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ミュータント狩り(第9回)

                                   ミュータント狩り(第8回)

 腰に殺人光線銃をぶら下げた男二人が、肩を並べるには美しうぎる風景だ。
 うす暗い森を抜けると、新しい風景が広がった。
 湖が二人の目の前にある。周囲を白樺林が取り囲んでいる。標高はかなり高い。気温は低く、透明な冷気が満ちている。ひんやりとした空気が疲れた身体に心地よい。遙かには純白の雪をまとった山脈が望見できる。二人の足元から湖の畔まで高山植物が群生している。
 4人のミュータントがやって来た。一人は平べったい円盤。一人は腕が4本ある男。一人は一つ目の巨人。そして、液体人間の肥大漢。
 人間の頭ほどの石が猛烈なスピードで飛んできた。一つ目巨人サイクロップが投げたのだ。彼の怪力で投げられた石は弾丸と化す。それは正確にザックに飛ぶ。かろうじて身をかわす。伏せながらレーザーガンを抜く。矢が飛んできた。
 キャノンの反撃の方がすばやかった。彼は横に飛びながら、サイクロップ目がけてレーザーガンを発射。しかし、4人のミュータントは、一瞬前とは同じ場所に存在しなかった。
 キャノンの放ったビームは湖面のわずか上を通過し、対岸の白樺林の方に消えて行った。
 3人の残像は時間とともに増加していく。3人のミュータントは30人の軍団と化して二人のハンターに迫ってくる。
 地面が妙に湿っぽくなってきた。ザックは凄まじい妖気を足の下に感じた。あわててその場を飛びのく。今までザックが立っていた場所から噴水が吹き上がった。
 空中の水は、ザックの頭上で一瞬静止し、ザアーと落下した。水はザックの足元から少し離れたところで水たまりとなった。それが再び空中に浮上し、ザック目がけて襲いかかる。不思議な水は空中で肥大漢エッツォになり、形を崩して鋭い円錐となった。水は氷となっている。液体人間エッツォは氷の槍と化してザックの胸に突き刺さろうとした。ザックの胸元を白い光線が走った。キャノンが放ったレーザーだ。円錐の先端が切断された。ザックはとっさに、その先端を払った。小さな円錐がコロコロと転がった。それは転がりながら個体から液体となり、さらにまた固体に戻った。それは液体人間エッツィオの首であった。先端部が取れ、先が平らになった氷の槍がザックの胸板を突き飛ばした。数メートルふっとばされたザックは、背中と後頭部を強打。一瞬、息が止まり意識を失う。この間、2本のレーザービームは輝きを止めていた。
 30あまりの残像の群れの中から、一つの影が飛び出した。それは平べったい円盤だ。円盤人間ソー。そいつは激しく回転しながら飛ぶ。円盤の周囲には、ソーの肋骨の先端部が少しづつ露出して、ノコギリの刃のようだ。二人のミュータント・ハンターのうち、一人は倒れ一人は立っていた。当然、ソーは狙いをつけやすいキャノンに襲いかかった。ザックを助けるため、レーザーガンの銃口を横に向けたのがキャノンの命取りとなった。
 円盤はキャノンの身体を通り抜けた。キャノンはへそのあたりで切断された。上半身が分離してなくなった、キャノンの下半身は、一瞬、彫像にようにその場に突っ立ち、そして倒れた。
 ザックは昏睡と覚醒のはざまで、真紅の世界をかいま見た。キャノンの切断された身体から噴き出した、大量の血液を浴びてザックは息を吹き返した。
 4本の巨大な蛮刀が振り下ろされた。4本の腕を持つミュータント、スパダだ。その後ろには一つ目巨人サイクロップもいる。キャノンを倒した円盤人間ソーは、ザックの背後の白樺の枝にぶら下がっている。
 ザックは自分の手にレーザーガンがないのに気がついた。
 自動的に身体が飛んだ。4本のうちに1本がほほをかすった。彼が身体を後ろに移動したのに従って、彼のほほの高さに赤い軌跡が残った。風を巻いて円盤人が飛んでくる。ザックはジャンプした。すぐ足の下をソーが飛ぶ。サイクロップがソーを受け止める。そして、円盤投げのように投げつけた。
 レーザーガンを持たずに、ミュータントの相手をするのは、ザックにとって初めての経験だ。チラッと「死」が頭をよぎる。すぐ、それを振り払う。こいつが頭の中に少しでもあれば、戦闘能力が大きく削がれる。頭を空白にして、身体全体を反射神経にしなければ、この危機を逃れることはできない。
 ブーツの中からナイフを出してあお向けに倒れた。前にスライディングする。目の前を巨大な円盤が飛ぶ。ナイフでその腹を斬る。
 地面はキャノンの血でべたべたになっている。その血はザックのスライディングの距離を伸ばした。その勢いを利用して、スパダの向こうずねを蹴り上げた。スパダが体勢を崩したところをザックはナイフで突こうとした。身体が邪魔をした。ザックの身体が自然に動いたのだ。サイクロップの存在を忘れていた。頭の中は。しかし、反射神経は覚えていた。一つ目巨人の両手の岩が振り降ろされた。ザックはそいつの懐に飛び込む。脇の下に手刀を入れる。岩石が落下。片腕をつかむ。一本背負いをかける。巨人が地響きを立てて地面に叩きつけられた。次の瞬間にはザックは空中に飛び上がっていた。スパダが振るう4本の刀をかいくぐりながら落下し、キックを入れる。着地した時、地面の血に足を取られて転倒。スパダの刀、サイクロップの巨大な足がザックに振り下ろされる。そこに切断されたキャノンの上半身があった。右手にはまだレーザーガンを握っていた。それをひったくる。ザックを中心に白い光の輪が出現。回転サーベル撃ち。
 二人の巨人は同時に倒れ、二度と立ち上がらなかった。

                                   次回更新予定6月6日
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6点差をよう追いついた。価値あるひきわけや。

ええんちゃうん。阪神。パリーグ首位のロッテ相手にようがばった。6点差をよう追い付いで。やっぱアライ大先生を7番に下げたんが良かったんちゃうん。
 ヒットが13本づつ。エラーも2個づつ。で、9対9。最終回は藤川と薮田。まったく互角やったな。負けてる試合を、相手のミスに助けられたとはいえ、乱打戦に持ち込んで大量点どうしの引き分け。打線が機能してきたな。ええ調子や。
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