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日本の国債が紙屑になる条件(7)円レートの部

2020年12月17日 23時23分25秒 | 経済
日本の国債が紙屑になる条件(7)円レートの部
 円レートの問題は、もともと金融の部に属するのでしょうが、極めて重要な問題なので別にしました。

 今日のニュースに出ていましたが、FRBは金融緩和基調を長期的に維持すると表明したとのことです。
 一昨日、昨日辺りから、円レートが103円台の円高になり、だんだん102円に近づくような情勢で気になっていましたが、今日のニュースで、FRBの発言によるのかと納得した次第です。

 これも今日のニュースですが、アメリカ財務省はスイスとベトナムを「為替操作国」に認定したとのことです。日本については「監視対象」という事の様です。

 この2つのニュースからわかることは「為替操作国」というのは、自国通貨安に誘導するために「自国通貨の売り介入」をしていることを指しているようです。
 
 輸出立国という部分を持っている国は、自国製品の価格競争力を高めるために自国通貨安を願うのは当然でしょう。しかし大っぴらに介入をやれば、まさに為替ダンピング、近隣窮乏化策という事になり、国際的に非難の的でしょう。

 目立たない様にやった積りでも、アメリカの財務省は見ています。これは基軸通貨国の役割でもあるのかもしれませんが、まあ必要な事なのでしょう。

 実は、アメリカも基軸通貨溝ですから表面上は「高いドルが望ましい」などと言いますが、本心はドル安にして輸出競争力をつけたいのです。

 G5の席で日本に円高を押し付け(プラザ合意)たのも、当時最も恐れていた日本の国際競争力を殺ぐためでした。
 それはまんまと成功、リーマンショックのおまけもあって日本は30年も円高に苦しみました。

 アメリカは2匹目の「どじょう」を中国と決めましたが、中国は言う事を聞かないので、為替操作国に認定したり、関税戦争に持ち込んだりという事になりました。

 当のアメリカは如何しているかといいますと、サブプライムローンの証券化で世界中の銀行のバランスシートに大穴を空けたついでに、世界金融恐慌は金融緩和で避けられるというバーナンキFRB議長の卓見でゼロ金利政策を取り、その結果ドルを安くして経済回復を目指しました。

 リーマンショックの時のバーナンキFRB 議長の金融緩和政策(2008年)を見てやっと日銀がそれに気づいたのは2012年辺りで、それに倣ったのは2013年以降です。

 倣ったのは、ゼロ金利政策でドル安が実現できるというアメリカの経験です。
それ以前の金融緩和政策というのは、財政政策と並んで、その国の経済活動を活発にするためのものでしたが、リーマンショック以降は金融緩和の目的は、全く違ったものになりました。

 はっきり言って、金融緩和は自国通貨切り下げの手段になったのです。アメリカに倣った日本の異次元金融緩和は$1=¥80を$1=¥120円に戻すとい円安政策になったのです。
 しかもアメリカはこれは為替操作だとは言わなかったのです。

 以降日本は円高傾向が出ると、日銀が異次元金融緩和の強力な継続、長期の継続、量的緩和も徹底、といった表現で円高を防いできています。

 しかし今度はアメリカが金融緩和の長期継続を言い出したのです。日銀がどう対応するかは知りませんが、2%インフレ目標が実現するまでは異次元緩和を続けるという決心は固いのではないでしょうか。

 ご承知のようにゼロ金利政策はいろいろな副作用(銀行の経営難など)を齎しますが、本来が輸出立国の日本にとっては、円高阻止は生命線です。
 リーマンショック後の円高で、日本経済の基盤はかなり壊れました。典型的には非正規雇用の著増等に表れていますが、長期の円高は、日本のモノづくり産業を「ラストベルト」にしかねません。

 その時は日本国債は紙屑でしょう。
これからどんな世界経済、国際関係になるのでしょうか。そんな形の日本経済を見る目も、これから必要なのかもしれません。

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