「第五回 生石地区 明日のまちづくりを考える会」の議事内容は次のとおり。
第五回目のテーマは、「無縁社会とは」についてでした。
出席者数は48名でした。
会議の進行及び内容については、次のとおり。
◎会長開会あいさつ 福山 勝幸
◎勉強会 講師 生石地区社会福祉協議会会長 渡邉 武敏
※今回から司会進行を角田公民館長が行います。
◎内 容
◆無縁社会とは
◆NHKの2010年の報道特集がきっかけ
◆無縁死(孤独死、孤立死) 年間約32,000人 内1,000人は名前も不明
「有縁」 ・・・ 「血縁」、「地縁」、「社縁」
◆孤独と孤立について
「孤独」は「孤」も「独」も同じ意味の漢字を重ねたもので、「ひとりきりであること」、「その状態を寂しく感じること」を意味します。
一方、「孤立」は「孤(=ひとりきり)」+「立つ」ですから、「他者から切り離されて、味方や理解者がいないこと、その状態」を意味します。
「孤独」は、一人でいる状態のこと。(外見的側面)
「孤立」は、つながりが切れている状態のこと。(心理的側面)
そして、外見では一人でいる状態(孤独)でも、心理的側面からは二つの状態が考えられます。
誰かと一緒にいる状態と合わせて、これらをすべて組み合わせると、以下のようになります。
1.(外見は)一人でいる ・・・・・・ (心理的には)親しい人や仲間とつながっている
【孤独だが孤立はしていない】 → ○ 耐えられる孤独
2.(外見は)一人でいる ・・・・・・ (心理的には)他者とのつながりや助けがない
【孤独でかつ孤立している】 → × 耐えられない孤独
3.(外見は)誰かと一緒にいる ・・・・・・ (心理的には)心もつながっている
【孤独ではなく孤立もしていない】 → ◎ 理想的な人間関係
4.(外見は)誰かと一緒にいる ・・・・・・ (心理的には)心のつながりが切れている
【孤独ではないが孤立している】 → × 耐えられない人間関係
◆「無縁社会」の発生は
「血縁」、「地縁」、「社縁」がそれぞれ希薄化し負の循環サイクルに入ったことで、このような社会が発生した。
◆血縁の希薄化
未婚率・離婚率の上昇(家族を作らない、家族から離脱する人が増えた)
「未婚率」
1.結婚に対して興味を持たなくなっている
2.恋愛や結婚に対して消極的な「草食男子」が増えている
3.結婚したくてもできない人が増えている
・非正規雇用者では安定して家族を養うことができない
・職場や地元での人間関係の希薄化により異性との出会いがなくなった
「離婚率」
1.恋愛結婚が多いため、愛情がなくなったら夫婦関係を続ける意味がない
2.男女間の賃金格差が縮小したことで離婚しても生活していける
3.血縁・地縁による援助や監視がなくなったので、周囲に気を使うことなく
自分たちの意思のみで離婚を決定することができる
4.少子化により子どもに与える影響を心配して離婚を思い止まらなくなった
5.平均寿命が延び子育て終了後の夫婦で過ごす期間が長くなり、
嫌な相手と一緒に暮らすのには人生が長すぎる
◆地縁の希薄化
・近所づきあいは「顔を合わせれば挨拶する程度」とかなり薄くなっている
・町内会・自治会への参加頻度は、急激に減少している(1963年 70.2%)
・隣近所と何かにつけて相談したり、助け合えるような付き合いを望まなくなった
・サラリーマンが急増した
1.サラリーマンは職・住が分離しており、地域との付き合いが希薄になりやすい
2.残業など長時間労働により、地域の活動には参加しにくくなっている
◆社縁の希薄化
・不景気で企業福祉の喪失により、企業と社員の結びつきが希薄になってきた
・企業は生き残りをかけて、給与の削減・リストラなどを行うようになった
・従業員もリストラの不安から企業への忠誠心が失われた
・企業もパートや派遣・契約社員など非正規雇用者を増やし、短期契約のため流動的、低コストで効率よく労働力を確保するようになった
・安否確認、孤立を防ぐための事業・取り組み等
1.民生委員の独居高齢者訪問活動
2.独居高齢者のみまもり活動
3.愛の一声訪問事業
4.配食サービス事業
5.緊急通報体制整備事業
6.安心カード安心見守り支援事業
7.ふれあい・いきいきサロン運営事業
8.地域交流型サロン
9.地域福祉サービス事業
10.松山見守りネットワーク事業
11.認知症高齢者見守り・SOSネットワーク事業
◆松山見守りネットワーク事業
