走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

夢の扉 + /最強の壁

2011年06月29日 00時39分20秒 | アイデア
 日曜日のTBS「夢の扉+」は、ある造園家のお話でした。

 主人公は、「吉工園」という造園業の吉村隆顕さん、68歳。

 彼が考案したのは、コンクリートで固める一般的な護岸工事に対し、『ブランチブロック』という枝のような形状のブロックを、蜂の巣状に組み、石積みと一体化させたユニークな工法。
強度がある上、使用するコンクリートの量が少なく、工期も短縮できる。

 植物の根が土砂崩れを防ぐという事をヒントに、枝のような形のブロックと自然の石で強固な壁を作る事を思いついたそうだ。
しかし試作品を作っては失敗を重ね、資金がなくなり、会社の社員に給料が払えなくなる事態もあったそうだ。
「そんな社長になぜついてきましたか?」とインタビューをされた社員の人たちは、「信じていたからかなあ・・・」と応える。
普通なら、「とんでもない社長ですよ」と言われても仕方あるまい。
本来の造園業だけでも何とか食べれていたような気がするからだ。
だが、社員たちは社長を信じついてきた。
リーダーの資質は、逆境のときこそ発揮されるものなのかもしれない。
 
 そして12年に及ぶ試行錯誤の末、ようやく現在の形にこぎつけた。
ただ、完成はしたものの、実績のない中小企業が、国内の公共工事に、そう簡単には参入できないという厳しい現実が待っていた。
私たちの業界は、本当に実績のないところは認めないのである。
自分の責任の問題も有るが、人の命にかかわるところについては特に慎重になる。

 そういった双方の考えがかみ合わないと形になるのは難しい。

 そんな中、思いもよらぬ場所から、彼の工法が試される機会がやってきた...。

 2009年の台風で、甚大な被害の出た、台湾だった。
 異国の地でその技術は花開く。
 現地の被害者は、あまりの工法の速さと流されてきた土砂までも材料に使う工法に感嘆した。
 そして、自然にやさしいその工法は土砂とともに運ばれてきた植物の種から芽が出て青々と茂ってくる。
 また、水中の中では自然に近くなるためたくさんの魚が住み始め、生態系も豊かになっている。

 そして今、彼の心は東北の被災地にある。
被災者が安心して暮らせるようにと、この工法をなんとか役立てたい...。
使命感が湧いてきた吉村。
 彼の工法を活用すれば、より短期で完成するし、本来の被災地の良さがよみがえるような気がする。

 今こそ、わが国の土木技術の粋を結集し、一日でも早く復興していただきたい。