ロビンの観劇日記

芝居やオペラの感想を書いています。シェイクスピアが何より好きです💖

三島由紀夫作「近代能楽集」より「熊野」・「道成寺」

2015-07-14 22:13:50 | 芝居
5月19日銀座みゆき館劇場で、三島由紀夫作「近代能楽集」より「熊野」と「道成寺」をみた(アンフィニの会公演、演出:大間知靖子)。

この小さな劇場は、アンフィニの会第1回公演でイヨネスコの「禿の女歌手」と「授業」を見た、忘れがたい思い出のある場所だ。
今回の作品は、三島由紀夫が能の謡曲を翻案したもの。

「熊野」…大実業家の宗盛は美しいユヤを、今を盛りの花見に連れ出そうとしている。
     だがユヤは悲しい顔でそれを拒む。母親が病気なので見舞いに行きたい、これからすぐに北海道へ帰りたいと言うのだ。
     母親からの手紙に「命のあるうちに一目お前に会いたい」とあるのを読んで心情を訴えるが、宗盛は耳を貸そうとしない。
     互いに譲らない二人…。

美しくけなげでひたすら親思いのように見える妾が、実はとんでもないしたたかな女だったとバレるが、それでもなお男はこのままの関係
でいようとする。元の謡曲の純情を皮肉に歪めてみせた三島らしい作品。


「道成寺」…古美術店で巨大な衣装箪笥が売りに出されている。
      競りに集まった五人の客たちは、次々に値を上げていく。三百万円を超えて値が上がった時、「三千円!」という声と共に
      若くて美しい踊り子が現れる。そして巨大な箪笥の由来と、その箪笥の中でおびただしい衣装と香水の匂いに包まれて
      潜んでいた青年のことを語る…。


後半、なるほどそうか、と膝を打った。お寺の鐘が巨大な箪笥に化け、安珍が安男に、清姫が清子になったわけだ。

どちらもなかなか面白かった。「熊野」で実業家の男が携帯電話を使うなど、現代に合わせている。

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