【日常と異なる「生命の危機にかかわる状況」の事例】
1.数日間、新聞や郵便物が溜まっている。
2.数日間、日中なのに電気がついている。
または、夕方なのに電気がついていない。
3.電気やガスの使用料が極端に少ない。
4.何日も洗濯物が干しっぱなしになっている。
5.日頃、開くはずの雨戸が閉まっている。
・・・など。これらは基準ではなく例示です。
情報提供の判断は、あくまで事業者・団体様に委ねます。
◆生石地区内の民協・社協行事
1.協力会員によるサービス事業
2.独居高齢者の集い
3.独居高齢者へのお歳暮(生石公民館と共催)
4.高齢者(72歳以上)への年賀状
5.敬老の日の祝い品(90歳以上)
6.高齢者福祉健康講座
7.福祉だよりの発行
8.民生・児童委員の1日研修
9.生石小学校福祉学習参加
10.各種施設イベントの参加
◆その他
「独居高齢者」の把握
●65歳以上の単身世帯数 34,918世帯(人)
民生委員把握数 約7,000人
病院・施設入居者 約8,000人
残りの全戸訪問調査をシルバー人材センターに委託し把握する。
生石地区の場合は 150~160名(常に変動)
●調査内容
世帯状況・緊急時の連絡先の有無・民生委員による見守りの希望等
●調査期間
11月中旬~2月末 3月 名簿作成
次のような質問が出ました。
質問:職業がさまざまな人たちとお話しすることが多いので、これを生かして
役に立てないか、考えたことがある。
そこで、そういう活動をしている団体へ申し込もうとしたが、その方法
がわからないまま今にいたっている。こういう場合はどうすればよいのか?
回答:民生委員の中に協力員という制度がある。この制度を活用していただ
ければ、身近な人の手助けができるので、ぜひご参加いただきたい。
依頼:質問ではなくお願いなのだが、私が民生委員になった時に困ったこと
は、見知らぬお年寄りとコミュニケーションをとることの難しさである。
お年よりは心を開かないと、困っていることを話してくれない。
しかし、何でも話し合えるようになると、例えば優しい営業マンが来て、
高額の布団を買わされたという話をしてくれたので、すぐに対処し、
大事にならなかったという事例がある。
そういう意味では、お仕事でさまざまな人たちとかかわりをもたれて
いるならば、ぜひ協力員になっていただき、ご協力いただきたい。
また、皆さんには平素の近所づきあいをよろしくお願いします。
提案:退職をしてから地域活動に参加するのではなく、予備軍である50代
から地域活動に積極的に参加することが大事である。
自分で高齢者の線引きをするのではなく、自分もいずれそういう立場
になるということを認識し、早くから自分のできる範囲で(地域活動に)
協力していくことが大切だと思う。そういう意味では、こういう会に
参加し、まず地域の人たちの顔と名前を覚えることからスタートして
欲しい。
感想:私たち理容業はいろいろな人たちと会話するので地縁にかかわれると思う。
地域活動に取り組まれている人たちには自信をもって今後もご活躍いただ
きたい。また、このようなまちづくりを考える機会をいただいたのは本当に
よかった。ぜひ、今後も続けて欲しい。
【まとめ】
昨年5月に福岡で公民館の全国大会があり、その中のテーマの一つに「無縁社会
について」というのがあって参加してきた。
発表者は小さなまちの公民館長がされたのだが、聴衆者のほとんどがまちの大きさ
がちがうという理由から親身に受け止めていなかったような気がする。
しかし、都市化していくとさまざまな歪が出てくるところは大小にかかわらず
同じである。大事なことは地域の課題を他人事と捉えず、わが身として捉える
ことが大事である。都市化や少子高齢化などによって生じる地域課題は、地域の
中で支えあうまちづくりを一人でも多くの地域住民が真剣に取り組むことである。
そのためにも地域を変える時期にきているし、変えるためには目的意識をしっかり
持つことが大事である。地域活動を支えるためには、現状を見直すこのような会が
有効であり、この会を発展させることこそが、この生石地区の発展につながるもの
と思う。
次回は、生石地区の子育てについて公民館の分館活動を紹介するとともに、最終回となるこの会をどのようにしていくのかを協議する予定です。
【6回スケジュール】
・第6回会議 2月20日(水) 「子育てについてⅡ」