tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

より高度な産業・地域、国民経済の創造をリードする金融機関、金融システムへ

2016年07月16日 10時13分33秒 | 経済
より高度な産業・地域、国民経済の創造をリードする金融機関、金融システムへ
 為替戦略の典型ともいうべきプラザ合意で極端な円高を強いられ、失われた20余年を経験した日本経済の中で日本企業は、企業防衛の手段であるコストカットと財務体質改善に邁進してサバイバルを果たしました。
 この姿勢は、日銀の政策変更で円安が実現した今もあまり変わっていないようです。新たな円高の波が来ないかと危惧する面も大きいでしょう。

 企業の資金需要はいまだに低調です。加えて、リーマンショック以降は金融は超緩和状態、ついにはマイナス金利という状況です。銀行に頼らない直接金融の手段も多様化しています。
 間接金融の担い手である銀行は、手数料稼ぎに走るというのが、前々回、冒頭に述べましたように、今日の状況です。

 今、銀行に求められるのは、資金需要を待つのではなく、産業や地域経済育成のリーダーとなり、日本経済の活性化をリードして経済成長のエンジンとなり、資金需要を創造することではないでしょうか。

 企業は人を雇い、仕事をして付加価値を創り、その中から賃金を払って残った分、つまり利益を手にします。
 初期の資本主義では、企業は労働を搾取し、使い捨て、利益を蓄積しようとしました。 
 しかし偏った富の蓄積は格差の拡大、需要不足、投機の盛行を生み、 結果は世界恐慌で挫折します。

 企業はそうした中で何を学んで来たでしょうか。経営者は経験から学び、昔、安価な労働力を求めた経営者は、今では『人を育てる企業こそが発展する』と考えるようになっています。

 これを金融機関にあてはめたらどうなるでしょうか。
 金融システムが有効に存在するのは、実体経済が発展し、資金需要が起きることが必須の条件です。
 ならば、金融システムは実体経済の発展を単に資金面で援助するだけでなく、実体経済、産業・企業を積極的に育てる必要があるのではないでしょうか。

 アメリカの地方都市で、金融機関が主導して「廃墟のビルとホームレスの町」を「事業場と住居と喜んで働く労働者の町に作り替えたという現場からの報道がありました。
 このプロジェクトの成功で金融機関は高い収益率を上げたそうです。

 金融機関が持てる人材とノーハウを生かして、地域をリードし「廃墟とホームレス」を「職場と働く人間」に変えたのです。
 こうして経済循環が動き出せば、そこにはさらに産業の発展と資金需要が生まれるでしょう。基本的には、途上国での都市開発と同じなのかもしれません。

 企業と従業員の関係と同じように、『産業・地域を育てる金融機関こそが成功する』のではないででしょうか。

 健全な産業・地域の発展、つまり自らのビジネスの場を金融機関がリードして創り上げるという構想、マネーゲームでない実業の活性化をリードし支援する活動がそれぞれの産業や地域で行われれば、恐らく、それは経済社会を、そして金融の世界をマネーゲームでない健全な世界に変える力になるように思います。

マネーゲーム、金融工学といった迷路から脱出し、金融機関、金融システムが、実体経済に寄り添い、未来創造的な『新たな金融産業』へと脱皮し発展することを期待したいと思うところです。

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