tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

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経常収支再論 1

2014年08月27日 12時59分18秒 | 経済
経常収支再論 1
 この春、5月16日に「経常黒字急減の読み方」を書かせて頂き、経常収支への注目は大事だが、余り心配の必要はなさそうとうい指摘をさせていただきました。
 このブログでは、一国経済を論じるとき、「経常収支」を極めて重要な指標として見ています。
 企業で言えば、経常赤字の企業は安定した存続は望めない、家計で言えば、家計収支が赤字なら、貯蓄を食い潰すか借金するかで、いつかは行き詰まる、国も同じです。

 その意味で、日本の経常収支が急減し、今年の1-6月は5000億円の赤字で、昨年の7-12月の800億円から大幅増といった状態を心配する声もあるようです。

 ご存知のように経常収支は貿易収支と投資収支(第一次:投資収支、第二次:対外援助収支など)、サービス収支で構成されますが、昨年来の経常赤字の主因はご承知の化石燃料の輸入増と価格高騰です。
 昨年上期までは貿易収支の赤字を投資収支の黒字で賄って余りがあり、経常黒字を維持していましたが、貿易赤字が増えすぎた結果です。

 こう見て来ると、日本の経常黒字は、これからますます大変かなといった気持にもなりますが、統計その他の動きを見れば、私はそう心配の必要はなくて、おおむね望ましい方向に動いているのではないか、などと私は楽観しています。

 最近の経常収支の動きも、今年1月の大幅赤字のあと2-6月は小幅ながら黒字です。
 確かに円安で急伸するかと思っていた輸出は、それほど伸びないようですが、貿易統計(かつての通関統計)を見れば、2013年は円安の追い風で9.5パーセント増、今年は円安の直接の効果は消えましたが、最近の7月の速報では、前年同月3.9パーセント増で、政府の経済成長見込3.3パーセントを上回る伸びです。

 同じ統計で輸入を見ると前年同月比3.4パーセント増で、電子機器や同部品は2ケタの伸びですが、鉱物性燃料はマイナスに転じています。
 確かに製造業の海外移転で、かつてに比べれば輸出は伸びず輸入は増えるといった傾向はありますが、(次回検討します)この調整には些か時間が必要でしょう。

 しかし、基本的には、日本経済は健全な動きを示しているようですし、いつも指摘しますが、余り経常黒字を出すことは、円の動向に良い影響はないので、十分に対外関係も考慮しながら、企業としては、慎重で着実な選択を、まさに「模索」していく時期ではないでしょうか。


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