鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

121214 十勝沖海鳥・海獣調査

2012-12-18 14:07:26 | ゼニガタアザラシ・海獣
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All Photos by Chishima,J.
ハシジロアビの幼鳥 以下すべて 2012年12月 北海道十勝沖)


 今月1回目となる十勝沖調査を実施しました。いつもは夜明けの薄暮と共に沖を目指す本調査ですが、今日は漁の都合により午前8時半、すっかり明るくなった漁港から、最近数の増えて来た海ガモ類を見ながらのスタートとなりました。

 ここ数日の内陸部の冷え込みに恐れをなしていたところ、海上は気温、風とも思いのほか穏やかで、この時期としては比較的快適に過ごせました。波も冬にしては珍しいくらい低く、久しぶりにかなり沖合まで出ることができました。
 鳥は沿岸部でやや少なめだったものの、沖合にはコウミスズメやハシブトウミガラスが目立って来た一方で、半月前に見られたウトウやセグロカモメの姿はなく、冬がまた一歩進んだ印象でした。流氷の動きにもよりますが、これから3月くらいまで冬のウミスズメ類を楽しめるはずです。アビ類の渡りはまだ続いているようで、1~数羽が東から西へ飛んで行く姿を何度も観察できました。珍しいものではハシジロアビを1羽、やや距離はあったもののしっかり観察できたこと、ウミオウムが2回、それぞれ1羽ずつ出現してくれたのが収穫でした。ウミオウムは2シーズン前の1月に60羽以上、2月には100羽以上確認しましたが、昨年はその時期に船を出せなかったので、今後の動向を楽しみにしたいところです。海獣類では常連のネズミイルカの他にアザラシ類、キタオットセイが観察され、キタオットセイは首に釣り具のようなものが絡んでいました。沖合調査で出会うオットセイの多くが、このような絡まり個体なのは残念なことです。


コウミスズメ
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 昼過ぎの入港後は、いつものように船頭さんのお宅で旬の海の幸を鱈腹頂いて、適宜解散しました。無事調査も終わった週末は札幌で開催された「生物多様性地域連携促進セミナー in 北海道」にブース出展し、この活動を紹介してきました。5月の帯広百年記念館に始まり、浦幌、十勝エコロジーパーク、襟裳岬と広がった「十勝沖・海の動物たち」展はじめ、鳥学会での発表やJBF出展等各地で展開して来た活動報告も、今年はこれが最後となるでしょう。今回はブースの一角で、最近立ち上がった有志「とっかりプロジェクト」の紹介も行いました。

確認種:アビ オオハム シロエリオオハム ハシジロアビ アカエリカイツブリ コアホウドリ フルマカモメ ヒメウ コガモ スズガモ クロガモ ビロードキンクロ コオリガモ シノリガモ ホオジロガモ トビ オジロワシ オオワシ ハヤブサ オオセグロカモメ ワシカモメ シロカモメ カモメ ミツユビカモメ ウミガラス ハシブトウミガラス ケイマフリ ウミスズメ コウミスズメ ウミオウム ハシボソガラス ハシブトガラス(以上、鳥類) ネズミイルカ キタオットセイ アザラシ類(以上、海獣類)


前肢を高く上げて休むキタオットセイ
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*十勝沖調査は、漂着アザラシの会が日本財団、NPO法人日本野鳥の会十勝支部がセブンイレブン記念財団より助成を受けて、上記2団体と浦幌野鳥倶楽部の連携のもと行われているものです。


(2012年12月14日   千嶋 淳)



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