tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

企業における人件費支払能力測定の実務:第1回

2017年02月12日 11時50分52秒 | 経営
企業における人件費支払能力測定の実務:第1回
 昨年「人件費の支払能力」という問題について、よく使われる割に、中身が極めて曖昧なままで使われているという立場から、その概念規定を明確にする目的で、「支払能力シリーズ」を書きました。

 今まさに春闘の真只中に突入しようという労使ですが、経営側の立場からは経団連の「経労委報告」の中でも「企業の支払能力」という言葉は使われています。
 そこで、これから何回かに分けて、「企業の支払能力」という問題への具体的アプローチを考えてみたいと思います。

 この基本的考え方は、企業というものを労使の共通の財産と考え、労使がそれぞれの立場からその機能を最大限に引き出すことを協力して追求し、その成果を労使で「適切に」配分することによって、さらなる企業の機能の最大限の発揮に繋げるといいうベストの企業の拡大再生産の循環を可能にするためのものです。

 この「適切に」というところが、とかく曖昧になり、労使の意見が「同床異夢」のまま結果は妥協の産物というのが多くの労使交渉の場の現実でしょう。
 ここでは、この「曖昧さ」を極限まで小さくし、「これなら労使双方が、双方にとってベストという究極の win=win の関係を持てるまで、議論を詰めることを考えてみたいと思います。
 これは、「支払能力シリーズ」で書きました、「 真理は中間にあり」という経験からの判断を前提に、その中間にある「労使が共通に納得できる点」を「特定する」ための作業という事になります。

 企業は、人間が考え出したシステムで、人間と資本によって構成され、その中で人間が資本を使って、世の中をより豊かで快適なものにしていくためのものです。
 したがって、企業は、いわゆる ゴーイング・コンサーンとして、存在し続け、その役割を果たし続けるのが使命でしょう。

 これは、企業を構成する人間(便宜的に労使に分けられていますが)に課せられた使命です。その中で人間は資本を出来るだけ巧く活用して、年々生産性を高め、社会をより豊かで快適にするための、より良い製品やサービスをより低いコストで社会に提供しなければなりません。

 ここで2つの概念が重要になります。

1つは、社会をより豊かで快適にするという指標として何を選ぶかです。現在、最適な指標として使われているのは『付加価値』です。企業がより多くの付加価値を創出することによって、社会はより豊かで快適なものになります。

もう1つは、「人間が資本を使って」という場合の資本の中身です。資本は、資本の具体的な形である有形固定資産でも無形固定資産(知的財産)でも、生産性を高めるためには『技術革新』が組み込まれることが必須です。
 社会をより豊かでより快適にする原動力は技術革新です。そして技術革新は金額として企業の資産の中に入っています。

 これ方の展開の中では、この『付加価値』と『技術革新』の関係が極めて重要になってきます。

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