tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの利上げは現実に?

2015年08月10日 21時02分44秒 | 経済
アメリカの利上げは現実に?
 アメリカの雇用統計が順調な動きを示しているので、年内の利上げの可能性が見えてきたということでしょう、円レートが125円台を付けたりしています。

 推測の根拠は、経済成長も第2四半期は前期比+2.3パーセントと回復し、雇用の増加が比較的順調に推移しているということのようですが、速報値はかなり修正される可能性があるといったことは別にしても、内容は、いろいろと問題点も含んでいて、FRBがいかなる見方をするか、大変興味あるところです。

 連邦公開市場委員会(FOMC)委員の1人で、アトランタ連銀総裁のロックハート氏の発言などあって、早期利上げの思惑を呼んでいるのでしょうか。
 しかし、アメリカ経済が順調といっても、問題はいろいろあるように思われます。

 経済成長の中身も相変わらずの消費中心で、設備投資の方はあまり動きがないようですし、貿易収支は、シェールオイルなどのお蔭で改善したはずですが、原油価格の低下、製造業の競争力が、ドル高で阻害されるなど、利上げとの関係などは極めて微妙のようです。

 もう一つの指標、インフレ率は、目標の2パーセントには遠く及ばず、(日本もそうですが)前年同月比では辛うじてプラスを維持している程度です。これは、資源価格の低下や賃金が上がらないからなどと説明されていますが、イエレンFRB議長はこれをどう判断するでしょうか。

 基本的に言って、アメリカ経済は、異次元金融緩和で、ドルを切り下げ、何とか競争力を維持し、株価上昇で所得を膨らませ(前回は住宅価格の上昇)、景気の維持を図っている様子で、それにシェールオイル・ガスといった追い風が吹いたのですが、一方でマイナス要因も出て来ているのでしょう。

 日本が、アメリカに倣って異次元金融緩和をやり、円安で競争力を格段に強めた(アメリカもこれには文句が言えない)こともこれあり、アメリカの国際競争力強化は中途半端になり、貿易収支も経常収支も赤字が減らず、シェールオイル効果も原油安で相殺され、株価上昇は所得格差を拡大し、一般賃金は上昇せず、低所得層の不満が拡大、矢張り金融緩和だけで実体経済が救えるのかという、根本問題が提起されているように思われます。

 恐らく早めの利上げはアメリカ経済の回復基調を腰折れさせることになるのではないでしょうか。であれば、利上げはまだ遠いということになります。
 実体経済は消費や物価だけでは判断できません。生産力の回復、競争力の向上、それによる雇用の増加、といったプロセスが必要なのでしょう。
 そして本当にそれが実現すれば、貿易収支、経常収支も(その結果として)改善するという形になるはずです。

 アメリカ経済の真の回復は、まだまだ遠いように思われるのですが・・・・・。


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