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世界経済不振、元凶は変動相場制?

2016年08月09日 12時24分01秒 | 経済
世界経済不振、元凶は変動相場制? 
 オリンピックと高校野球、まさにスポーツの夏ですが、こんなブログでお邪魔します。

 世界経済の現状は「為替レートの変動相場制」で塗りつぶされています。大国でそれに抵抗しているのは中国ぐらいです。共産党一党支配の国ですから可能なのでしょう。

 世界経済システムは、戦後1971年8月までは金兌換のドルを基軸通貨にした固定相場制( ブレトンウッズ体制)でした。しかし基軸通貨国アメリカが、ベトナム戦争などでカネを使い過ぎ、ドル紙幣を持つ国が将来を案じてドル紙幣を1トロイオンス(31g)35ドル(現在は1200ドル台)で金に替え始め、アメリカの金保有量が急減を始めました。

 危機感を持ったアメリカは金とドルの兌換を停止し、名目的に1トロイオンスを38.02ドルとし、多角的に通貨価値の再編をし、基本的にドルを切り下げて、スミソニアン体制としましたが、この弥縫策も1973年に崩壊、以後、変動相場制(マーケット次第で揺れ動くのでフロート制ともいう)になりました。

  しかし、マーケットは必ずしも各国経済の実態に即応してきちんとレート調整をするようなのもではありません。
99パーセント余の石油資源を輸入に依存しながらも、2回の石油ショックを世界に先駆けて乗り越え、推定$1=¥200~220の国際競争力を持つと思われた日本の為替レートは240円がらみでした(1980年代前半)。

 石油価格上昇への適切な対処に失敗した、アメリカ、ヨーロッパの主要国は、G5で 円レートの切り上げを要請し、好意的に「イエス」と返事した日本の円レートが2年後には$1=¥120になり、日本経済が苦難の歴史を刻んだことはったことは、何回も述べてきました。

 マーケットが決めたことの実態とはこのようなもので、常に経済実態に沿って為替レートが調整されるとは限りません。常に有利な国、不利な国が出てきます。

 その後、数多くのG7,G8,G20における議論を経て、最近のドル相場に見るような米国経済の数字(雇用統計など)の反映、EUの混乱とユーロ相場の変動など、多少のきめの細かさは感じられますが、円レートを正常に戻すためには日銀の2度にわたる異次元金融緩和が必要だったように、実体経済と為替レートの整合性は常に問題を残すものです。

 変動相場制が必ずしも実体経済を反映しないという問題は常に付きまといますが、実は、変動相場制の本当の問題は、変動相場制が、実体経済の実力を最も適切に反映した時にこそ、変動相場制の本当の問題点が明らかになるという点ではないでしょうか。

 つまり「変動相場制」はその本質において、非合理性を持っているということなのです。そして、非合理性を持つと判断される基準は、「それが世界経済の健全な発展にマイナスの効果を持つ」ということにあるといえるでしょう。 以下次回に続きます

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