tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国民の政権選択は常に正しいとは限らない?

2020年10月18日 15時07分52秒 | 文化社会
社会経済思想と政治形態(試論):新自由主義と政治(5)
 時に国民は容易に誤ります。こんなことをいうと、大変ななお叱りを受けそうですが、実は、私も国民学校の6年生の夏まで、「お国のために戦って死ぬことが素晴らしいことだ」と思っていました。

 正しい情報をきちんと与えられないと、結果は間違った判断に至るという例ですが、そのほかにも、あまりに不満足の時代が続くと、深く考えるのに疲れて、「何はともあれ」現状さ変えてくれれば、と思うようになったりします。

 サラリーマンの笑い話に、嫌な上司の下で、上司はそろそろ異動で変わるからと期待していたら、新任の上司はもっと嫌な上司だった、などというのがあります。

 現状を変えたいという気持ちが強まると、「なにしろ変えたい」と思い詰めるのは人間の弱さでしょうか。

 1970年代、欧米で社会的自由主義が行き過ぎ、深刻なスタグフレーションで国民の不満が鬱積した時、アメリカ、イギリスは革新政権で、選挙の結果保守系が勝ち、レーガン改革、サッチャリズムでスタグフレーションを克服したことは書きました。

 その時フランは保守政権でした、国民はインフレと失業(スタグフレーション)に悩み多分「何しろ政権交代を」だったのでしょう。保守のジスカールデスタンを見切り、社会党のミッテランが大統領になりました。これでは進むべき方向と反対です。

 その時ミッテランは選挙公約で最低賃金の大幅引き上げを言っていたのですが、それではスタグフレーションは一層深刻になります。結局は賃金凍結までやってスタグフレーション脱出を果たしています。(社会党でも賃金凍結までしたミッテランに敬意)
 
 日本では任期満了して2006年に退陣した小泉政権後の政権交代はめまぐるしいものでした。プラザ合意による異常な円高によるデフレ不況が本格的に日本経済を痛めつけた時期ですから、だれがやっても巧く行くはずはありません。この状況は民主党に政権交代しても変わりませんでした。平成長期不況の最悪期です。

 政治は混乱、財政再建も出来ず、経済は長期にわたってゼロかマイナス成長、企業も国民(消費者・家計)も先行き不安にさいなまれる超長期不況の中で、日本経済は潰れるなど言う経済学者も出、産業界は、労使ともコストカットばかりで疲労困憊、誰が出て来ても駄目、「誰でもいいから変わってくれ」だったようです。

折も折、「決める政治」を掲げて再出馬した安倍さんに期待したのも、「この混迷から脱するリーダーはいないか」という現状変更の希望の表れだったのでしょう。そしてその結果が、アベノミクスの第1の矢(日銀の異次元金融緩和で円高是正)の大成功だったということでした。(異次元緩和で円高是正を示唆した浜田宏一先生に感謝)

 当時のこのブログの論調も、これで日本経済も復活の可能性が出てきたというものだったと思います。企業もほっと一息だったでしょう。予期せぬ巨大な円安差益もありました。
 しかし、その後の展開は政府にも、国民にも、それぞれの思いとは違ったものでした。

 ルールを変えてまで3選を果たした安倍さんも、支持率低下と持病悪化(?)差し当たって退陣、菅さんが引き継ぐことになりました。
 安倍さんに飽きて変わってほしいと思っていた国民の意識は、菅政権の総支持率に反映されていました。しかし支持率低下はすでに始まっているようです。

 菅政権は「新自由主義」によってたつと言われていますが、出発時から安倍政権を継承という事です。そして新自由市議論議が盛んになったのが現状です。
 そこで「新自由主義とは何だ?」と、改めて問われることになったようです。

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