鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

オオミズナギドリ(その1) <em>Calonectris leucomelas</em> 1

2011-11-28 16:01:42 | 海鳥写真・ミズナギドリ目
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All Photos by Chishima,J.
(以下すべて オオミズナギドリ 2010年10月8日北海道十勝郡浦幌町)


 一連の写真は同日、同海域での撮影だが、個体は別。厳冬期を除き日本近海ではあまねく普通であるため、鳥屋からもありがたがられないが、世界的には日本周辺でのみ繁殖する。道東海域には繁殖期の後半に当たる8~10月に出現する。「白と黒の」という種小名の通り、暗色の上面と白色の下面のコントラストが顕著。


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上面の飛翔。頭部は斑状だが、光が強くて遠い条件下では白く見えることもある。背や肩羽、雨覆、上尾筒等の各羽は外縁が淡色で、鱗状を呈する。


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斜め正面からの上面。嘴は淡い灰色~ピンク色で、ハシボソやハイイロの黒色や、アカアシの明瞭なピンク色とは異なる。管鼻はミズナギドリ類に典型的なように、嘴基部に対となって開口する。


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飛翔の下面。風切や、初列雨覆の軸斑を除くと白色で、かなり白い印象を受ける。上面が見えない条件では、オナガミズナギドリやミナミオナガミズナギドリとの識別に困る時がある。両種とも下雨覆は全体的に白っぽく、本種のような軸斑は不明瞭。また、オナガミズナギドリでは翼下面の前縁が暗色である。


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日によってはかなり接岸し、海岸や河口から観察されることもある。台風や時化の後に内陸で保護されることがある。


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飛び立ち直後。このように脚を出している状況では、脚のピンク色も識別に有用である。上下ツートンカラーでピンク色の脚を持つミズナギドリ類で、日本近海で記録のあるものとしては他にシロハラアカアシミズナギドリがある。


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海上に浮いている姿。他のミズナギドリ類と見誤ることは少ないが、ウミネコ等カモメ類と紛らわしいことがある。


(2011年11月28日   千嶋 淳)