昨年は久々に大河ドラマを堪能できた年だった。
三谷幸喜の大河ドラマは欠かさず見てきたが、何しろ筆者は宮沢りえと草笛光子と鈴木京香のファンなので、こんなに楽しい一年はなかった。
男性陣も、新納慎也、成河、栗原英雄、柿澤勇人、横田栄司、たかお鷹、佐藤B作、山崎一、吉見一豊、迫田孝也・・と、以前から舞台で見て
注目していた人たちが惜しげもなく次々と出て来るので、とにかく目が離せなかった。
柿澤勇人は、かつて「コリオレイナス」と「アテネのタイモン」で、いずれも勇敢な武将を演じていたので、
静かな貴公子・源実朝として登場した時には驚いた。
だが三谷さんは彼の素質を見抜いていたようだ。彼は、この悲劇の主君を見事に演じ切った。
実朝は周囲の強い勧めに逆らえず、京から美しい妻を迎えるが、一度も床を共にしない。
当時、人々の寿命は今よりずっと短かったので、権力を手にしたら、まずは早く後継ぎを作ることが重要だった。
このままでは後継ぎができないというので妻の立場も危うくなり、周囲にも不穏な動きが出てくる。
彼は今で言う LGBTQ らしいが、ドラマでは北条義時の長男・太郎(後の泰時・坂口健太郎)に惹かれているのだった。つまりゲイということ。
だが太郎の方はと言うと、妻がいて、しかも彼女にぞっこんなのだった。ああ、哀れな実朝・・。
そして今回の大河には、驚くほどのイケメンが続々と現れ、そして結局は、あっと言う間に(殺されて)消えて行った・・。
木曾義仲(青木崇高)の嫡男・義高役の市川染五郎、畠山重忠役の中川大志・・。
鎌倉時代が野蛮な時代だったことがよくわかった。
歴史は好きだが、この時代は盲点だった。
孫にも歴史好きになってもらいたいと思って買っておいたマンガ「日本の歴史」を読んで、予習復習する有り様(笑)
知らなかったことがたくさんあった。
まず、巴御前は木曾義仲と共に討ち死にしたとばかり思っていたが、そうではなく、生き延びて鎌倉側の和田義盛の妻となっていた!とか。
源義経は、戦上手だが兄・頼朝にねたまれ殺された悲劇の人だと思っていたが、実はすごく悪い奴だったとか(何の落ち度もない見知らぬ人をあっさり殺して
朗らかに笑う初出のシーンはショックだった)。
源頼朝に弟がたくさんいたこととか(もちろん異母弟も含めて)。姉妹もいたのだろうが、女性は数に入らない。
当時は男と女では、生まれた時から扱いがまったく違った。
唐突だが、それで思い出すのは「赤毛のアン」のこと。
19世紀末のカナダでは、男の子と女の子で寝かせるベッドが違った!したがって、あてがう部屋も。
孤児院から少年をもらうつもりが、手違いで少女アンが来たため、マリラは頭を抱える。
とりあえず、その夜は家に泊めることにするが、少年を寝せるつもりだった台所脇の小部屋のカウチに「少女を寝せるわけにはいかない」と彼女は考える。
そこで、二階の東側の小部屋に彼女を泊めることにしたのだった。
さて、大河ドラマに戻ると、今回は何と言ってもキャスティングがよかった。
映画「テルマエ・ロマエ」の「平たい顔族」じゃないけど、京側の役者さんたちは、それらしい人がそろっていた。
たとえば、アクの強い悪役・源仲章を憎々しげに演じて度肝を抜いた生田斗真。この人など、いかにもな公家顔!
