tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカの赤字と世界経済の安定と平和の関係

2014年04月25日 11時18分27秒 | 経済
アメリカの赤字と世界経済の安定と平和の関係
 前回、このブログで「基軸通貨国が数十年に亘り赤字を垂れ流す状態」を根治することが、世界経済の安定と平和のためにいかに大事であるか・・・、と書きました。
 ご理解頂いた方も多いかと思いますが、些か飛躍があるので、私なりの説明をしておくべきかと思います。

 アメリカの経常収支の赤字1970年以前から出始めました。
 戦後、第二次大戦を勝ち抜くために働いたアメリカ国民が、その強大になった経済力を生かし、当時「バターも大砲も」などといわれたように、軍備も民政も十分賄える経済力を謳歌し、電化製品や自動車でAmerican way of life は世界の憧れとなり、当時ドルは弱体化した英国ポンドに代わって盤石の基軸通貨でした。
 
 しかし、国民は繁栄を謳歌しすぎ、生活水準は生産性の上昇を越えて上がり、一方ベトナム戦争などで大きな支出をしたため1960年代後半には赤字が目立つようになりました。
 家計でも、収入が多いからと言ってどんどん生活水準を上げ、他人の揉め事にまで首を突っ込んで金を使えば家計収支はすぐに赤字になります。

 戦後、ブレトンウッズ協定で、金は1オンス35ドルと決められ、ドル価値の裏付けになっていましたが、経常国際収支が赤字続きのアメリカのドルは次第に価値が下がり、フランスなどを筆頭に価値の下がらない金をアメリカから大量に買う国が多くなり、アメリカの金準備はじり貧になり、とうとう1971年、いいわゆるニクソンショックでドルの金兌換をやめました。

 その後もアメリカの経常赤字は止まらず、今では金は1オンス1300ドル近くです。基軸通貨ドルの価値は暴落したのです。
 赤字のアメリカは、赤字の家計が借金を重ね、遂にはサラ金に手を出すように、世界中(主には日本、中国)から借金を重ねることになります。

 日本に対しては「お前がアメリカに輸出し過ぎるからだ」といって、日米繊維交渉から鉄鋼交渉、自動車交渉、半導体交渉などで圧力を掛け、さらには、プラザ合意で円を2倍に切り上げさせ、それでも赤字は解消せず、遂にはサブプライムローンの証券化などのリスク証券をトリプルAの格付けで世界中に売り、挙句の果てにその暴落で世界中の銀行のバランスシートに大穴を開け、自らも返り血でリーマンショック。円はそのトバッチリで$1=¥80、日本は失われた20年の苦難でした。

 サブプライム問題で信用を失った米国の債券や証券は、もう買う人は少なく、残った手段は「異次元の金融緩和」で資金繰りをつけるだけ。しかしいつまでも続けるわけにはいかないので、テーパ―リングを試みていますが、これがまた世界中の経済に悪影響です。

 こうした問題はすべて1つの原因「基軸通貨国アメリカが経常赤字を解消できない」ということから発生しているのです。
 言い換えれば、アメリカの経常赤字がなくなれば、アメリカは借金をする必要も、異次元の金融緩和の必要もはなくなり、基軸通貨ドルの価値は安定、世界経済は安定し、経済の安定は政治の安定、国際的には平和の基礎につながるということです。

 では何故アメリカは経常収支の改善が出来ないのでしょうか、戦後には日本も、かつては韓国も、最近では、ギリシャもスペインもやっています。
繰り返し見て来ているところですが、その辺りは次回にします。


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