tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

円安と企業の果たすべき役割(2)

2013年01月27日 23時22分45秒 | 経済
円安と企業の果たすべき役割(2)
 企業の役割は社会をより豊かにより快適にすること、といつも書いて来ました。有難いことに、円安が定着しそうな条件も出てきました。日本の貿易赤字の拡大とアメリカのオイルシェール産出による財政や雇用の改善、それに日本政府・日銀の確固たる姿勢です。

 個人的には、私は、異常な円高さえ修正されれば、放っておいても、日本企業は、日本経済・社会の修復に邁進すると思っていますが、ここでは、手を付ける順序なども含めて企業(企業労使)は具体的にどうすべきかを考えて行きたいと思います。

 改めて確認すれば、経済成長の中では、労使の努力によって、生産性が向上し、その結果、加付加価値が増加すれば、増加した付加価値は、努力した労使に、人件費と利益という形で分配されます。そしてその一部は税・社会保障負担として政府に納入されます。
 
 当面円安による「円ベースの付加価値増加」は約10パーセントです。10パーセントの経済成長と同じです。これは1~3年ほどの時間をかけて、売り上げ増、付加価値率の向上となり、円建ての物価体系を通じて、次第に国内経済に全般に均霑するのでしょう。

 今までは「円高で失われた付加価値」を、広く国民全体で負担してきたわけですから、今度はその逆で「取り戻した10パーセントの付加価値」を、広くみんなで分けることになるのは当然です。

 その分配の担当者は、申し上げてきたように、「企業の労使」です。そして政府が、税、・社会保障負担の増減という形で、後からそれに参入するわけです。
 しかし、いずれにしても主たる担当者は「労使」ですから、労使は大変に重要な役割を果たさなければならないというわけです。

 労働サイドは、まだそこまで、明確に認識していないかも知れません。しかし企業の付加価値増として実現されるものは、必然的に労使で分配を決めなければならないのですから、否応なしに、担当者になっていまいます。
 
 新政権がやらなければならないことは、はっきり言ってしまえば、円高にも円安にも振れ過ぎない「為替環境の整備」だけで、それでいいのです。現在の金融・財政政策は「円高の是正に役に立て」ば、それで十分です。うまい具合に早期に、$1=¥100辺りまで行ったら、後はその維持・安定に万全を期すという事でしょう。異常な円高は解消ですから。

 そして、円安で生まれる円ベースの付加価値増で、失われた20年の間に歪みに歪んだ分配構造の是正にいかに取り組むかが、これから始まる労使の課題です。
 ですから、これから大事になるのが、企業の労使がその自覚を共有して、十分な話し合いをする体制をきちんと作ることでしょう。

 その基本方針を全国の企業労使に示せるよう、経団連と連合の協力と真摯の話し合いがまず必要になるでしょう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。