ふくろたか

札幌と福岡に思いを馳せるジム一家の東京暮らし

リングサイドで恋をして・第2話/出会い(後編)

2012年03月23日 | RSで恋をして

さて、出会いの翌日。96年1月10日に出かけたみちのく中島大会。

この大会は、みちのくの「黒歴史」になっている。

というのも、メーンの顔合わせが「サスケ&グレート・ゼブラ×ミスター・ポーゴ&愚乱・浪花」

当時のみちのくの魅力は「明るく楽しく激しい日本流ルチャ」と第1話で述べたが、

対戦相手のポーゴは鎖ガマなどの凶器と火炎攻撃が十八番のデスマッチ王

このメーンも当然、リング上は流血と絶叫が渦巻く修羅場となった。

試合はサスケが浪花から3カウントを奪ったが、直後にポーゴがサスケに火炎噴射

この日も大雪だったため、サスケがすぐに屋外で患部を冷やせたのは不幸中の幸いだった

年1回のみちのくの札幌遠征に「普段のみちのく」を期待して集まった道内のプオタが

「ふざけるな!」「こんなのみちのくじゃねえ!」と罵声を浴びせるバッド・エンドになった。

・・・大会終了後、ワタシは2号を遅い夕食に誘い、2号もその申し出を受けた。

2人ともメーンの試合について、グチを語れる相手がほしかったのだと思う。

重苦しい空気に包まれた夕食だったが、こんな熱弁を振るったことを覚えている。

「今夜のみちのくは、断じて本当のみちのくではない」

「東北の小さな町や村で、お年寄りから子どもまで、ゴザ席で楽しめるのが本当のみちのく」

「春になって東北シリーズが始まったら、本当のみちのくをいっしょに見に行きましょう!」

聞き方によっては、初対面の翌日に「みちのく二人旅」の大胆なお誘いである。

しかし、その時のワタシには、そんな下心は珍しくみじんもなく、

ひたすらに自身が魅せられた「本当のみちのく」を伝えたくて必死だった。

だから、2号もOKの返事をくれたのだと思う。

当時はひどい試合をやらかしたポーゴを恨んだが、考え方によっては

この大会がバッド・エンドになったおかげで、2人の関係が「つづく」になったとも言える。


また、この夕食では、雑談を通して別の収穫もあった。

ワタシ「みちのくの他に、好きな団体やプロレスラーはいますか?」

2号「リングスの前田日明」

これは意外かつ興味深い答えだった。華麗な空中技が主体のみちのくに対して、

投・打・極を主体とした「U系」のリングス。両団体のスタイルは真逆なのに、どうして?

不思議に思って尋ねたところ、倶知安に住む2号の父が大のボクシング好きで、

海外の試合見たさにWOWOWに加入。それを機にリングスの中継にもハマって、

2号にも録画ビデオを毎月郵送してくるという。

「うわあ、それはワタシも見たい。よかったら貸してもらえませんか?

ワタシからはリングス以前の前田の試合のビデオや本(注1)を送りますから」

みちのくをきっかけに出会った2人の間に、

ひょんなことから「前田日明」をキーワードにしたつながりが生まれようとしていた。

(第3話に続く)


注1・試合のビデオは新日本時代の「猪木×前田」(83年高松・両者唯一のシングル戦)

旧UWF時代の「前田×佐山」(85年大阪・団体崩壊直前の謎多き一戦)など。

本は新UWF時代の週刊プロレス増刊号や

自伝を下敷きにした漫画「獅子の時代」(みのもけんじ)などを送った記憶がある。

猪木の息子と前田の息子が闘う「ネオ格闘王伝説・ジュニアウオーズ」(上川端通)

といったトンデモ漫画も送っていたような・・・