そして、主役たちの変貌も見どころだった。
小四郎(後の北条義時・小栗旬)も姉・政子(小池栄子)も、頼朝との出会いによって人生が大きく変わってゆく。
小池栄子の演じる政子はごく普通の女性だったが、頼朝の死後、尼になってからの比類ない美しさと気品には驚嘆し、心打たれた。
最後には、尼将軍を演じられるのは小池さんしかいない、とまで思えた。
大江広元役の栗原英雄は、いつもながらの美声で、頼朝の知恵袋と言われる冷徹な男を好演。
上総広常役の佐藤浩市の壮絶な最期には、かつて「新選組!」で組員たちに襲われたシーンを思い出した。
だがあの時と今回とではまるで違う。
力のある者は、謀反の危険性があるから早いうちにつぶしておかねば安心できないと考えた頼朝の、あまりに冷酷な仕打ち。
恩を仇で返すとはこのことではなかろうか。
また、同じ源氏でありながら木曾義仲を攻めたのは、単に武勲で先を越されないためだった。
義仲の方には、頼朝と戦う気はまるでなかったのに。
頼朝の冷酷さが際立つが、それは彼の過酷な生い立ちから来るものだろう。
親族を皆殺しにされ、幼かった自分だけが乳母の執り成しで許されて伊豆に流されたのだから。
そして、自分が平家に対してずっと敵討ちしたいと願ってきたため、他の者も、どんなに幼くてもいずれ成長すれば敵討ちしようと思うはず、と考え、
弟・義経の子も男児だとわかるとすぐに殺したのだった。
藤原秀衡役の田中泯も大好きな人。かつて大河ドラマ「龍馬伝」で、この人の圧倒的な存在感に打たれ、名前を記憶に刻みつけた。
後白河法皇役の西田敏行は、まさに怪演&快演。
そして何と言っても、りく役の宮沢りえの美しさ!
りくは野心の塊のような女性で、北条時政(坂東弥十郎)が、この人と再婚しさえしなかったら、あの人もこの人も殺されることはなかっただろう、と
思うと恐ろしいが、宮沢りえの演技には説得力があった。
丹後局役の鈴木京香も、もちろん好演。今回は政子とその愛娘・大姫を田舎者と見下していじめたりもする、言わば悪役だが、
相変わらずの美貌と美声を楽しむことができた。
比企尼役の草笛光子は期待通り。この人は頼朝の乳母だったが、最後は自分の一族を北条家によって滅ぼされてしまう。
辛うじて逃げ延び、まだ幼い善哉(後の公暁)に近づいて北条家に復讐せよ、と言い聞かせるシーンが忘れられない。
大河ドラマ史に残る名場面ではなかろうか。
三谷幸喜の大河ドラマは欠かさず見てきたが、何しろ筆者は宮沢りえと草笛光子と鈴木京香のファンなので、こんなに楽しい一年はなかった。
男性陣も、新納慎也、成河、栗原英雄、柿澤勇人、横田栄司、たかお鷹、佐藤B作、山崎一、吉見一豊、迫田孝也・・と、以前から舞台で見て
注目していた人たちが惜しげもなく次々と出て来るので、とにかく目が離せなかった。
柿澤勇人は、かつて「コリオレイナス」と「アテネのタイモン」で、いずれも勇敢な武将を演じていたので、
静かな貴公子・源実朝として登場した時には驚いた。
だが三谷さんは彼の素質を見抜いていたようだ。彼は、この悲劇の主君を見事に演じ切った。
実朝は周囲の強い勧めに逆らえず、京から美しい妻を迎えるが、一度も床を共にしない。
当時、人々の寿命は今よりずっと短かったので、権力を手にしたら、まずは早く後継ぎを作ることが重要だった。
このままでは後継ぎができないというので妻の立場も危うくなり、周囲にも不穏な動きが出てくる。
彼は今で言う LGBTQ らしいが、ドラマでは北条義時の長男・太郎(後の泰時・坂口健太郎)に惹かれているのだった。つまりゲイということ。
だが太郎の方はと言うと、妻がいて、しかも彼女にぞっこんなのだった。ああ、哀れな実朝・・。
そして今回の大河には、驚くほどのイケメンが続々と現れ、そして結局は、あっと言う間に(殺されて)消えて行った・・。
木曾義仲(青木崇高)の嫡男・義高役の市川染五郎、畠山重忠役の中川大志・・。
鎌倉時代が野蛮な時代だったことがよくわかった。
歴史は好きだが、この時代は盲点だった。
