走る営業公務員、奮闘記!!

地方分権が進展する中での地方からみた木っ端役人の奮闘記です。

ひと言の思いやり

2008年06月29日 20時01分43秒 | その他
 ひと言の大切さ

 PHP社から出ている「ひと言の思いやり」(金平敬之助 著)を読んでいてなるほどと感心しましたので、ご紹介いたします。

 大リーグのイチロー選手がまだオリックス時代のこと。
 ある試合に負けたバスの中の話。
 試合には負けたけれどもイチロー選手は四打数一安打。二塁打一本。
 しかし、ゲームに負けているのですからバスの中は暗い。
 雰囲気は最悪。イチロー選手も当然へこんでいた。
 そこに仰木監督が声をかけてくれた。
 「何だ、お前は・・・、二塁打一本打ったから喜べよ。
  チームのことなんてオレがやるんだから・・・。
  お前は自分のことをきっちりやればいい。
  今日は二塁打一本、いいじゃないか。」
 イチロー選手はその時に「すげぇ、このオッさん。」と思ったというのです。
 そして、他の監督の言葉。
 敗因をすべて選手のせいにしたひと言。
 「オレはこんな弱いチームで野球をしたのは初めてだ。」

 どうでしょう、これによって両チームの選手は翌日からどう変わったでしょうか。
 私たちは、職場で、学校で、家庭で、「ひと言の大切さ」「ひと言の思いやり」にもっと気づく必要があると思うのです。

 どこかの肉屋さんの社長はどちらでしょうか。

 

河野公民館青少年健全育成研究会

2008年06月28日 19時27分40秒 | その他
 地道な活動

 今日は午後から旧北条の河野公民館の第28回青少年健全育成研究会に参加してきました。
昨年に引き続いて二回目の参加でしたが、私のようなものでも来賓席にすわらさせていただき、青木公民館長、宮本会長に引き続き挨拶もさせていただきました。

 この公民館は、北京オリンピックの女子マラソンに参加する土佐礼子さんの出身地でもあります。
地元としては、連続オリンピック出場を記念して、石碑を建てたいとう願いがあるようです。

 館長曰く、彼女が子どもたちの夢になるようにと考えた時に、石碑もその一つだと思ったというのです。

 地域を愛する人を増やすには、その地域に尊敬できる人がいたというのも大事な要素だと思うのです。

 青少年の健全育成は、規律正しい生活や生きることの大切さなどを教えることも大事なのですが、子どもたちが目指す人物を大人たちが演出することも大切かもしれないと思いました。

晴れない天気はない

2008年06月26日 21時53分13秒 | その他
東奔西走の日々

 この二週間くらい議会をはさんでさまざまなことがありました。
 もちろん仕事でです。
 
 事前に予測できること、できないことに分けるとするならば、その両方がこの二週間の内に一件づつ発生してしまいました。
管理監督者としての資質が問われるような場面もありました。
自分の足りない部分をまざまざと見せ付けられたような気がします。

 いかに平素の備えができていなかったか、痛恨の思いです。
 「ヒャリハット」の組み合わせによっては大事故になりかねないなんて、偉そうに部下に指導していたにもかかわらず、いかに自分ができていなかったか...。

 また、常に「責任は自分がとる」などと部下に言っていたのですが、この二週間の私は悪あがきを精一杯したような気がします。
最後まで諦めず、真摯に誠意をもって望んだつもりです。

 そして、今日、両方とも光が見えてきました。

 晴れない天気はない、そう思った二週間でした。
 

難波公民館の田植え

2008年06月24日 22時44分19秒 | その他
晴れてよかったです

 今日は、文教消防委員会があり、終了後、難波公民館から子どもたちが田植えをするので見に来てほしいという案内がありましたので慌てて出かけました。

 子どもたちが田植えをするのに、雨が降っているとかわいそうだなと思っていたのですが、快晴に近い田植え日和になりました。

 子どもたちは水ぬるむ田んぼの中に足を入れると、悲鳴ともつかない叫び声をあげていたのですが、すぐになれたのか上手に田植えを始めました。
 年々田んぼが減っていき、日本の叙情的な風景が少なくなり始めていますが、子どもたちには今日の体験がしっかりと脳裏に焼き付けられたことでしょう。

