tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

デフレの原因(その1)

2014年07月12日 09時46分04秒 | 経済
デフレの原因(その1)<2008年6月11日付のリメイク版>
 インフレについての日本の経験については割合詳しく触れましたので、今回はデフレの経験についてみて見ましょう。

 デフレは、デフレーション(deflation=収縮)の略で、インフレの反対、物価が全体的、継続的に下がることです。

 皆様ご記憶のように、日本はつい1昨年まで「デフレ」でした。失われた10年とか20年とかいわれる1990年代から2010年代の初期にかけて、世界中で日本だけが長期デフレでした。2002年2008年の、いわゆる「いざなぎ超え」というだらだら景気回復の時でさえ物価は下がり気味でした。

 世界の主要国で、この10年20年、デフレだった国はありません。みな多少のインフレです。何故日本だけデフレになったのでしょうか。
 多くの学者はバブルが崩壊して、3つの過剰が生じたからという説明をしました。3つの過剰とは、「設備の過剰」、「雇用の過剰」、「債務の過剰」だそうです。債務の過剰はバブルのせいですが、設備や人手の過剰は、需要が減った、つまり製品が売れなくなったからです。次回以降も触れますが、ここでは「為替レート」という新たな問題が出てきます。

 つまり、学者などの言う「3つの原因」というのは、単なる現象面で、背後にある本当の原因は、国内でも海外でも、日本製品の値段が高くなって競争力を失い、売れなくなったからです。ご記憶の方も多いと思いますが、1990年代、「日本の物価は世界一高い」といわれました。

 私の持っている当時の日経新聞の切り抜きに「日本、デフレなのに、なお物価高世界一」という見出しがあります。英エコノミスト紙の記事の紹介ですが、これは「デフレなのに世界一」ではなくて、「物価が世界一高いから(グローバリゼーションの国際競争の中で)日本の物価は下がらざるを得ない(デフレにならざるを得ない)」というように読み替えるべきでしょう。

 日本製品は質がいいのですが、あまり高いと売れません。国内でも、衣料品をはじめ、「メードイン・アジア諸国」が普通になって、国産品は苦戦、国内旅行2,3日の代金で、海外旅行なら1週間などというご記憶をお持ちの方も多いと思います。グローバリゼーションの中で、売れるのは輸入品、国内企業は大幅コストトダウン、さもなければ廃業に迫られます。これがデフレの正体です。

 かつて、1980年代前半まで、「ジャパンアズナンバーワン」といわれたほどパーフォーマンスの良かった日本経済が、何故、世界一物価高の国になってしまったのでしょうか。もう「理由は先刻承知」という方も居られるでしょう。長くなるので、以下次回にします。



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