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5月になりました


 5月になりました。ツツジが咲いております。ツバメが飛んでおります。さかんに虫を捕って、子育てにはげんでいるのでしょう。近くの神社からは、だんじりのお囃子のお稽古をするカネや太鼓の音が聞こえてきます。ちょっと前まで寒いといって、パッチをはいてストーブを焚いていたのですが、5月の声を聞いたとたん、すっかり初夏の風情です。日本は四季があって、季節の移ろいが楽しめる国ですが、冬から夏に、夏から冬に、いきなり季節が変わるようになってしまいました。日本は二季の国となってしまうのでしょうか。
 ところで、5月といえば、五月晴れの真っ青な空に勇壮に泳ぐ鯉のぼりが風物詩ですが、最近、鯉のぼりをあまり見かけなくなりました。
 私は、神戸市の東部に住んでおります。勤務先も神戸市内です。今朝、出勤する時、ずっと電車の窓から気をつけて見ていたのですが、とうとう1本も鯉のぼりを見ることができませんでした。ほかの地方は知りませんが、少なくとも神戸の市街地では、鯉のぼりを出しているお宅は極端に少ないと推測できます。なぜでしょう。私が愚考するに、少子化で子供の数が少なくなっている上に、マンション住まいのお宅が増えたからではないでしょうか。マンション住まいというのは、上の階、下の階そして隣、と、上下左右に気を使わなければならないご近所が3次元であるわけですね。一戸建てですと、両隣、お向かい、と気を使うご近所が2次元なわけです。ですから、マンションでは洗濯物を干すのも気を使います。これが鯉のぼりですと、長い棒の先にぞろりとした鯉が何匹もひるがえり、それになんといっても、矢車がカラカラと音を立てて回ります。お子さまのおられるお宅ですと、わが子の健やかな成長を願って鯉のぼりを出したい所ですが、ご近所からすれば、存外、鯉のぼりは迷惑なものではないでしょうか。
 初孫ができました。男の子です。おじいちゃん、おばあちゃんはさぞかしうれしいことでしょう。「私たちもじじ、ばばになりましたね。今度の日曜日にでもデパートにいって鯉のぼりを買いましょうね。じいさんや」
 で、お姑さんがお嫁さんに電話「○△子さん、凸太郎に鯉のぼり贈るからね」
「せっかくですが。お義母さん。ウチ、マンションなんで鯉のぼりは近所迷惑なの。それに3DKで狭いから五月人形も要りません」ガチャ。
「孫ができても、なんにも贈れないんだね、ばあさんや。長生きはしたくないもんだ。なんまいだぶなんまいだぶ」
 
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いっこも点取れまへんなあ

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