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苦肉の策
今は、来年度予算の編成期に入っており、どこの部署も大変な時期です。
とくに、近年の地方自治を取り巻く環境は厳しいものがあり、少ない財源の中でどのように有効に活用するかが問われています。
予算を組む側も、それを査定する側も辛い思いを秘めながら、ぎりぎりのところまで削減案をまとめています。
そこで、今回、私の職場で議論になったのは、ある事業がサンセット(時限付)
事業として立ち上がり、これが今年度で最終年度にきたのです。
その事業というのは、松山市PTA連合会(以下「市P連」)にお願いをしてつくり上げた「不審者情報発信システム(マックシステムと呼んでいます。)」です。
立上げの事業は、事業を立ち上げと軌道に乗るまでの行政の支援を行うかわりに、事業終了後は、引き続き市P連が管理するということでした。
この条件は、当初、市P連の方に一定の事業収益の見込みがあったからです。
でも、その収益に関する法律が改正になり、当てが外れた格好になりました。
別に市P連が悪いわけではなく、むしろ保護者としての当事者意識があったからこその条件設定だったと思われます。
しかし、その根本が崩れてしまったのです。
私たちも含めて、関係者一同、このシステムの意義や有効性については十分理解しています。
だからこそ、なんとか継続できないか、さまざまなチエを絞りました。
しかし、有効な手立てが見つからないままここまできてしまいました。
この事業に携わる人全員が、子どもたちの生命の安全を守る事業であり、地域が一体となって見守り活動をしてくれるツールとなってくれたおかげで、犯罪の抑止力になったと思っています。
でも一方では、財源は限られています。
苦肉の策として、一計として公民館の図書の購入費を削れないかということになりました。
しかし、担当者からは、最近、子どもたちが読みやすい本の選定や読み聞かせボランティアのおかげで公民館図書の利用が増えてきており、新刊を増やしたいと思っていたところだけに、理解できないという熱い発言がありました。
また、図書館を充実することは間接的ですが、子どもたちの居場所を提供し、こちらも安心安全を守ることになります。
かなり、議論をしました。
他に捻出できないのか、最初から予算書を繰りなおしてもみました。
しかし、行き詰まってしまいました。
そこで、苦肉の案として出てきたのが、公民館担当リーダーの越知君からのアイデアでした。
そして、それを関係者が次のように膨らませました。
「図書購入費を減らすことは、図書活動を熱心にしてくれている地域の
ボランティアの方々にとっては失望しかねない状況を招くと思うのです。
そこで、市P連の協力を得て、各家庭に眠っている子ども向けの図書を
寄付してもらうという活動を行ってはどうでしょうか。」
「それなら、ついでにといってはなんですが、思い入れの深い図書を
手放すのですから、月に一回でいいですからボランティアで図書の整理を
手伝ってもらえれば、地域の人たちも喜び、それが更なる地域と家庭を
つなげることになりませんかね。」
「それなら、寄付者の本のコーナーをつくって、○○さん文庫ていうのは
どうですか。なら、愛着がわき、公民館の図書館にも足蹴く通ってくれる
ようになると思います。」
「なるほど、なるほど。そろそろ私たちも、弱音を吐く時機かも知れないね。
早速、このアイデアを市P連にぶつけてみようか。受け皿側の地域の事情も
あるから、そこをしっかりおさえておいてからね。そして、市P連に
協力要請の切々と訴える文書をつくろう。」
このような話をしながら、今宵はふけていきました。
そして、近い将来、「夢文庫」ができるかもしれないなあと思いました。