とつぜん対談 第66回 ガラスとの対談

　きょうの対談相手は見えません。透明です。そのうえ大変無口な方です。なにせ、その方は身体が透きとおっているから見えないのですが、喜怒哀楽の感情が高ぶると、見える時もあるそうです。
　きょうの対談相手はガラスさんです。透明度の高い上等のガラスさんです。

雫石
　こんにちは。よくおこしくださいました。

ガラス


雫石
　あのう。ガラスさん。来ておられますか。

ガラス


雫石
　わかりました。なんとなく気配でわかります。

ガラス


雫石
　きょうはどこから来ました。

ガラス


雫石
　は、京都？京都のどこですか。

ガラス
　

雫石
　からすま。ああ、烏丸ですか。ガラスさんですから、からすまではなく、ガラスマでは。

ガラス
　ピシッ

雫石
　おや反応がありましたね。少し曇りましたね。少しくすぐってあげましょう。このあたりかな。こちょこちょ。

ガラス
　ぴぴぴぴ。

雫石
　うわあ。なんかゆれてる。

ガラス
　

雫石
　あ、止まった。ところでガラスさんのお仕事はなんですか。

ガラス


雫石
　え、なんです。

ガラス


雫石
　え、聞こえません。もっと大きな声でいってくれませんか。

ガラス
　ピン。

雫石　
　ああ、人にいえない仕事なんですね。

ガラス


雫石
　恥ずかしいことしてるから、透明で見えないんだ。

ガラス

雫石
　恥ずかしくないんだったら顔を見せて声を聞かせたらどうや。　

ガラス
　

雫石　
　ほれほれ。

ガラス


雫石
　これでどうじゃ。この透明もんが。

ガラス


雫石
　まだゆわんか。最後はこれだ。

ガラス
　ピシピシ。

雫石
　おや、どうしたん。お前でも怒るんか。

ガラス
　ピシピシ。パリ～ン。バラバラバラバラ。

雫石
　うわ、割れてしもうた。いてて。手切ったがな。