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アメリカ経済再建 その2: 金融中心、繰り返す失敗

2011年08月17日 14時00分18秒 | 経済
アメリカ経済再建 その2: 金融中心、繰り返す失敗
 オバマ大統領の下で今採られている政策はマスコミでも広く報道、解説が行われています。
アメリカの景気が悪くなると、世界中(本当はアメリカ自体)が困るので、何とか個人消費や住宅建設を回復させ、需要面から景気を引っ張り、先ずは不況を脱出したいという事のようです。

 そうすれば企業も元気になり、生産も回復し、雇用も増えて、雇用増がまた消費の拡大つながるということでしょう。だから雇用統計が注目の的になっています。

 そのために何をするかというと、先ず金融緩和です。デフレでもないのにゼロ金利にし、量的緩和を徹底して、国民にも企業にもカネを使い易くして、大いに使ってもらおうという政策です。
 と言いつつ、これでドル安に誘導して、国際競争力を強めたいという思惑も透けて見えます。思惑の皺寄せで、日本は円高になって苦労します。

 バーナンキさんは1929年の世界恐慌も、金融緩和で解決できたはずという主張も持ち主だそうですから、信念を持って、これをやっているのでしょう。
 しかしこれは、経常赤字国のアメリカがずっと採り続けてきた政策で、金融緩和だけでは副作用ばかり大きく、とても根本的な解決できない問題のように私には思われます。

 実は、オバマさんが大統領選挙の時、「チェンジ (Change! Yes, we can.)」といっているのを聞いて、「もしかしたら何か、新しい方向が・・・」と思ったのですが、「チェンジ」は掛け声だけで中身への言及はありませんでした。結局、大統領が変わっただけでした。

 現実には金融緩和に財政支出増も併用していますが、そうやって、需要で経済を引っ張れば、一時的には景気が良くなる可能性はあります。しかし、需要が伸びるときは、生産もついていかないと、結果は「経常赤字」の拡大でしょう。

 アメリカ経済の問題は、生産力が弱って、経常赤字が何時までたっても治らないことです。今回の金融緩和、赤字財政の継続(国債発行上限引き上げ)で、アメリカの生産力の回復が期待できるのでしょうか。  多分「ノー」でしょう。

 サブプライムの後遺症、住宅価格の低迷で、モーゲージローンを使えなくなった国民が、 支出を切り詰め、自己資本の劣化した法人企業がバランスシート調整(資産圧縮)をして、それらが貯蓄増加につながり、マイナス方向で生産とのバランスが改善するという傾向も、多少はあるようですが、それは政府の意図とは正反対のものでしょう。


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