tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

経営者とは何か(その2:経済社会の調整役)

2008年08月06日 10時24分01秒 | 経営
経営者とは何か(その2:経済社会の調整役)
 経営者は、英語ではManagement でしょう。経営管理をする人です。経営管理をする目的は、企業、つまり「ゴーイング・コンサーン」、「公器」を、より発展させるためです。

 そのために協力をしてもらうのは「従業員」です。従業員と一緒になって、顧客の満足を実現し、自社の製品、サービスが社会から受け入れられて、初めて企業の永続発展が実現します。
 ですから、経営者にとって、従業員の協力は必須です。従業員の協力を得るための手段として、欧米では基本的に出来高給(金銭的刺激)が考えられ、日本では、家族主義(精神的共感)が一般的でした。この違いは、かつては、ゲゼルシャフト対ゲマインシャフト、今日では、成果主義 対 職能主義(年功色も残る)といった形で、今もかなり鮮明です。

 国民所得統計では、経営者の賃金も「雇用者報酬」の中にはいっていて、従業員の賃金と同じ括りですが、日本のように、従業員が内部昇進で経営者になっていくような組織では、経営者と従業員は同じ仲間で、人事管理と労使関係は不可分になってきます。そうした意味で、かつて云われた「労資関係」は流行らず、「労使関係」が一般的で、企業経営の安定が可能になりました。

 資本家(投下資本への最大のリターンを求める)と従業員(労働者)の関係は本来対立的で、「労資関係」は、歴史的には資本主義 対 社会主義にまで発展しました。
 しかし経営者の場合は、目的は「資本への最大のリターン」ではなく、「企業の永続発展」ですから、考えることもやることも資本家とは違います。

 経営者というのは、本来的に、付加価値(企業活動の成果)の分け前をめぐって対立抗争に発展する可能性を持つ「労資関係」を、長い目で見て、両者の利害のバランスが「企業の発展」を通じて実現するという建設的な関係(win - winの関係)に止揚するような、「調整役」(マネジメント)をやってきているというのが現実でしょう。

 経営者は「資本の代弁者」だ、という言い方は少し違うようです。


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