Photo by Chishima, J.
(三日月沼周辺でガン類などを観察する人々 2015年4月 北海道十勝郡浦幌町)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん)
先週もご紹介したように、この時期の十勝川下流域にはたくさんのガン類やオオハクチョウが飛来します。最近ではデジタルカメラの普及で簡単に写真を撮れるようになったので訪れる人も多く、中でも人気が高いのが浦幌町の三日月沼周辺です。ハクガンやシジュウカラガンといった珍しいガン類が、沼で休み、周辺の畑で餌を食べる姿を観察できるからです。
ただし、訪れる人が増えたことで、いくつかの問題も発生しています。一つは鳥に対して不用意に近づく人です。ガン類は非常に臆病な鳥で、人が近付きすぎると飛んで逃げてしまいます。この時期のガン類は渡りと繁殖を控えてエネルギー補給の真っ最中ですので、食事を邪魔されることは生命に関わるかもしれません。一定の距離を取って観察しましょう。車の中から見ていると意外と警戒されません。
沼に隣接した畑や牧草地に立ち入る人もいます。牧草地は一見、畑に見えないかもしれませんが、大事な農地です。踏み荒らしだけでなく、作物や家畜の伝染病を運んでしまう可能性もあるので、農地への立ち入りは絶対に止めましょう。
沼のまわりには駐車場がなく、取付道路などに駐車して観察しますが、人が増えると取付道路だけでは足りず、何台も路上駐車することになります。国道は大型トラックを含む交通量が多く、それ以外の道も農作業のトラックやトラクターが走り回るので、駐車する時はハザードを付ける、カーブや見通しの悪い場所には車を止めないなどして、交通事故を起こさないよう気を付けてください。
マナーと安全を守りながら、いつまでも渡り鳥を楽しめるエリアにしてゆきましょう。
(2015年4月10日 千嶋 淳)