマを,
大娯楽作としてまとめたって感じでしょうか。
うっかりしてると,この映画のスゴさに気付かない,位に洗練されてます。
娯楽作としての仕掛けも一杯で,基本的な作品のアイディアが控えめになっている,ということでもありますね。オムニバスを同時並行でみせられた映画として観ても、とても面白い。
この映画を観て,ほのかに感じる解放感,
というのは,我々が運命として引き受けているそれぞれの物語は,実は時代を超えて,あらゆる魂が同じように演じているもので,物語にとらわれて生きるのが人間の宿命である,
だから,気にしなさんな,
的な意味を,受け取れる仕掛けになっているから,かも知れませんね。