tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経団連、賃上げ容認姿勢強める

2022年11月04日 16時01分56秒 | 経済
財界総本山である日本経団連が、来春闘でのベースアップを含む賃金上昇を会員企業に要請するという方針を決めるようだというニュースがYahooや日経新聞から伝えられてきました。

来年一月には経団連は例年出している「経済労働政策特別委員会報告」、通称「経労委報告」を出して、春闘についての方針を発表するのですが、この時期おおよその基本方針が固まったのでしょう、正式に発表したのか、リークされたのかは解りませんが、はっきりした報道になってますから、基本的な方向は決まったのでしょう。

経団連の十倉会長は以前から、賃上げについては「必要ではないか」というニュアンスの発言がありましたが、いよいよ経済界、そして労働組合組織のカウンターパートである経営者の意見として賃上げの必要性を認めるのであれば、大変結構なことだと思います。

今の日本経済は、国際的なエネルギー価格等の上昇はそろそろピークで、主要な問題は円安による混乱です。ですが、賃上げは為替レート直結の問題ではではないでしょう。

$1=¥110 ほどの所から、150円近くまで円安になっているのですから、輸入価格は3割近く上がっている計算です。しかし賃上げの基準はこれではないでしょう。

アメリカのインフレが収まって金利引き上げが止まれば円安は戻ることになるのでしょうから、円安による輸入価格の値上がりはそのまま国内価格に転嫁しても、次に円高になったら値下げすることで、経済のバランスとれます。

賃金の場合は円安だから上げて円高になったら下げるという訳にはいかないでしょう。
黒田日銀総裁などは、少したてば円高に戻るから、毎度対応しない方がいいという意見なのでしょう。

今の消費者物価上昇は、今の円安というより、この何年もの間、エネルギーや穀物などの価格が上がって来たのに、価格転嫁出来ずに我慢して来たものが噴出した部分が大きいようです。

加工食品や、調味料、日用品などの一斉値上げで3%を越える消費者物価の上昇ですが、今の円安を反映させたらこんなものではありません。

経団連が考えているのも、今の大幅な円安分を賃上げでカバーというより、消費者物価の3%を越えてきた上昇をカバーするといったところまでの話だろうと思います。

欧米と比べてみれば、日本のように通貨価値が下がっている国はありませんが、アメリカでもイギリスでも、輸入物価が上がると、その価格転嫁以上に便乗値上げ、便乗賃上げをします。その結果、消費者物価が10%も上がって、金利引き上げとなるのです。

彼らが便乗部分をやめて、日本が正直に価格転嫁と賃上げをすれば、多分問題は解消でしょう。

という事で、欧米が今やっていることは、金融引き締めで便乗部分を消すことです。
そこで日本が、正直な価格転嫁と適切な賃金引き上げをやれば、結果は両者イーブンとなり、両者ともに経済正常化(資源価格上昇に見合った物価体系)という事になって、丸く収まるのです。

本当に必要なことは、欧米が便乗値上げと便乗賃上げを辞めて、日本が正常な価格転嫁と賃上げをすることなのです。そうすれば欧米の金融引き締めは不要で、円安も起きません。

つまりは、国際資源価格上昇に対して、過剰反応の国と過少反応の国のアンバランスの解消過程としての努力を、アメリカも日本も(逆方向から)やっているのですが、そのプロセスで、日本で円安問題が起きたという事でしょう。

欧米の金融引き締めと日本の賃上げで、問題が解決に近づくことを期待するところです。

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