tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

昨年来の世界のインフレ騒ぎも終息へ?

2023年07月13日 14時26分21秒 | 経済
この2年ほど、世界中がインフレ騒ぎになりました。
ヨーロッパは、ロシア産の原油を買わない(買えない)といった事情もあり、OPECはチャンスと考えたのかどうか知りませんが、原油価格が値上がりし、アメリカ、ヨーロッパは10%前後のインフレになりました。

このインフレ傾向は、まず輸入インフレという形で、日本にも波及してきました。実体は下の図でご覧いただく通りです。

          主要3物価指数の推移(2020年基準)

                      資料:日本銀行、総理府
   
真っ先に手を打ったのはアメリカで、政策金利を思い切って引き合上げ、FRBはインフレ鎮静に賭けたようです。

FRBの気迫に押されたこともあり、1970年代の石油危機からのインフレからスタグフレーションの記憶もあったのでしょうか、比較的順調に鎮静に向かったようです。
ヨーロッパも、アメリカの真剣さに刺激され、何とか後を追いかけているように見えます。

いずれも景気の落ち込まない程度のところでインフレ鎮静化となれば、金利の無理な引き上げも必要なくなり、経済の正常化が見えてくるという事で、政府も中央銀行も、一応の安心感に行きつきそうとの感じではないでしょうか。

こうした状態はマネーマーケットにもすでに反映されていて、金利の引き上げ可能性が小さくなればドル高は避けられる、日本にとっては150円に近づいていた円レートが130円台にまで円高になるという状況に進んでいます。

日本はどうかと言いますと、鵜入物価、企業物価は国際価格を反映しますが、消費者や関連企業の行動が欧米とは大分違いますが、世界的なインフレの中で、(コロナもあり)不況に苦しむ業界が、一斉値上げの繰り返しという形で、一拍遅れて値上げの限界の瀬踏みに入り、遅れた漸進的値上現象が起きました。

一方、消費者も、こうした値上にはある程度の理解を示したようで、この波状値上げが昨年、今年と、足掛け2年にわたって続きましたが、消費者の容認にも限界があるようで、そろそろ鎮静化の様子が出てきたようです(下図)。

          主要3物価指数の対前年上昇率(%)

                         資料:上に同じ

主要物価の対前年同月比を見ますと輸入物価の上昇は疾うに上げ幅縮小からマイナスに、国内の企業物価も今年に入って上昇幅が縮小、消費不振で値上げの遅れた消費者物価も上昇幅は頭打ちかという所に来たような感じです。

消費者物価については別途検討していますが、いわゆるコアコア指数の上げ幅が頭打ちから縮小に向かえば、この2年間のインフレ騒ぎも、日本でも収まる方向という事でしょう。

今後は、日米の金利差が縮まれば、円高がさらに進む事も考えられ、これも物価鎮静効果を持つでしょう。
そして日銀の金融正常化の出番も視野に入るのではないでしょうか。ゼロ金利時代が終わり、定期預金にまともな利息の付く時代が来るのでしょうか。

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