tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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貿易問題と為替問題:絡めるか切り離すか

2018年10月17日 15時21分02秒 | 経済
貿易問題と為替問題:絡めるか切り離すか
 インドネシアのバリ島でひらかれた今回のG20では。自由貿易が望ましいという点については何とか確認に至ったようです。

 米中の貿易摩擦が激化し、丁度G20の時期にアメリカで株が暴落、その後2、3日は世界中で株価下落が連鎖する状態でしたが、G20がそう確認しても、米中貿易摩擦がどうなるというものでもないのが実態です。

 関連して問題になっているのが、為替問題です。過日も触れましたが、関税障壁を10%引き上げてみても、相手国通貨が10%安くなればその効果はゼロになります。
 関税の影響は貿易に限定的、適用品目に限定的ですが、為替レートはその国の経済全体に影響する問題で、影響の範囲は格段に違いますが、関税対為替は十分に有効な対抗手段になります。

 関税戦争を仕掛けるアメリカは、為替操作で関税障壁が「しり抜け」になるのを防ぐため、貿易と為替を絡ませて、通貨安誘導(操作)による対抗手段を封じ、お得意の2国間協定で、関税戦争の効果を確実にしようとするのは当然の方法論でしょう。

 しかしもともとドルを安くしてアメリカ経済を防衛しようとしたのはアメリカで、それは1971年のニクソンショックから始まっています。
 プラザ合意で日本に2倍の円高を強いたのもアメリカです。対日本で言えば、リーマンショック後は円とドルの関係はかつての1ドル360円から1ドル80円とドルを4分の1以下に切り下げています。(アメリカは「マーケットがやったのだ」というでしょう。)

 基軸通貨国がこの有様ですから、アメリカの主張も説得性は乏しく、麻生財務相も、貿易問題と為替問題を一緒にすることはないと言っているようですが、トランプさんのアメリカがそれでOKするとはなかなか考えられないのではないでしょうか。

 現実問題を考えれば、トランプさんが何を言うかで、株価も動けば為替レートも動くわけで、最近でも、トランプさんがFRBの利上げ方針を怪しからんといっただけで円レートは114円から111円台まで円高(ドルの切り下げ)になりました。

 そういう意味では、アメリカはトランプさんの口先で為替レートは操作できますが、その他の国は、日本も含めてそうはいきません。私などは、為替レート切り下げ切り上げを問題にするなら、かつてアメリカ主唱したように「 固定相場制にしたら」と考えます。

 結局変動相場制にしておうというのは、国際競争力がなくなった時に備えて、自国通貨の切り下げを可能にしておくという事でしょう。
 変動相場制のもとで、貿易問題を為替問題をまとめて考えるというのは、結局腕力の強い国に有利という事になるような気がしますがどうでしょうか。

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