ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

マクドナー作「ハングマン」

2018-06-14 21:15:51 | 芝居
5月22日世田谷パブリックシアターで、マーティン・マクドナー作「ハングマン」を見た(翻訳:小川絵梨子、演出:長塚圭史)。

1963年、イングランドで二番目に有名なハングマン(絞首刑執行人)のハリー(田中哲司)は、冤罪を叫ぶ男ヘネシーの死刑を執行する。
2年後、死刑制度が廃止になった日、イングランド北西部の町オールダムでハリーが経営するパブには飲んだくれの常連客が集まっていた。
そこに、ロンドン訛りの見慣れぬ若い男ムーニー(大東駿介)が入って来る。不穏な空気をまとい、不思議な存在感を放ちながら。謎めいた男
の訪問をきっかけに、事態はスリリングに加速する・・・。

作者マクドナーは「ビューティー・クイーン・オブ・リナーン」と「スポケーンの左手」で独特な世界を描き出し、唸らせてくれた人。
チラシには「ドライな残酷さとドラマティックな暴力。緊迫した状況の中でなお繰り広げられるユーモア。マクドナーの真骨頂が詰まった傑作!」
とあるので一応期待して出かけたが・・・。

ハリーと妻アリス(秋山菜津子)には一人娘シャーリーがいる。太っていて、父親に言わせると「内気でどんよりしている」。ある日、この子が
なかなか帰宅せず、両親は心配し出す。そのうち、あのムーニーという怪しげな男と一緒にいたらしいと分かる。そこへ当のムーニーが
やって来たので、大変な騒ぎに・・・。

小川絵梨子の翻訳は自然な日本語でいい。地元の人々は、良いという意味の「いい」を「ええ」と言う。そうやってロンドンから来た男たちと
区別されている。

途中少し面白いところもあるが、オチはつまらないし、結論から言うと、今作は成功とは言えまい。秋山菜津子らベテランを揃えているが、
ホンがつまらなければどうしようもない。男性器の大きさについての言及が何度もなされるが、全然面白くないし。よそ者ムーニーが何者だった
のかという謎も最後まで明らかにならないし。60年代にしては、まるで無法地帯のような状況に唖然とするばかりで、後味もよくない。

この作品がローレンス・オリヴィエ賞受賞とは。むしろこれからは、この賞も大したことないんだな、と思うことにしようか。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「たいこどんどん」 | トップ | 「ヘンリー五世」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

芝居」カテゴリの最新記事