鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

アホウドリ(その1) <em>Phoebastria albatrus </em>1

2011-11-25 21:32:25 | 海鳥写真・ミズナギドリ目
Photo
All Photos by Chishima,J.
以下すべて アホウドリ幼鳥 2011年8月25日 北海道十勝郡浦幌町)


 当年生まれの幼鳥で、ピンク色の嘴を除く全身が黒褐色である。脚も基部はピンク色になりつつある。道東海域へは5~11月に出現し、記録は近年増加傾向にある。十勝では1996年9月に浦幌町厚内沖で観察記録があるだけだったが、2011年8、11月には同沖で各1羽が観察・撮影され、同年5月には2羽の目撃記録もある。記録の増加は個体数回復を反映したものと考えられる。


Photo_2


嘴はピンク単色ではなく、先端部は淡い水色を呈する。


Photo_3


正面顔。アホウドリ類の管鼻は、嘴基部の上部に開口するミズナギドリ類とは異なり、嘴の左右に一つずつ開口する。


Photo_4


背後はクロアシアホウドリ。大きさや嘴の色、形状の違いに注目。


Photo_5


着水前。脚は基部でピンク色だが、水掻きを含む全体はまだ黒っぽく、遠距離では目立たないかもしれない。翼上面では初列風切羽軸の白色が目立つ。


Photo_6


飛び立ち。光線の関係か、脚の淡色はより顕著。右脚に金属リングが装着されている。伊豆諸島鳥島産と思われるが、残念ながら番号は読めず。


Photo_7


飛び立ちの後ろ姿。脚は暗色に見え、嘴も隠れて見えないことから、この角度では識別は難しいかもしれない。


Photo_8


飛翔。嘴のピンク色や初列風切羽軸の白色が目立つ。体、特に頭部周辺の色は黒みの強い褐色で、灰褐色のクロアシアホウドリとは一線を画している。


(2011年11月25日   千嶋 淳)


エトピリカ(その2) <em>Fratercula cirrhata </em>2

2011-11-25 00:28:09 | 海鳥写真・チドリ目
Img_2280
All Photos by Chishima,J.
(以下すべて エトピリカ若鳥 2010年8月23日 北海道釧路沖)

 厚みのある嘴の前半部は鮮赤色で、基部付近にまだ成鳥の色は出ていない。顔もまだ黒色ベースだが、虹彩はやや黄色みを帯び、また将来金色の房毛が生えるであろう部分は、その片鱗を見せつつある。おそらく前年生まれの若鳥。
Img_2283


 本種のほかケイマフリ、ウミガラス類などの中型以上のウミスズメ類、アビ類、カイツブリ類、ウミアイサなどに広く見られる、潜水前に海中を覗き見る行動。初列風切が褪色しているのが窺える。


Img_2289


 幼鳥同様、胸は他の上面より淡色なようである。やはり初列風切が褪色して見える。


Img_2303


 角度によっては顔の部分は多少淡色に見える。下嘴角から嘴端へのラインは幼鳥より勾配が険しい。


(2011年11月24日   千嶋 淳)