まだ身体が十分でないため妻に送り向かいをしてもらっている。
今朝、同様に送ってもらっているとごみ出しをしていたおばあちゃんがいた。
「今日はここら辺りはプラスチックごみの日やね。」と妻がつぶやく。
「そうやね。」と頷(うなづ)く。
「さっきのおばあちゃんの出してるごみ、見た?」
「見たよ。」
「カップ麺だけやなかった?」
「そうやね、同じカップ麺だけやったね。」
「きっと、独居老人なんやろね。同じカップ麺ていうことは特売日に買った方が安くなるしね。」
「そういうことか。」
「あの麺やったら、たぶん一個百円かからんけんね。一人で、生活もたいへんなんやろね。」
「昔、斑鳩(いかるが)の夕餉(ゆうげ)の時間に立ち上がる煙で、庶民の生活ぶりがわかったという話があったけど、ごみ出しだけでいろんなことがわかるということか。」
「何を悠長なことをいよるん。そんな生活を強いているのはどこの誰?」
「耳が痛いなあ...」
「しっかり仕事せんといかんねぇ」
いつもながら手厳しい妻である。
そのあと、そのおばあちゃんのことが気にかかった。