映画「1/4の奇跡」の奇跡

2008年06月22日 23時59分32秒 | その他
 おかげさまで

 前に映画「1/4の奇跡」の上映についてPRさせていただいたのですが、超満員となり二回上演をするなど、スタッフにとってはうれしい一日でした。

 主催をされたNPOラ・ファミリエを側面支援していただいた市PTA連合会の中村会長さんをはじめとするPTAの皆さん、そして微力ですが協力させていただいたNPOユニバーサルクリエートの面々、本当によくがんばっていただいたと思います。

 今までの上映の中で最大の動員を果たせたのは、みんなの力のおかげです。
世の中まだまだ捨てたものではなく、こんなにたくさんの心温かい人達がいるんだと感じた一日でした。

奇跡のシンフォニー

2008年06月21日 22時26分35秒 | その他
 本当に奇跡の物語

 今、アカデミー主題歌賞にノミネートされています「奇跡のシンフォニー(http://www.cinemacafe.net/movies/cgi/21229/
)」という映画を観てきました。

 主役は11年と16日間、施設で育った11歳のエヴァン(フレディ・ハイモア)。彼は、両親の顔も名前も知らないが、(その両親と)心に聞こえてくる音を通じてつながっていると信じていた。
 そして、ある日、施設を飛び出し、N.Y.のストリートで生まれて初めて楽器に出会う。
そこで、エヴァンは自分の想いを楽器に託して表現できるということに気付く。
ここから、信じられないことばかりが彼の周りで起こり始めるのです。
そして、自分の音楽はこの世界のどこかにいる両親の元へ届くと信じて…。
果たして、エヴァンに奇跡は起こるのか――?

 というのが、この映画のストーリーです。
 本当にアメリカ映画らしく、最後はあっと驚くエピローグで幕がおります。

ネットワークのつながり

2008年06月18日 22時17分11秒 | その他
 おもしろい職員?

 うちの組織にもユニークな職員がたくさんいます。
 その人たちに比べると私などはごく普通な職員だと思っていたのですが、N職員からの紹介ということでNPO法人こころ塾の村松さんという方が訪ねて来られました。

 NPO法人こころ塾の活動内容は、中小企業のメンタルヘルスとうつ病の方の職場復帰のサポートが主なものだそうです。
 村松さんもNPO法人の代表らしく、熱き思いと志を有する方だと感じました。

 活動の参考になるかどうかはわかりませんでしたが、少しのアイデア出しとそれに合いそうな人を私のネットワークの中から抽出し、後日、紹介させていただくことにしました。
 松山人気質は、外者をすぐには寄せ付けないところがあるため、誰かの紹介があった方がことが進みやすいからです。

 そして、村井さんには失礼かとは思ったのですが、「なぜ、私だったのですか?」と尋ねたところ、「Nさんが、私より変な職員がおるけん(いるから)、紹介しておこわい(あげる)と言われたんですよ。」
 「ムムム・・・」
 内心、「あんたにだけは言われたないわい。」と思ったのですが、村井さんに言うべきことではないので、グッと抑えてお見送りをいたしました。

 NSさん、どう考えてもあなたの方が変わり者だと思いますよ。

情報発信の大切さ

2008年06月17日 20時37分07秒 | その他
 歯車を噛合わすために

 今まで教育分野では、学校教育と社会教育を両輪に家庭教育を(歯車のように)かみ合わせながら進めていく重要性を、さまざまな機会に多くの人たちが説いてきました。
そのためには、学校・地域・家庭が一体となった取り組みが前提になければ、成立しないということでした。

 しかし、現実にはうまくそれぞれの歯車がかみ合っていなかったような気がしていました。
 その理由がどこにあるのか、それをずっと追い求めてきました。

 地域によっては、学校とうまくいっているところもたくさんあります。
まさに、近所づきあいのような仲になっている地域もあるのです。
よく見ると、互いが助け合いながら、その関係を強固なものにしているということに気づかされました。

 そして、今、国は教育基本法を改正し、社会構造を見直すべく、改めて学校教育と社会教育を両輪にすえるため、理念に「生涯学習」の重要性を明記し、地域が一体となって取り組む必要性を新たに加えました。

 また、国は、それにともなうプログラムを打ち出し、強化しようとしています。
おそらく、その背景には国際競争力がますます激化する中で、わが国の学力低下に対しての危機感があるのかもしれません。
 このときに注意しなければならないのは、人づくりも地域、地域で異なるような気がするのです。
 私たちは、この地域にあった人づくりに努めること、何よりもその人の未来が輝くものになるためには何をすべきかを常に考えることだと思っています。

