yaaさんの宮都研究

考古学を歪曲する戦前回帰の教育思想を拒否し、日本・東アジアの最新の考古学情報・研究・遺跡を紹介。考古学の魅力を伝える。

河野美代子さん「性と生を考える」三重大学特別講演会-1の条

2010-11-28 14:26:32 | yaasan随想
 11月25日には広島から産婦人科医、河野美代子先生をお招きして特別講演会を開くことができた。

 

 「性と生を考える」と題して90分にわたってお話し頂いた。三重大学共通教育の公式な特別講演会だった。大方の予想を覆して(私には自信があったんだが)150人もの学生が集まってくれた。とっても嬉しかった。



 考古学の学生がとても苦労して作ってくれた横断幕。この経験でこれからは苦労することなくこうした横断幕の作れることが判明した。けがの光明である。



 実はこの企画は私の提案だった。親しい先生にメールして、「広島にとても素晴らしい産婦人科の先生がいらっしゃる。学生(若者)のことをとても心配し、考えて様々な活動をなさっている。詳しいことはブログにあるのでそれを見て貰えればどんな先生か直ぐ判る。是非三重大学にお招きして学生に話を聞かせたいのですが、ご協力頂けませんか。」と。



 最初の、いや、会う人会う人の反応はこうだった。

 「エッ?先生て、「考古学」ですよね・・・」

 「ええ、でも学生時代はサボって考古学なんてやってませんでした。「社会勉強」ばかりしていたのでいろんな先輩を知っているんです。河野先生も私の大学の先輩なんです。もちろん医学部ですから普通は知るはずもない存在なんですが・・・。」

 こんな調子で相談する内に、大学のトップまで話しを持っていって下さった。さすがである。そこで河野先生と連絡を取って決まったのが夏前だった。それから私の方は海外調査やら何やらで仕事をしている内にあっという間に時間が経って、25日を迎えてしまった。 

 前日に会場を下見したのだが、明らかに椅子が足りない(と私は思った)。そこで事務の担当者に椅子を増やして欲しいとお願いした。相手方は半信半疑で、椅子はもうない!といってわずか20脚ほど準備してくれただけだった。



 蓋を開けて皆さんびっくり、来るは、来るは、あっという間に会場は一杯になった。そして定刻通りに始まった。

 そこで最も驚いたのが、学生達の真剣に聞き入る姿。誰一人として寝ようとはしない。会場は150人もの学生がいるとは思えないくらいシーンとし、河野先生の話がどんどん進んでいく。

 恥ずかしいことに、私の授業にも120人ほどの学生がいるが、まず喋るな!と注意するところから始まる。それでもひそひそ話すからまた注意しないと行けない。そのうち半分くらいの学生が寝出す。或いはメールやゲームに興じる。集中して聞いてくれるのは前の方に陣取る30人くらいである。

 何が違うのか?

 医療の最前線で得る最新の情報に基づいた、最新の対応に日々奔走されているその姿が伝わってくるからだろう。

 まず最初に先生が初めてドクターになって二年目に会った癌患者の方の話しから始まった。後に話される子宮頸がんの話しの伏線だろう。子宮頸がんはビールスによって引き起こされることが判り、ワクチンが開発されて唯一防止できる癌となった。にもかかわらず、ある宗教集団共はワクチンを飲むと妊娠しなくなるとか全くのデタラメを言ってこのワクチンを子供に摂取することを妨害している。実は彼らの主張の最大の理由は、ワクチンを打てば子供がsexに走り、世の中が乱れるというのである。

 これほど馬鹿げた理由はない。人間を人間としてみていない証拠であろう。大半の人はいつか結婚し、子供を作る。その過程で女性にビールスがうつり、癌になる危険性が生まれる。これを防止するのにもっとも適切な処置、癌にならなくする処置がワクチンなのである。もし子宮頸がんになり子宮を切除することになればその女性は(そのカップルは)子供をもうけることができなくなる。ハハとして子供を育てる機会を失う危険性ができるのである。これを防ぐことのできる最善の方法が子宮頸がんワクチンというのに、それに反対する輩がいる。とんでもない集団である。

 だから先生はまず、命の尊さ、癌患者の、患者自身だけではなく、患者の家族も含めた人々の悲しみの姿を話された。

 次が受診者の生々しい妊娠、性感染症罹患の実態紹介であった。不十分な避妊による妊娠や性感染症への罹患が極めて現実的なことであることが紹介された。

「もし君たちが、同様の行動を取るとこうなるのだから、しっかり事例を見て、もしカップルで過ごしている人がいたら二人で相談してしっかり対応するんだよ!」と教えて頂いた。

 そして子宮頸がんワクチンのお話し。



 前述の通り、唯一の防止できる癌でありながらその普及が様々な障害で止まっている現実を訴え、少々のお金はかかるが命が救えるのだから、打つべきだと強調された。ご自分が経験された若いお母さん方の子宮癌による絶命の姿をできるだけ防ぎたいという切実な訴えであったと聞いた。学生達の真剣な眼差しが大変印象的であった。

 最後に男女の身体について丁寧なお話しがあった。特に今回は男子学生が多かったので彼らの性の悩みに関する詳細な話しがあった。講演後一人の男子学生が歩み寄り、初めてこれだけ詳しく聞かせて頂き、とても印象に残った。彼女を大切にこれからも付きあっていきたいという姿に、とても暖かい人間性を感じることができた(この学生さんでしょうか、河野先生のブログにコメントが寄せられています。)


 http://miyoko-diary.cocolog-nifty.com/blog/
  「三重大学の講演に行って来ました。」と、既に報告頂いている。とっても素敵なブログなので是非皆さんも覗いてみて下さいね。

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