孫にも歴史好きになってもらいたいと思って買っておいたマンガ「日本の歴史」を読んで、予習復習する有り様(笑)
知らなかったことがたくさんあった。
まず、巴御前は木曾義仲と共に討ち死にしたとばかり思っていたが、そうではなく、生き延びて鎌倉側の和田義盛の妻となっていた!とか。
源義経は、戦上手だが兄・頼朝にねたまれ殺された悲劇の人だと思っていたが、実はすごく悪い奴だったとか(何の落ち度もない見知らぬ人をあっさり殺して
朗らかに笑う初出のシーンはショックだった)。
源頼朝に弟がたくさんいたこととか(もちろん異母弟も含めて)。姉妹もいたのだろうが、女性は数に入らない。
当時は男と女では、生まれた時から扱いがまったく違った。
唐突だが、それで思い出すのは「赤毛のアン」のこと。
19世紀末のカナダでは、男の子と女の子で寝かせるベッドが違った!したがって、あてがう部屋も。
孤児院から少年をもらうつもりが、手違いで少女アンが来たため、マリラは頭を抱える。
とりあえず、その夜は家に泊めることにするが、少年を寝せるつもりだった台所脇の小部屋のカウチに「少女を寝せるわけにはいかない」と彼女は考える。
そこで、二階の東側の小部屋に彼女を泊めることにしたのだった。
さて、大河ドラマに戻ると、今回は何と言ってもキャスティングがよかった。
映画「テルマエ・ロマエ」の「平たい顔族」じゃないけど、京側の役者さんたちは、それらしい人がそろっていた。
たとえば、アクの強い悪役・源仲章を憎々しげに演じて度肝を抜いた生田斗真。この人など、いかにもな公家顔!
そして、主役たちの変貌も見どころだった。
小四郎(後の北条義時・小栗旬)も姉・政子(小池栄子)も、頼朝との出会いによって人生が大きく変わってゆく。
小池栄子の演じる政子はごく普通の女性だったが、頼朝の死後、尼になってからの比類ない美しさと気品には驚嘆し、心打たれた。
最後には、尼将軍を演じられるのは小池さんしかいない、とまで思えた。
大江広元役の栗原英雄は、いつもながらの美声で、頼朝の知恵袋と言われる冷徹な男を好演。
上総広常役の佐藤浩市の壮絶な最期には、かつて「新選組!」で組員たちに襲われたシーンを思い出した。
だがあの時と今回とではまるで違う。
力のある者は、謀反の危険性があるから早いうちにつぶしておかねば安心できないと考えた頼朝の、あまりに冷酷な仕打ち。
恩を仇で返すとはこのことではなかろうか。
また、同じ源氏でありながら木曾義仲を攻めたのは、単に武勲で先を越されないためだった。
義仲の方には、頼朝と戦う気はまるでなかったのに。
頼朝の冷酷さが際立つが、それは彼の過酷な生い立ちから来るものだろう。
親族を皆殺しにされ、幼かった自分だけが乳母の執り成しで許されて伊豆に流されたのだから。
そして、自分が平家に対してずっと敵討ちしたいと願ってきたため、他の者も、どんなに幼くてもいずれ成長すれば敵討ちしようと思うはず、と考え、
弟・義経の子も男児だとわかるとすぐに殺したのだった。
藤原秀衡役の田中泯も大好きな人。かつて大河ドラマ「龍馬伝」で、この人の圧倒的な存在感に打たれ、名前を記憶に刻みつけた。
後白河法皇役の西田敏行は、まさに怪演&快演。
そして何と言っても、りく役の宮沢りえの美しさ!
りくは野心の塊のような女性で、北条時政(坂東弥十郎)が、この人と再婚しさえしなかったら、あの人もこの人も殺されることはなかっただろう、と
思うと恐ろしいが、宮沢りえの演技には説得力があった。
丹後局役の鈴木京香も、もちろん好演。今回は政子とその愛娘・大姫を田舎者と見下していじめたりもする、言わば悪役だが、
相変わらずの美貌と美声を楽しむことができた。
比企尼役の草笛光子は期待通り。この人は頼朝の乳母だったが、最後は自分の一族を北条家によって滅ぼされてしまう。
辛うじて逃げ延び、まだ幼い善哉(後の公暁)に近づいて北条家に復讐せよ、と言い聞かせるシーンが忘れられない。
大河ドラマ史に残る名場面ではなかろうか。
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