 そして、現実に立ち返ると、私たち社会教育を所管する部署と学校教育の現場がつながっていたかというと、一概には言えないところがあります。
 そこで、前にも紹介しましたが、この春から学校現場を知り尽くした立石元校長先生を嘱託でお迎えしました。
立石さんは、精力的に行動をしていただき、私たちが知らなかった学校現場の先生方が読んでいる情報誌などに、私たちの活動やこれから取り組みたい事業について自らが記事を書き紹介をしてくれています。

 目からうろこです。
 なんでもないようなことですが、互いが理解をしあう前に、さまざまな形で情報発信をするところから始める。
驚きもし、反省もし、でも難しく考えすぎていた自分の愚かさに気づかされます。

 お互いが心を通わせるコミュニケーションをするための前提として、情報発信の大切さを改めて認識いたしました。

誰かの役に立ちたい

2008年06月16日 23時41分37秒 | その他
 障害者の在宅就労

 今日の愛媛新聞(3面)に「まるく株式会社」(松山市吉藤3丁目 北野賢三社長)の記事が載っていました。

 北野社長とは、松山青年会議所の福祉部会に在籍しておられたときに知り合い、その高潔な人柄で、その魅力に年下ながら敬服をしておりました。
 そして、北野社長が2006年12月に障害者就労継続支援A型事業所として創業されることをお聞きし、驚かされたものであります。(松山市の「在宅就労促進事業」第一号にも選ばれています。)

 北野社長は本当に熱き人で、障害者の現場や現状をずっと見てきて、英断されたのだろうと思います。
 その行動は、利から入ったものではなく、社会のために何とかしたいといった社会起業家的発想からだと思います。
リスクがいっぱいあり、理解者がまだまだ少ない中での起業は、本当に勇気としかいいようがありません。

 そして、彼の会社は、重度の障害者の人たちの就労の未来を切り開いてくれました。
方法は、在宅就労という形で実現してくれたのです。
障害を持っているというだけで、勤労意欲がないと誤解されがちな障害者に、人としての尊厳がいかなものかを社団法人ではなく株式会社という形で挑戦されました。

 記事中、松下直人さんの言葉が印象的でした。
 「ずっと仕事をしたかったが、就職できなかった。誰かの役に立ち、
  給料がもらえるのがうれしい。」

 そうなんです、仕事は誰かの役に立っているとおもえるからこそ、がんばれるのです。
 北野社長、営業大変だろうと思いますが、がんばって!!

ロングライフデザイン

2008年06月15日 23時29分58秒 | その他
 情熱大陸

 今晩、テレビ番組の「情熱大陸」を観ていて、なるほどと思ったことがありましたので紹介します。

 今回の主人公は、ナガオカ・ケンイチ(デザイナー)さんでした。
ナガオカさんは、ユニークでデザインしないデザイナーなのです。

 彼のテーマは、「ロングライフデザイン」
 日本が誇るべき長寿商品を掘り起こし、時にちょっとだけエッセンスを振りかけてスポットライトを当てる。
非常にシンプルだけど、誰でもがやれそうでやれない活動をしています。

 番組の中で、今の環境保全を「捨てることが前提になっている。」と評する。
有害物質でも捨てなければごみにはならない。
「捨てない環境保全」もあっていいのではと。
まさに、捨てなければ新たに作る必要がないので、総エネルギーからすると増えないわけだから理にかなっていると。

 彼のプロジェクトに「NIPPON VISION(ニッポン・ビション)」というのがあって、地域の長寿商品を掘り起こし、物産展をやろうというもの。
なぜそこまで長寿商品に拘るのか。
それは、歴史のあるものは意味があるからと、さらっと言ってのける。

 この地(わが郷土)にも、他地域に誇れるものがたくさんあります。
そのことに気づいていないだけかも。
地場産業の振興に携わるみなさん、彼のプロジェクトに加わるの、おもしろいかも。

映画「ザ・マジックアワー」

2008年06月14日 23時52分22秒 | その他
 最近、笑っていますか?

