tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

途上国援助か、先進国援助か

2013年01月09日 17時08分12秒 | 経済
途上国援助か、先進国援助か
 麻生財務相がミャンマーを訪問し、ミャンマーが日本に対して抱える5千億円の債務の一部(3千万円)を放棄することを表明、その上で、新たに経済特区の建設などに支援をすることを表明したという報道がありました。
 テレビに映った、ミャンマーのティン・セイン大統領をはじめ、関係者の方々の神妙に喜んだ顔が何となく印象的でした。

 日本はミャンマーの最大の債権国だそうですが、そうした報道も含めて思うのは、戦後一橋大学の小島清教授がアジアに対する賠償の経済論を展開しておられたころから、太平洋戦争についての贖罪の意味も含めてでしょうか、日本は、アジア諸国に対して、黙々と援助・協力を積み上げてきたのではないでしょうか。

 今、中国、韓国を別にすれば、日本がああした侵略戦争をもう一度やるとは考えない国の方が圧倒的に多いように思います。戦後六十余年を経て、そうしたイメージを積み上げてきた努力を、まさに「百日の説法、屁一つ」で台無しにすることがないようにしたいものだとつくづく感じるところです。

 話が最初から横道にそれてしまいましたが、ミャンマーのニュースに並んで、日本がESM債の定期継続購入を決めたことが出ていました。
 さらに考えれば、日本は、対アメリカでも最大の債権国の1つです。
 教科書的に言えば、米欧先進国への資本拠出は、リスクも少なく流動性も高い優良な投資ということになるのですが、本当にそうでしょうか。常識と事実は全く違います。

 さらに思い出せば、嘗てアンクタッドなど途上国援助論議が盛んだった頃、日本は、池田首相だったでしょうか、GDPの1パーセントを途上国援助に回すと発言していました。私の記憶ではこれは結局出来ていません。
 その後、カネが必要なのは、途上国ではなく、先進国になってきたようです。

 昨年12月に「CSRとNGR」を書かせて頂きました。CSRは企業の社会的責任、NGRは国の地球的責任(nation' s global  responsibility)です。
 大企業は、広く社会に役に立つ貢献をすべき、と同じように、先進国は、地球全体の経済発展や環境問題に多様な貢献をすべきでしょう。

 今、多くの先進国が、自分の赤字のやり繰りのために巨額の金を借り、途上国援助は随分遅れてしまっています。先進国の「心がけ」が問われているのではないでしょうか。


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