今、NTT西日本のカレンダーをぼーっと見ていました。
今月10月のテーマは「紺青」です。
毎月、日本の色彩をテーマに、渋い風景写真が展開されています。
どこかの入り江の上方に、金色の満月が浮かんでいます。
岩礁に寄せ来る波がその満月の光の帯を映し出しています、
その光の帯と、漆黒の海面との微妙な境目が、いわゆる「紺青色」になっています。
ぼくの最も好きな色が紺青色かもしれません。
上質なビルマ産のサファイアの色です。
その色には、なにかすべての雑念が静まりかえるしかない、威厳のある静謐があります。
一切の言葉を超えた思いやりがどこまでも深く沈んでいきます。
赤系統の色が、表現される思いやりを顕わすならば、青系統の色は、表現を控える色なのかも知れません。
自分が何かに包まれて永遠に眠るとしたら、ぼくは紺青色の光りに包まれて眠りたいです。
こればかりは人それぞれに違うのでしょう。
ピンク色がいい人もいるでしょうし、黄緑色がいい人もいるでしょう。
どの色がどうだこうだということではありません。
ただ、ぼくが紺青色というものにわけもなく惹かれるということです。
音色という言葉があるように、匂色、味色、蝕色というのもあるような気がします。
これもまた、人それぞれに好きな音の旋律、匂い、味、触感が違います。
だからこそ、この世は色々な音楽、香り、料理、衣服や寝具といったもに溢れています。
文化というのはすべからく色、音、匂い、味、触感の五感の組み合わされた百花繚乱です。
でも、この紺青の色を見るとき、すべての百花繚乱がなりを潜めるような感じがします。
すべての五感の奔流は、紺青の色に吸い込まれていく。
そんな感じがします。
あらゆる自己主張も吸い込まれます。
あらゆる欲望も、観念も、創造も、吸い込まれます。
残るものは、漆黒の闇と金色の光の間にわずかに浮かび上がる「紺青色」。
シブイです。
写真はネット上で適当に探したものです。