 ここのところ色々なことがありまして、そういえば最近、心のそこから笑ってないなあと気づきました。
そこで、話題の三谷幸喜 脚本・監督の「ザ・マジックアワー(http://www.magic-hour.jp/index.html)」を観てきました。

 いゃあ、本当に大笑いしてしまいました。
 ストーリーは、ホームページのアドレスを付していますので、ぜひ見てください。
そして、ぜひ劇場に観に行って下さい。(広告宣伝費を貰っているわけではないのですが...)

 一番は、佐藤浩一の演技が秀逸であります。
あれほどシリアスで演技派の佐藤浩一が一枚も二枚も自分自身の殻を破り、超一流のコメディアンになっています。
 そして、それを名だたる俳優人が脇を固めています。

 本当にゲラゲラ笑ってしまいました。
 「脳天気」と言われるくらい、涙を流しながら笑ってしまいました。

 でも、この映画の中で感じたのは、現実は演技にかぎりなく近いということかもしれない。
下手なコメディよりもコメディらしいのかもしれない、そんなことを三谷さんは言いたいんじゃないかと。

 もう一度申し上げます。
最近、心から笑っていないあなた、ぜひ「ザ・マジックアワー」を観に行ってください。

反発する職員になれ!!

2008年06月13日 21時56分24秒 | その他
 一人じゃあ、何もできない

 私たち公民館の仕事は、平素、事務所に公民館長(特別職/非常勤)、書記(ブロック公民館のみ)、補助職員(パート待遇)、臨時職員(一部のみ)、そして公民館主事(市職員/常勤)がいて、社会教育講座や地域活動の中心的役割りを果たしています。

 ただ、公民館主事は市職員としては、たった一人で仕事をしていますので、孤独感や不安に追いやられることがあります。
 また、注意や指導をしてくれる人が少ないため(公民館長はやっていただいているのですが)、つい自分に甘くなってしまうことがあるようです。

 過去には、「なぜ、市職員がこんなことまでせんといかんのですか。」と詰め寄る者もいたようです。
「現場で何が起こっているのか、上司であるあなたは知っているのか。」と言いたかったのだろうと思います。

 私は、たたき上げの課長ではありません。
過去の課長は、社会教育の現場をある程度経験していないと勤まらないと考えられていた節があります。
恐らく、今も、そのことは重要なことだと思います。

 現場経験のなさから、部下をつい甘やかしてしまうことがあります。
 「信頼」と「無責任」がちがうように、私は、最近、現場をおろそかにしていたのではないか、それによって(部下に対して)無責任な行動になっていなかったか、考えるようになりました。

 今、公民館主事の意識改革のためのいくつかのプランを考えています。
そのどれもが、公民館主事にとっては、つらく、厳しいものになるかもしれません。
 でも考えてみてください。
甘えの中からは、成長は生まれてきません。
何もしない中からは、何も生まれてきません。

 そして、課長に対しての反発をあえて受けていく覚悟であります。
 悔しければ、もっと私に挑みかかってきてください。
 その精神を私は大事にします。


未来を奪う権利は誰にもない

2008年06月12日 23時54分18秒 | その他
 器物破壊化殺人

 今日のニュースを見ていて先の秋葉原の無差別殺人等のように、殺す理由もなく、殺す相手も誰でもよい、また当事者意識など一切なく、自分が悪いのではなく人が悪い、会社が悪い、社会が悪いと責任転換をするなど、常識では割り切れない殺人事件をこう呼ぶのだそうだ。

 今、私は公民館を拠点とした地域活動に取り組んでいますが、だんだん地域の絆が希薄化し、地域活動が低迷していることを肌身に感じています。
その大きな要因が、地域に対する帰属意識の希薄化、そして個人主義の蔓延であります。

 時に、自己中心的に自分の思いだけを貫き通そうとする人に出会うことがあります。
「モンスターペアレンツ(怪物保護者)」等も、その一例かもしれません。

 地域社会の中で、自己を主張することは大切なことです。
 しかし一方で、「妥協」や「我慢」も必要であるということを知らずに、一方的に自分の思いだけを主張する。
そのことがかえって周囲の人たちから顰蹙(ひんしゅく)を買いかねないことに気づかずに...。

 どうか、お願いです。
私たちは一人では生きていけないのです。
人に優しくしてもらいたいなら、まず自分自身が人に優しくなってください。
そうすれば、お互いが助け合うという芽が出てきます。
 そして、その芽を大切に育んでいけば助け合う幹となり、花を咲かせ、結実すると思うのです。

 誰にも、その人の未来を奪う権利はないのですから...
 犠牲になって死んだ方々に、合掌。

耳の痛い話

2008年06月11日 22時40分02秒 | その他
 反省しきり

 仕事でひょっとして一番難しいことは、人間関係かもしれない。
 特に、上下関係の人間関係は、より難しい。

 先日も、部下とぶつかることがあった。
 きっつい目で、「課長は責任をとるて言ってますが、どんな責任をとってくれるのですか?」
 思わず、うっと言葉を飲み込んでしまった。

 確かに、彼の言うのは的を射ている。
 常日頃、「私ができることは、方向性を示すことと、責任をとることです。」
とてもきれいな言い方です。
取りようによれば、敵前逃亡をするだけじゃないんですかということか。
 しどろもどろになってしまった。
 彼の指摘するように、課長はエエカッコだけして、「責任」の大安売りをして、大安売りしてしまったゆえに重みがなく、本当に責任をとるのかと疑心暗鬼になってしまう。


 耳の痛い話、第二弾。

 ちがう人からは、「あなたの話はきれいです。とても素敵な話に聞こえますが、よくわからない。市民のために、市民のためにと言っていますが、具体的にわからない。」
この言葉も、きつうございました。
こちらの方も、確かにであります。

 この2つのエピソードは、共通しているところがあります。
 それは、私がいかに独りよがりで、相手のことを考えている風に見せながら何も考えておらず、心も思いやりもない人間であるということです。


 そして、私が幸せなのは、このように耳が痛い話をはっきりと言ってくれる人たちが回りにいるということです。
正直、辛いときがあります。
自尊心が傷つくことがあります。
 でも、せっかく私のことを思いアドバイスをしてくれる人の言葉で、自尊心が傷つくなら、それは薄ぺらな自尊心なのかもしれません。

 自分の成長のためには、はっきりと耳の痛い話をしてくれる人たちを大事にしたいと思いました。

温知政要(おんちせいよう)

2008年06月10日 20時41分23秒 | その他
 徳川宗春(1696-1764)

 江戸中期の尾張藩主。三代藩主綱誠(つななり)の二〇子。商工業の振興など積極的経済政策を打ち出し、吉宗の享保改革の施策と対立、1739年蟄居(ちつきよ)を命ぜられました。

 その著「温知政要」で、その政治信条として倹約を強いると、倹約が倹約を呼び経済が回らなくなると、時の将軍・徳川吉宗を批判しました。
その逆鱗に触れたため蟄居を命じられたという人もありますが、実は当時の税制が彼の足をひっぱったのが大きな原因と言われています。

 もともと徳川吉宗の政治信条が、儒家の修めるべき五徳(温・良・恭・倹・譲)の「倹」と儒教の五徳(仁・義・智・礼・信)の「礼」に重きを置いていたと言われています。
 一方、宗春は「慈」と「忍」の仁政を布(し)くところにあったのです。
仁政の「仁」は、人が二人いたら社会が生まれ、国家とはその小さな集合であると説き、それゆえに仁を重んじていたと言われます。
 その考え方には、物々交換のときに、仁の心で感謝し、上乗せをしたとします。
すると相手も次から次へとお礼を上乗せするので仁が仁を呼び経済が回りだすと説いたのです。
そして、それによって領民はみな裕福になり、貧富の差がなくなると信じていたのです。

 しかし、宗春が考えるほど経済は回りませんでした。
その理由としては、当時、農民が納める税(年貢)が税収の基本だったからです。
彼の政策によって、娯楽産業は驚くほど栄えました。
それによって、農民も遊ぶことを覚え、エスカレートしていったために働くことを嫌い始め、それにより米の生産力が落ちてしまったのです。
つまり、税収が大幅に減っていたために藩の経営を圧迫したのです。

 宗春のとった政策は結果的には失敗だったといわれますが、一方の徳川吉宗の享保の改革も米相場に拘りすぎて失敗だったという評価もあります。

 これにより、政事(まつりごと)は、領民にとってわかりやすいこと、楽しいことが大事であるということ。(事実、当時の尾張藩はさまざまな文化の発信地になったと言われています。)

 そして、政事は
    民に何を強いたかではなく、
    民へいかに尽くしたかが大切であるということが学べます。